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恵まれていても、人は悩む

先日、母が「あなたは、昔から運がいいからね」と何気なく言われた。

週末で人が多く、駐車場がいっぱいだったお店の駐車場にて。偶然一台空いていたので、スッと停めた際に母がつぶやいたのだ。

そう、昔から私は「運が良かった」。

実はそれが、ぼんやり抱く悩みの原因にもなっていたと先日ハッと気づいた。

私が高校3年生のとき、世間は就職難だった。学校にくる求人も大幅に減り、商業高校にもかかわらず、クラスの半分以上が進学に切り替えていた。

運よく受けられた第二希望の職場の面接に私は落ちてしまい「進学に切り替えなきゃ……」となったが、数日後「今年は募集しない」と聞いていた第一希望の職場から募集あり、たまたま受けて採用された。

もし、通常タイミングでの募集だったなら、クラスで上位の成績の生徒に負けて、きっと受けられていなかっただろう。

しかしその後、会社自体は安定していていい会社だったものの、仕事内容が向いてなさ過ぎてメンタルがボロボロになった。気分転換に趣味でもスタートさせようかな、と高校の先輩から紹介された社会人吹奏楽団に入団したところ、偶然今の夫に出会って、数年後にとんとん拍子で結婚まで至った。

もし、あのとき職場ですごく悩んでいなかったら「気分転換に楽団に入ろう」なんて思わなかっただろう。

その後、正社員ではなく派遣で何社か仕事を続けた。周りの派遣社員の方は、いろいろな派遣先で嫌な思いをした話をよく聞いたが、私はいつも穏やかな環境に恵まれた。今思うと、条件の良い派遣の仕事紹介をしてもらえていたのかもしれない。

……などなど、運が良くて何かと助けられたエピソードはたくさんある。一見悪そうに見えるエピソードも、実はその後に良き方向に進んでいる。

職場環境に大きな不満はなかったもの、うつ状態になり「会社組織から離れてみよう」と勢い余ってフリーランスになってもうすぐ2年経つ。

流石に「どうなることやら、会社に所属していないとか、ヤバいかも……」と当時は思ったけど、ありがたいことに、今のところは不思議と仕事は途切れず、依頼がある状態だ。

もちろん、それなりに勉強したり努力したりはしているけれど、半分以上は「もともとの運の良さ」や「人とのご縁」のおかげな気がしている。

クライアントさんがすごい。あの方がすごいだけ。

うまくいっても、多少はうれしい反面、どこかで「自分の実力でも、なんでもないんじゃないか」「たまたま、だよね」という思いを常日頃感じているからか、どことなく控えめになる。

ネットやSNSを見ると、自分で戦略的に計画を立て、成功のためにひたすら努力して成功を掴み取って……という人を見ると、自分から何でも切り開いていてすごいなといつも思い、尊敬する。キラキラして、心が動くストーリーもあって、輝いて見える。

反面「わたし、たまたま運がいいんだけなんだよなぁ……」とどこかで感じ、良かったことすらも「自分の力ではない」などの気持ちを子供のころからずっと抱えていた。

なぜ自信があまりないのか?

なぜ、自分がうまくいったことの発信ができないのか?

それは、日ごろ感じていた「運の良さ」にもあるのではないか、と母の言葉でようやく気づいた。

「そうだねー。私、やっぱり運がいいんだよね。なんか、わたしの力ではない部分で何かが起こっているような気もしている(笑)」

と、半分本気、半分冗談交じりに母に漏らした。どことなく、感じていた本音を久々に誰かに共有できた気もする。

正直、あまり同意や理解してもらえなさそうな悩みだ。人間の感情の言語化は、やっぱり難しいし、理屈で語るのは時間がかかる。

だから人はひとりで悩むのだろう。人間は複雑だ。

そのため、こんな贅沢な悩みも人に共有することもなかった。

「でも、それはきっと努力しているからでしょ。運も実力のうち」

と当たり前のように笑って答えていた。

「あ、運の良さも実力だと思っていいんだ」と。スッキリしなかった心がその言葉でフッと軽くなった。他人から言われると、なんだか少し受け入れやすくなる。

多分、母はあまり深く考えてないだろうし、深い意味はないだろうけど。

だからこそ、私は少し救われた。産まれたときから見ている母が言うなら、少し信じられる気がする。

「世の中には、不思議なことに自分に在る幸せや幸運を素直に受け取れず、心の奥底では喜べていない人がいる。恐怖から受け取り拒否をしている人も少なくない」という旨の内容が書かれた本を以前読んだ。

当時は「なぜ?」と思ったけけれど、私もそうなのかもしれないな、と今になって気づく。

運の良さや生まれ持ったものも、素直に喜び、自分の一部として、ただ受け取れば楽になるなぁと思う。そうやってうまくいってもいい、誰かのおかげでしあわせで、楽しくあっていい。

または、自分でガンガンしあわせを掴みに行ってもいい。

本当はきっと、どちらの道でも私たちは選べると思うからだ。

これからやってみることの1つに加えてみた。意識してみよう。

あなたの生まれ持った「ギフト」は何でしょうか。

抱えやすい悩みやスッキリしないことは、もしかしたらあなたが与えられている、実は「恵まれたギフト」があるが故に生まれているものかもしれません。

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