今さらですが、幼なじみを好きになってしまいました
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第一〇話 船頭多くして……
何の変哲もないはずのない一日が始まる……
「よっ、お待たせ」
「まっ、待ってない、からっ!」
いつも二人が通学に使っている最寄り駅。
いつもの時間からは随分と遅い、週末の午前一〇時。
わたしと彼は、この場所で、デートのための待ち合わせを無事に成し遂げた。
「ところでさ、俺たち隣同士なんだから家から一緒に出掛ければよかったんじゃないか? なんでわざわざ駅で待ち合わせにしたんだ?」
「
第九話 幼なじみのアドバンテージ
何の変哲もなかった一日……
のはずが、ついさっき、大変なイベントが起こってしまった午後十一時半。
「う~ん、どこにしよう? 近所の公園? 中央公園? ショッピング街? 水族館? 動物園? 植物園? プラネタリウム? 美術館? 図書館? ゲームセンター? ボウリング場? カラオケ屋? 遊園地? スタジアム? 映画館? コンサート会場?」
それは、彼と今週末出かける約束をしてから、たったの三
第八話 窓越しのお向かいさん その2
『ごめん、今部屋いる?』
『いるけど?』
『じゃあさ、ちょっと話があるんだけど
窓開けてくれない?』
『なに? これじゃ駄目なわけ?』
『うん、ちょっとね』
何の変哲もなかった一日の、暮れて久しい午後一〇時。
LINEでメッセ送って、既読がついて。
それから、わたしにとっては永遠に感じられた数秒が
第七話 仲直りから三〇分……
ようやく、何の変哲もない日々に戻った、ある夕暮れ。
念願の、数日ぶりの仲直りを果たしたわたしは、しばらくおあずけになっていた、『彼の部屋でダラダラ過ごす時間』を心の底から満喫していた。
わたしは彼のベッドに寝転んだまま。
彼は、ベッドにもたれて。
そうして、いつもみたいに、それぞれ勝手な時間を過ごす、そんなやつ。
「ね~タ~君、なんか新しいマンガとかないの?」
「だから言ったじゃん
第六話 “アレ”から一週間……
何の変哲もない……ように見せかけた、ある平日の夕方。
「お、お邪魔しま~す……」
誰もいないとわかっている彼の部屋に、声をひそめて不法侵入……なんてことでは全然なくて、合法的に、家族の許可をいただいて、おそるおそる上がり込む。
ていうか、本当なら、部屋どころかお隣さんの家にすら上がる気はなかったんだけど。
ここ一週間ほど、学校から帰ってきても、ずっと高村家への訪問は避けて、自宅に夕
第五話 役立たずの親友たち
何の変哲もない一日。
平日の学校の、お昼休みの喧騒の中。
「だから早く告れって言ってんのよ陽花梨!」
「そんなの今さら無理だから! タイミング完全に逃しちゃったから!」
いつもの友達四人で囲むお昼ご飯のひととき。
わたしの正面に座るハルが、教室内全部に聞こえるほどの声量で、わたしの優柔不断を糾弾してくる。
あ、優柔不断を糾弾って、ちょっとラップっぽい。
「タイミング逃したって言って
第四話 窓越しのお向かいさん
ある晴れた休日の昼下がり。
どこかに出かけるでもなく自宅で、のんびり……ともいかずに、朝からずっとばたばたと過ごす一日。
「ねぇ陽花梨、こっちの荷物はどこに置いたらいいの?」
「だからわたしがやるから手伝わなくていいってば~!」
段ボール箱を抱えて部屋に入ると、すでに中ではお母さんのお節介により、荷物がとっちらかっていた。
「けれど、本当にこっちのお部屋に戻るの? 今のお部屋よりだいぶ
第三話 エロゲーで見た
何の変哲も……なくはない一日。
「タ、タ~君……起きなよ?」
「ん、んぅ……」
場所は、幼なじみの部屋。
時間は、平日の朝七時を、ほんのちょっと過ぎたあたり。
「そろそろ起きないと、遅刻、しちゃうよ?」
「もう五分……ほんのちょっとだけ……」
つまりそう、今のわたしは、『朝寝坊の幼なじみを起こしに来た女の子』という、神に選ばれた人種なのだった。
…………
…………
え~