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ヒルデガルトの症状ミニ辞典~胃の疾患編~

いつも読んでいただき
ありがとうございます。
さおりんです。


中世の修道女であるヒルデガルトは
医学や薬学、作曲や食育など
幅広い知識を持っていました。
今回は当時扱っていた
胃の疾患に対する薬用植物について
ご紹介していきますね。


【胃の病気】
胃の病は原因がさまざまで精神的なもの
もあります。


がっくり来た時ドイツ語で俗に
「胃がおかしくなった」と表現すること
がありますが偶然ではありません。


贅沢な食事や誤った食生活からくること
も多かったのと、他の病気が胃の不調
として現れることもあります。


症状が重い場合は必ず医師の診察を
受けてください。


ヒルデガルトは胃のトラブルの多くは
謝った食生活によると考えていました。


たとえば、よく火が通っていない料理
(健康的な生ものでも、万人の体に良い
とはかぎりません。
消化システムに対する大きな挑戦になる
から)、脂肪が多すぎる重いモノ、
水分が少ないモノなどです。


これらを摂ると他の器官が
「胃に十分な強い火力を与えることが
できないため、それらの料理がよく調理
されずに胃の中で凝固し、固くなって
カビが生える」
つまり、よく消化できずに胃痛に苦しむ
ことになるのです。


ヒルデガルトは胃のトラブルに対して
さまざまなレシピを挙げているので
こちらもご紹介していきますね。


《スペルト小麦のドリンク剤》

スペルト小麦 
Triticum spelta/Dinkel ディンケル

スペルト小麦は栽培種と異なり
成熟しても皮殻が粒を包んでいます。
かつては西南アジアやラインタール
地域で栽培されていました。


耐寒性があって栽培条件が厳しくない
ため北方の涼しい気候に適応し、病気
にも抵抗力があります。


最も古いのは石器時代の住居から発見
された紀元前6~5世紀のもので
メソポタミアの北、コーカサスの南端で
見つかっています。


その後バルカン半島から中央ヨーロッパ
へと広がって数世紀にわたり人類に
とってたいへん重要な食物でした。


グリューンケルンもスペルト小麦の製品で
成熟する前の青い時期に収穫して培って
乾燥させたスペルト小麦が使われています。


発芽力がなくパンにも適しませんが
風味がいいので挽いた粉を使うと簡単に
穀物料理ができます。


とても穏やかなので特に病人食
胃腸の弱い方や子供に勧めています。


健康に良い良質の軟膏のように内側から
癒すといいます。


スペルト小麦のドリンク剤
・スペルト小麦 全粒50g
・水 1L
・ハチミツ 少量


スペルト小麦を1Lの水にいれ、30分、
とろ火で煮ます。
濾したものにハチミツを少量流し加えて
かき混ぜます。


1日数回に分けて飲みます。



《サニクルのエリキシル》

サニクル 
Sanicula europaea /Sanikel
セイヨウウマノミツバ

サニクルは、せり科の草木で35種が
世界中に分布しています。


ドイツでは広葉樹林と混合樹林に
散在しているのが見られます。


花は、白または赤みがかった
小さな散在花序で
葉と根部にはサポニン、苦味質、
タンニンが含まれています。


葉を5月と6月に
花を開花前に収穫します。


サニクルのエリキシル
・サニクル全草(根も含む)生で一掴み
・水 1L
・ハチミツ 100g
・リコリス 少量


サニクルは汚れを取り、約10分煮て
濾します。
煎液にハチミツとリコリス粉末を加え
もう一度さっと煮たてます。
ビンに詰めて毎食後にリキュールグラス
1杯飲みます。


ドライのサニクルを使っても大丈夫です。
ただし、ヒルデガルトはサニクルの力が
失われないように天日で乾燥させること
を推奨しています。


ヒルデガルトは傷が癒えるのを体の中
から助ける内服も勧めています。


夏には、生のサニクルを絞ってその液汁
を数滴、水に入れて食後に飲み、冬には
乾燥させたサニクルの粉末を水に入れて
飲みます。


傷を内側から浄化し、少しずつ治す
と記載しています。



《ヒソップのワイン》
ヒソップ


Hyssopus officinalis/Ysop
ヤナギハッカ

ヒソップはしそ科の植物で
地中海地域からアルタイ山脈まで
分布しています。
ドイツではよく庭で栽培されている
20~70センチの高さになる灌木です。


かわいらしい紺色の花が咲きます。
(稀にピンク色もあります)


葉はスープやサラダに風味付けと
して使われます。


ユダヤ教とキリスト教の慣習では
聖水をまくときにヒソップを
使います。


薬用としては特に肺の病、水腫、
てんかん、伝染病の治療薬として
傷をいやす罨法として使います。


古代ギリシャの医学の遺産を継いだ
アラビアの医師たちに強い影響を
与えたサレルノ医学学校では
ヒソップについては次のような
格言詩があります。


「ハチミツとワインとともに
ヒソップを飲めば、君の肺は解放
されきれいになる。最悪の咳も
消し去って顔は若返り、美しくなる」


ヒルデガルトはヒソップに偉大な力
があることを認め、とくに肝臓と胃
のトラブルに勧めています。
古代の医師が肝臓に居座っていると
考えていた鬱状態にもヒルデガルト
はヒソップがよいと考えていました。


ヒソップのワイン
・ヒソップの茎 数本
・白ラントワイン 1/2L


ヒソップの茎は2~3日ワインに
浸けてきちんと密封して保存する。
ワインは朝、胃が空の状態で
リキュールグラスに1杯飲みます。


《アルムのワイン》
アルム属

Arum maculatum/Aronstab


サトイモ科のアルム属はとくに
地中海沿岸地方と西南アジアに分布
しています。


ドイツで唯一見られる
アルム属は広葉樹林の多年生植物で
塊茎と不快な匂いを放つ槍のように
とがった葉を持っています。


その匂いに誘われたハエが空洞に
入り込み数時間囚われている間に
受粉が行われます。


赤い実は有毒。塊茎は民間療法や
ホメオパシーで、化膿した傷や腫瘍
の治療、食欲増進、消化促進の薬
として利用されます。


昔は煮て、非常に精のつく食物
として食されていました。
ヒルデガルトは胃の強壮に
勧めています。


アルムワイン
・アルムの根 5g
・ラントワイン 1L


アルムの根を細かく砕いてワイン
に入れ、約10分とろ火で煮ます。
冷やしておいて飲む前に特殊鋼で
できた鍋で温め、1日に2~3回、
リキュールグラス1杯を飲みます。


《マグワートスパイス》
マグワート

Artemisia vulgaris/Beifuβ 
オウシュウヨモギ


キク科ヨモギ属の植物で、垣根、
茂み、乾燥した川岸のほか、
道端やがれきの山にまで
生育しています。


ドイツ語名のBeifuβは足に(Beifuβ)
マグワートをつけると旅人が
疲れないと信じられていました。


とても重要な役割を果たすのが
夏至祭で、人々はマグワートの
ベルトを体に巻いて夏至の火を
跳びます。


日が昇る前に左手で摘み取った
マグワートを巻くと
腰痛にいいことは
マーセルス・フォン・ボルドー
(4世紀)が書いています。


マグワートは愛と友情を手に入れる
魔法の薬として家や家畜小屋の中に
マグワートの束をかけておくと
悪魔を追い払い、邪悪な眼差しを
かわし牛乳や卵をかけられた
悪い魔法を解くと言われていました。


薬草の母と挙げられ
ギリシャ・ローマ時代の医学では
女神アルテミスの植物とも呼ばれ
婦人科の薬でした。
お臍の上に置くと安産になると
されていました。


18世紀になると、マグワートは
キッチンハーブとして好まれるよう
になり、現在もその点が再評価され
脂っぽい肉料理、鴨やガチョウの
ローストなどに使われています。


マグワートを使ったロースト肉は
美味しくなるだけでなく消化が良く
胃に優しくなります。


マグワートに含まれる精油成分
シネオールやアブシントールと
苦味成分が消化液の形成を促し
脂を消化する際に肝臓と胆嚢を
助けます。


マグワートはとても要求が少ない
慎ましい植物で、乾いた石灰質の
土地に繁茂します。


とくにロックガーデンや縁取り花壇
に適しています。


マグワートスパイス
ヒルデガルトはマグワートを
風味付けとしても付け合わせの野菜
としても勧めています。
とくにほうれん草と一緒に摂ると
病んだ内臓、胃を癒す
と記されています。


《ジンジャーとコウリョウキョウ
の粉末》
コウリョウキョウ

Alpinia officinarum/Galgant
ガランガル


コウリョウキョウは中国原産の
ショウガ科の植物です。
数千年前から薬用としても
スパイスとしても
知られていました。


インドのアユルヴェーダ医学でも
昔から使われています。
ヨーロッパへは中世初期にアラビア
の商人によって持ち込まれ
貴重で高価なものでした。


カール大帝が皇帝庭園で栽培させ
アニスを思わせるこの植物がドイツ
へも入ってきました。


ヒルデガルトはコウリョウキョウ
には治癒力があると
評価していました。
発熱、背中の痛み、心臓の疾患など
さまざまなトラブルに勧めています。


ヒルデガルト医術では
コウリョウキョウは心臓の万能薬
とされています。
ドイツの薬局や自然食品店では
粉末、ワイン、錠剤が売られています。


ヒルデガルトは胃のトラブルに
コウリョウキョウを勧めています。


ジンジャーとコウリョウキョウの
粉末
・ジンジャー粉末 20g
・コウリョウキョウ粉末 40g
・ガジュツ粉末 10g


粉末をすべて混ぜ合わせ、毎食後と
就寝前にリキュールグラス1杯の
ラントワインにひとつまみ混ぜて
飲みます。


《カレンデュラの湿布》
カレンデュラ

Calendula officinalis/Ringelblume
キンセンカ


カレンデュラはキク科で
とくに地中海地域と西南アジアが
原産です。一年草もしくは多年草で
花の色は黄色からオレンジまであり
花壇にもよく植えられています。


カレンデュラは強力な黄色い花粉が
バターやチーズの着色に使われた
だけでなく当時は非常に高価だった
サフランの偽物としても
利用されました。


民間療法ではカレンデュラの軟膏は
治りにくい傷や膿瘍に使われました。
そしてカレンデュラはアメリカ独立
戦争(1861~1865)の際に再び特別な
称賛を得ました。


薬が十分に供給されないことが
多かった軍医が、負傷者を手当て
するために彼らは摘んだ
カレンデュラの液で治療を
行いました。


ヒルデガルトはカレンデュラを
強い緑の力があるからと強調し
とくに厄介な皮膚のトラブルに
勧めています。


かさぶたの形成を助けてとくに
火傷、湿疹、乳児脂漏性湿疹、
膿瘍、いぼ、にきびに効くと
勧めています。


カレンデュラの湿布
・カレンデュラの花 ひとつかみ分
・水 1/2L


カレンデュラの花を5分
とろ火で煮て濾して、軽く絞ります。
湿布用の布に包み、幹部に当てます。
火傷しないように湿布の下にタオル
を1枚入れます。


このようにレシピも紹介して
くださっています。


その他にも
胃の浄化のためにネトルティーを
飲んだり
アンゴラの腹巻や湯たんぽで胃を
温めることなども推奨しています。
ぜひ試してみてくださいね。


ここまで読んでいただき
ありがとうございました。
さおりんでした。

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この記事は
LGBTQのジェンダー種族や
ADHD・HSPなどの繊細敏感種族
いわゆる繊細感覚派の方々向けに
セルフメンテナンスする生き方の
ために「ヒルデガルトのハーブ療法」
から一部引用して紹介したものです。
ぜひ手に取って
読んでみてくださいね。

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