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元道職員SOGIハラ訴訟 第4回口頭弁論期日について 2022.6.22 10:30-

2022.6.22 札幌地方裁判所

①原告準備書面の陳述

令和3年(ワ)第1175号 損害賠償請求事件 原告 佐々木カヲル
被告 北海道ほか1名

準備書面(2)の要旨陳述書
2 0 2 2 (令和4)年6月17日
札幌地方裁判所 民事第2部合議係 御中

1 原告準備書面⑵の内容についてご説明させていただきます。
 まず、前提事項の確認ですが、北海道職員の給与条例や、地方公務員共済組合法には、扶養手当その他福利厚生を付与する場合の1つとして、当該職員が、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」、すなわち内縁関係にある場合を定めてい ます。しかし、被告らは、この「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」とは、 男女間の関係を大前提としており、同性カップルが含まれる余地がないと主張しています。
 そこで、原告は、参議院議員の石川大我議員から、全都道府県及び政令指定者 市を対象とする、同性パートナーのいる職員にも扶養手当の支給等を保障している自治体に関する調査結果の提供を受けました。当該調査結果から、これまで原告が主張してきた他にも、多くの地方自治体が、同性パートナーのいる職員に扶養手当の支給等を保障している実態が明らかとなりました。
 今回提出した原告準備書面(2)は、この調査結果を踏まえ、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」という文言に同性カップルが含まれていると解することが 可能であり、かつ、そう解釈すべきであったことについて主張するものです。
2 今回の調査結果は、2つの事実に大別することができます。1つは、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」という文言はそのままに、解釈によって同性力 ップルに扶養手当等を付与している自治体があることと、もう1っは、条例や規則の文言を改正している自治体があることです。
 1つ目の、条例や規則の解釈のみによって同性パートナーのいる職員にも扶養手当を支給している自治体としては、すでに原告が主張している三重県、鳥取県、和歌山県に加え、新たに、茨城県、富山県、滋賀県、佐賀県の、合計7つの県が あることが分かりました。
 また、条例や規則の解釈のみによって、同性パートナーのいる職員にも扶養手 当以外の福利厚生を付与している自治体は、札幌市を含む19自治体あることが分かりました。
 2つ目の、条例や規則を改正した自治体としては、大阪市を含む9つの自治体 があることが分かりました。
3 これらの調査結果から、2つのことが言えます。
 1っは、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」という文言に、同性カップルを含めて解釈することは可能だということです。
 さきほど、解釈により同性パートナーを有する職員にも扶養手当を支給している自治体が7県あることを主張しましたが、これらの自治体の給与条例の扶養手当に関する条文は、北海道の給与条例の条文とほぼ同様です。したがって、被告らにおいても、同性パートナーを「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に含める解釈をすることは可能でした。
 よって、被告らの「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に同性間の関係が 含まれるという解釈がそもそも成り立ちえないという主張は的を射たものとは言えません。。
 調査結果から言えることの2つ目は、被告らが、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に同性カップルを含める解釈をすべきであったことです。
 合理的理由のない限り、同性カップルと異性カップルの間に区別取扱いをしてはならないというのが、憲法14条1項の要請です。そして、異性カップルには扶養手当その他福利厚生を付与し、同性カップルには付与しないことに、合理的理由などありません。
 先ほど挙げた、条例や規則の解釈により同性パートナーのいる職員に扶養手当等を支給している自治体は、こうした憲法14条1項の要請に応えた例といえます。
 また、先ほど挙げた、条例や規則を改正している自治体は、「事実上婚姻関係 と同様の事情にある者」に同性カップルを含むものと解釈することが可能である にもかかわらず、あえて改正をし、同性パートナーを有する職員も扶養手当等付 与が受けられることを明記にすることで、より明確に憲法14条1項の要請に応えた例ということができます。
 このように、解釈によるか改正によるかのいずれかの方法により、全国的に地方自治体が同性カップルを異性カップルと同様に扱い、同性パートナーを有する職員に対し各種手当を給付する運用を進めてきていることは、それだけ性的少数者を異性愛者と平等に取り扱うべきとの社会的認識が拡大してきていることの表れに他なりません。
 それにもかかわらず、被告らが、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に 同性カップルを含まないと解釈し、原告に扶養手当その他福利厚生を付与しなかったことは、同性カップルと異性カップルとの間の合理的理由のない区別取扱い を禁止する憲法14条1項の平等原則に反することは明らかです。
 原告準備書面⑵の要旨は以上となります。 以上


②被告北海道及び被告地方職員共済組合の準備書面陳述

③次回期日の予定確認
 次回期日は、2022年8月31日(水)10:00-札幌地方裁判所8階805号法廷第5回口頭弁論期日


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