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陰謀論は、すぐそこに。

 燃料が足りない。

 目的地まで行くには明らかに足りない。
空腹な彼の為に、近所の「レストラン」に向かった。
いつもの左端の席が空いてることを確認し、中に入る。入った瞬間に鼻いっぱいに広がる、どこか懐かしく、刺激的で、ワルな香り。私はこの匂いが好きだ。
 彼はいつも同じ料理を頼む。彼は赤い匙を持ち、スープを飲み干した。
満足げな彼を横目に会計へと向かう。
 鉄の匂いがこびりつき、まるでダンベルのように重い財布。その諸悪の根源である、小銭。こいつを使ってやろう、そう意気込んで席を立った。次の瞬間だった。
 何があったか、その意気込みは遥か彼方。どこかへ飛んでいってしまったのだ。とにもかくにも、千円札を出した私と、お釣りの小銭を受け取った私、なぜか分からず佇む私の姿がそこにはあった。

 「私はここに宣言する!
陰謀論は確実に存在し、我が日本国は着実に、侵略を許し、退廃の一途を歩んでいる!
その侵略者こそが、遠く小さな星からやって来た「モネダ星人」である!
我々日本の総理大臣はすでに、「モネダ星人」の支配下にあり、日本国をやすやすと明け渡した、売国奴である!」
「モネダ星人」は我々の生活の一部である、「小銭」に目をつけた。…………地球にはない「トント」という素材が組み込まれ……………からして、我々の記憶はその匂いと、超音波によって消されているのだ!!!!」
「今こそ、シモダサマの救済を受け、カミカゼを起こすときなのだ!!……………………………」


耳障りなラヂオの音を下げて、ふと我に戻る。彼は待っていた。お待たせ。行きましょう。