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怒ると殺される私たち〜その1〜

NHK朝ドラの「エール」がクラッシックや明治の建築好きには楽しい。
挙動不審な主人公もうまく母性をくすぐるようで可愛いのだけど、その妻になる音ちゃんを二階堂ふみが魅力的に演じている。
彼女はちゃんと怒ることができる女の子なのだ。

お見合いの席で「女は男の後を三歩下がってついて来れば良いのです」という男性に
「違う違う違う!私は一緒に歩きたい!」と胸倉まで掴んでしまう。
夫の給料を半分減らすというレコード会社に「なに考えてんの!私は裕一さんの音楽を守る義務がある!」と直談判しに行く。
カフェ通いを説明せずに誤魔化す夫に宣戦布告。

その怒る姿はコミカルで可愛くて、ひたむきで小気味良い。
ああ、今どきの若い子にはこういう女の子がいるんだなと頼もしくなる。
私たちは怒ることに慣れていない。
ちょっと前にフェミニズムとかで怒ってた女性たちは、見苦しいおばさんたちとして処理されてしまっていた。
だからといって私たちの理不尽な状況に変わりはなく、むしろ年々酷くなっている。
フェミニズムには詳しくないのだけど、私たちは何か大切なものを引き継がずにやってきてしまった感がある。
私たちはあきらめることを学んでしまった。
セクハラされても笑って受け入れるしかない。怒っても仕方がない。
働く女性は職場の無料キャバ嬢であり、下手すると無料風俗嬢なのだ。それが現実なのだ。
その結果、私たちは怒れなくなってしまった。怒りかたがわからないのだ。

女性の愚痴を聞いてても、ネットを見渡してみても、それは旦那さんや彼氏さんとちゃんと話すべきなのでは?と感じることが多い。
彼氏が他の女性にヘラヘラする、夫が買ってきたお弁当がわたしのだけランク低いものだった。
それは私やネットでなくて、パートナーと向き合って解決することじゃないかなと思うけど、ああ、彼女たちは怒ることが難しいのだ、と気づいた。
それまでの人生で学んでしまったのだろう。女は怒ったら終わりだと。彼女たちは奥ゆかしく耐え忍んでいるのだ。

でも、嘘のように聞こえるかもだけど、怒る女の子を可愛いと愛してくれる王子さまもちゃんと存在するのだ。
お見合いの席で吠えた音ちゃんは、お見合い相手には完全に引かれたけれど、そのお兄さま(イケメン)に見初められプロポーズされた。
音ちゃんのお母さんの薬師丸ひろ子さんも、男性から「そんなんじゃ嫁の貰い手がないわ」と勝気な性格を笑われつつ「ここにおるよ貰い手」と
パパさんの出会いに繋がった。
そんなの架空のドラマの非実在の王子さまではないかと言われそうだけど、詳細は省くけど、そういうことは現実でも多々あるマジで。

もちろん怒る女性を大嫌いな男性いる。
そして、怒ることをやめて理不尽な状況に長年耐えてきた女性もまた、怒ることのできる女性を嫌うこともある。
このエールの音ちゃんも、一部の視聴者から夫のカフェ通いを追及する言葉が荒い、朝から怒声を聞きたくないとクレームが来たらしい。

先日話題になった木村花さんも、怒る姿が放送され、その姿を罵倒されて、誹謗中傷され、自らの死においやられたようだ。

私たちはここでも学んだしまった。
怒る女性は殺される、と。
このままでは、女性はますます怒れないまま、さらに屍が累々と積み重なるんだなと思う。
そんな世の中に子供たちを、娘や息子を送り出したくないと思うので、次回に続きます。


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