今さらですが、幼なじみを好きになってしまいました
『今さらですが、幼なじみを好きになってしまいました』の小説版を、マガジンにまとめました!
『今さらですが、幼なじみを好きになってしまいました』の漫画版を、マガジンにまとめました!
何の変哲もなかった一日…… のはずが、ついさっき、大変なイベントが起こってしまった午後十一時半。 「う~ん、どこにしよう? 近所の公園? 中央公園? ショッピング街? 水族館? 動物園? 植物園? プラネタリウム? 美術館? 図書館? ゲームセンター? ボウリング場? カラオケ屋? 遊園地? スタジアム? 映画館? コンサート会場?」 それは、彼と今週末出かける約束をしてから、たったの三〇分後…… 『早くお風呂に入りなさい』ってお母さんに怒られ、火照ったままの体
『ごめん、今部屋いる?』 『いるけど?』 『じゃあさ、ちょっと話があるんだけど 窓開けてくれない?』 『なに? これじゃ駄目なわけ?』 『うん、ちょっとね』 何の変哲もなかった一日の、暮れて久しい午後一〇時。 LINEでメッセ送って、既読がついて。 それから、わたしにとっては永遠に感じられた数秒が経って…… 「よう」 「ご、こんばんはっ」 お向かいの部屋の窓が開き、お馴
ようやく、何の変哲もない日々に戻った、ある夕暮れ。 念願の、数日ぶりの仲直りを果たしたわたしは、しばらくおあずけになっていた、『彼の部屋でダラダラ過ごす時間』を心の底から満喫していた。 わたしは彼のベッドに寝転んだまま。 彼は、ベッドにもたれて。 そうして、いつもみたいに、それぞれ勝手な時間を過ごす、そんなやつ。 「ね~タ~君、なんか新しいマンガとかないの?」 「だから言ったじゃん。電子に切り替えたって。紙の本はもう増えないぞ」 こんなふうに、かけがえのな
何の変哲もない……ように見せかけた、ある平日の夕方。 「お、お邪魔しま~す……」 誰もいないとわかっている彼の部屋に、声をひそめて不法侵入……なんてことでは全然なくて、合法的に、家族の許可をいただいて、おそるおそる上がり込む。 ていうか、本当なら、部屋どころかお隣さんの家にすら上がる気はなかったんだけど。 ここ一週間ほど、学校から帰ってきても、ずっと高村家への訪問は避けて、自宅に夕食が用意されない日はコンビニ弁当でしのく生活を続けてた。 けれど、そんなイレ
何の変哲もない一日。 平日の学校の、お昼休みの喧騒の中。 「だから早く告れって言ってんのよ陽花梨!」 「そんなの今さら無理だから! タイミング完全に逃しちゃったから!」 いつもの友達四人で囲むお昼ご飯のひととき。 わたしの正面に座るハルが、教室内全部に聞こえるほどの声量で、わたしの優柔不断を糾弾してくる。 あ、優柔不断を糾弾って、ちょっとラップっぽい。 「タイミング逃したって言っても、好きになったの最近なんでしょ?」 「うん、まぁ……中学の頃まで全然。というか
ある晴れた休日の昼下がり。 どこかに出かけるでもなく自宅で、のんびり……ともいかずに、朝からずっとばたばたと過ごす一日。 「ねぇ陽花梨、こっちの荷物はどこに置いたらいいの?」 「だからわたしがやるから手伝わなくていいってば~!」 段ボール箱を抱えて部屋に入ると、すでに中ではお母さんのお節介により、荷物がとっちらかっていた。 「けれど、本当にこっちのお部屋に戻るの? 今のお部屋よりだいぶ小さいわよ?」 「それも何度も話したでしょ? こっちの方が陽当たりがいいんだって
何の変哲も……なくはない一日。 「タ、タ~君……起きなよ?」 「ん、んぅ……」 場所は、幼なじみの部屋。 時間は、平日の朝七時を、ほんのちょっと過ぎたあたり。 「そろそろ起きないと、遅刻、しちゃうよ?」 「もう五分……ほんのちょっとだけ……」 つまりそう、今のわたしは、『朝寝坊の幼なじみを起こしに来た女の子』という、神に選ばれた人種なのだった。 ………… ………… え~と、時をほんの一〇分ほど前に戻すね? 今朝、わたしが登校しようとしたときにお
何の変哲もない一日。 ……かどうかを決められるほど、まだ時間も経っていない朝七時台。 「あ、タ~君おはよ~」 「陽花梨? 相変わらず早いな」 わたしたちの家の最寄り駅。 朝のラッシュで賑わいを見せる一番ホームの三号車前から二番目のホームドアに、我が幼なじみの姿はあった。 「いえいえ、同じ時間の電車に乗ろうとしてるタ~君に言われてもね~」 「でも、陽花梨の方が全然近いじゃん。あと三〇分は遅くてもいいだろ」 こいつ……ううん、彼の言う通り、本来のわたしは、こんな