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ビートルズに学ぶグリットとアジャイル

僕はよくビートルズをビジネスのヒントとして考えることがあります。過去にも、組織で働くためのビートルズについて書いたこともあり、あらゆるビジネスシーンにおいてたくさんのヒントを貰っています。

今回は、グリットとアジャイルという考え方について、ビートルズを交えながら説明します。


グリット的な後期ビートルズ

グリットとは、困難な状況に立ち向かい、逆境にも負けずに目標に向かって進む強靭な精神のことを象徴した用語です。

GRITの略称は下記の通りです。

Guts(度胸):困難なことに立ち向かう
Resilience(復元力):失敗しても諦めずに続ける
Initiative(自発性):自分で目標を見据える
Tenacity(執念):最後までやり遂げる

グリット/GRIT/やり抜く力とは?【意味を解説】身につけ方/kaonavi

グリットは、Guts(度胸)を持ち、失敗や困難にもめげずに続けるResilience(復元力)を示し、さらに、Initiative(自発性)を持って、自ら目標を定め、それに向かって努力します。そして、Tenacity(執念)を持ち、最後までやり遂げる強い意志が求められます。

グリットの精神は、単なる開発手法ではなく、困難に立ち向かう姿勢や継続する力、自己の目標を追求する決意を象徴しており、最後まで「やり抜く」という点にフォーカスした考え方です。

ビートルズは1966年8月29日、世界中をツアーで巡り続ける人気絶頂のなか、サンフランシスコ・キャンドルスティック・パークでの公演を最後にライブ活動を終了し、それからレコーディング活動に専念します。ここからが世間一般的に言われている「後期ビートルズ」です。

後年語り継がれる名曲である『Let it be』も『Strawberry Fields Forever』も、名盤である『Abbey Road』も後期ビートルズが作り出しています。

これら後期ビートルズの名曲は、聴けば聴くほど新しい発見が出てきます。様々なアプローチがされていることから、細部にまでこだわって一曲一曲を妥協せずに録音していたことがよくわかります。

あのスティーブ・ジョブズも、ビートルズが妥協することなく曲作りをしていたことを高く評価しており「僕のビジネスモデルはビートルズだ」とまで言っています。

後期ビートルズほど、グリットなビジネスを遂行していた集団は他にないかもしれません。

アジャイル的な初期ビートルズ

一方でアジャイルとは、迅速で柔軟な開発手法であり、プロジェクトを短い反復サイクルに分割し、急いで納品することや細やかな保守運用を重視するものです。

アジャイルのチームは少人数で編成されることが一般的で、臨機応変に対応を続けながら開発を続けていきます。もちろん低い品質でよいわけではありあせんが、計画通りに徹底的にこだわるのではなく、短納期で急いで納品することに重きを置きます。

上述した後期ビートルズと異なり、デビュー後、数年間にわたってリリースされた初期ビートルズのアルバムには、意外なことに演奏の荒さが目立ちます。

セカンドアルバムである『With the Beatles』に収録されている『All my loving』という曲があります。ポールマッカートニーの曲でボーカルもポールです。

この曲の間奏が終わったあとに、なんとあのポールがベースを演奏ミスしているのです。(tomorrow I'll Miss Youの"miss"の部分でC#mを弾くべきところで別の弦を弾いてしまっている)

また、ファーストアルバムの『Please Please me』の最後の曲はジョンレノンがボーカルを取っている『Twist and Shout』です。

この曲をレコーディングした日、ジョンは数時間のセッションにより声が枯れてしまっており、絞り出すような切迫感でこの曲を歌いあげています。この枯れた声によるシャウトが絶妙にロックンロールの雰囲気を醸し出すこととなり、結果的にロック史に残る名曲となりました。

ポールのミスにしても、ジョンの枯れた声にしても、いずれもそのままのレコーディングがリリースされ現代まで聞き継がれています。

初期のビートルズは後期の様に完璧主義的なレコーディングをするわけではなく、短納期で世の中にリリースさせることを優先させた、アジャイル型のチームだったことがわかります。

グリットとアジャイルを使い分ける

仕事をしていると、成果物の品質に徹底的にこだわらなければいけないこともあれば、とにかく早く仕上げて納品させなければいけないこともあります。

徹底的にこだわってやり抜くことが大切である一方で、素早く提出することも大切になるわけなので「どっちを優先させればいいんだ」と困惑してしまうのが正直なところです。

こういった時に僕はビートルズを思い浮かべるようにしています。

高い品質を求められ、やり抜かなければいけない時には、後期ビートルズの曲を思い浮かべてグリットを意識します。『Abbey Road』の様な徹底的なこだわりを意識して、妥協することなく仕事に取り組むように気を張っています。

一方で、短納期を求められた時には、初期ビートルズを思い浮かべて、とにかく素早く作業をします。多少のミスがあり、高品質な成果物に仕上げられないとしても、ポールのミスやジョンの枯れた声のように、それはそれで価値あるものになることもあるからです。

ビジネスのシーンでは様々な困難が生じますが、グリットとアジャイルを使い分けて仕事に向き合えば、いずれの場合も良い成果を出すことができるはずです。

ビジネス書を読むよりも、ビートルズを聴いた方が、仕事に役立つノウハウを得られるかもしれません。

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