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国際機関で働くとは?第三話:どんな職種があるの?

世界銀行や国連で働きたい、と言っても色々な職種があるのでそれに沿った形でどういうものがあるのか、について今回はお話ししたいと思います。

1)セクター別の専門家
これが世界銀行ではよく知られていて求人も多く、メインな仕事にはなりますが、国を作っていく上で必要になるセクター別の仕事です。教育、保健、社会保障、行政、インフラ(水、インターネットケーブル、交通、エネルギー、災害対策など)、金融・民間セクター開発、農業、環境・天然資源管理など多岐に渡って支援が行われます。詳しくはこちらの世界銀行のサイトをご覧ください。これらの分野の専門家になるには修士または博士をとっていてさらに関連分野で仕事をしていることが必要です。専門家として仕事をするには、主に関連政府(教育なら教育省)と対話をしたり調査をしたりしながら政策づくり、融資プロジェクトの形成と実施サポート、融資プロジェクトの評価、技術支援などを行い、それぞれのセクターの発展や問題解決に貢献します。また他の国の事例などを学ぶためのスタディーツアーを企画したりもします。

そのセクターのお医者さん、というような感じで課題を診断し、解決策を提示または一緒に考えていくという感じですね。

セクター別の専門家はそのまま専門家キャリアに行ったりマネジメントかキャリアに行ったりします。

2)オペレーション
世界銀行のオペレーションとは融資プロジェクトの形成、実施サポート、評価にあたるのですが、その実施に関するポリシーなどを熟知してオペレーションを主にサポートする役割もあります。ただし、この役割にいきなりなるのは難しいのでやはり入るにはセクターの専門家として入り、そこからオペレーションオフィサーのようになっていく人もいます。また信託基金などもたくさんあるのでその基金をマネジメントするオペレーションオフィサーなどもいますし、世界銀行のプロジェクトのポリシーを決めたり改革していくような部門のオペレーションオフィサーもいます。ただしこのようなポジションにすぐ着くのはやはり難しいのでセクターの専門家から入る場合が多いです。ただし、日本政府がお金を出している信託基金などは日本人の採用が募集されることもあります。

3)コミュニケーション
実はコミュニケーションオフィサーは結構需要があり、コミュニケーションコンサルタントとして雇われている人もたくさんいます。世界銀行はレポートなどもたくさんあるのでそれをいかに多くの人にわかりやすく伝えていくかが重要なので、コミュニケーションオフィサーはそのようなコミュニケーション戦略を立てたり、副総裁などのスピーチを書いたりコミュニケーションを担当したり、など色々な役割があります。オンラインコミュニケーション、SNS、ニュースレター、プレスリリース、など色々な面でコミュニケーションオフィサーとの連携は必要になり、私も何度も一緒に働く機会がありました。コミュニケーション関連の仕事で働きたい人は広報、ジャーナリズム、オンラインコミュニケーション、SNSスペシャリスト、など民間での経験が役立つところもたくさんあって民間から来る人は一番活躍しやすいのではないかと思います。

4)人事
世界銀行では日本人職員がいつも不足しているため人事、特に採用に関しては日本人の人事官を雇って日本人の採用強化に努めています。そのため国際機関やグローバル企業などでの人事をやってきた方には人事の仕事も合うのではないかと思います。

5)IT
これはどちらかとバックオフィス的な仕事になりますが、世界銀行の社員のためのITシステムの提供を行う仕事です。ただ、イノベーションラボというのがIT部門にもあって、デジタル関連の最新情報やテクニカルなスキルを世界銀行の社員に提供して一緒にプロジェクトをするということもあります。実際ブロックチェーンの利用やAIの利用でプロジェクトのサポートに入っていたり、新しいものをプロトタイプで作って世界銀行の職員にテストしたりもしていました。例えばVRを使って職業訓練をする、というプロジェクトなどは実際にVRをテストする機会が社員にもありました。

6)財務(Treasury)
世界銀行は世銀債という債券を発行して市場からお金を調達しているので日銀のような中央銀行的な役割をしていたりもします。カーボンクレジットやクライメートファイナンス、グリーンボンド、に関する活動は財務の分野で行われていて、気候変動に対応するような金融商品も出しています。これは日銀などで働いていた人がバックグラウンド的にはあう仕事です。実際に私の友人で日銀で働いていた人が出向して働いていました。

7)理事会
世界銀行は世界の財務省が理事となって融資プロジェクトの最終決断を行います。そのため理事会というのが結成されていて、日本からも主に財務省、他には外務省、JICA、JBICから出向されている方が日本の理事室を形成していて3年おきくらいにローテーションで新しい方が入ります。理事会では日本政府が出資している信託基金に関するプロジェクトの承認や管理、日本人採用、奨学金プログラムの運営、および他国との関係構築、なども行なっています。

8)ファイナンス
世界銀行の運営をする上でのファイナンス担当の人もいます。これは主に予算管理などを行ったり会計関連の仕事を行ったりする担当の人です。この仕事は会計やファイナンスの知識がある人には入りやすい仕事かもしれません。

9)法律
世界銀行はプロジェクトファイナンスを主に行うのですがそこでは最終的に弁護士がプロジェクトに入って融資の交渉や契約書のチェック、ドラフト書きなどを行います。それなので主にプロジェクトファイナンスのバックグラウンドを持った人や、LLMなどをとってすでに他の国で弁護士として活躍していた人、など色々な法律関連の方が働いています。

10)アシスタント
秘書、アシスタント系の仕事をする人ももちろんいます。どのようにこの仕事をゲットしているのかはわからないのですが、人脈というのが一番だと思います。誰かの知り合いだから、ということでマネージャーの秘書になったり、などの事例はあります。

ということで主な職種をかいてみましたが、皆さんもここなら行けそうだ、興味がありそうだ、という職種はありましたでしょうか?

もしかすると網羅し忘れた職種もあるかもしれませんが、興味のある方は世界銀行のCareersのページから長いですがJob Descriptionを見てみて何が求められているかみておくと、自分のキャリア形成にとって何が足りないか見極めることができ、そこから経験や学歴を積めるのではないかと思います。



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