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「辛口が好き」なのは何となく|もっと自分を知ろう

この前、日本酒を買おうと思い、初めて行った酒屋で何を買おうか迷っていたところ、店員さんが声掛けしてくれてどんな日本酒が欲しいかを聞いてくれました。

僕は今までずっと甘口な日本酒を好んでいたので「あまり辛口は好みではないので、辛口でないものを選びたいです」と伝えたところ、急に店員さんの目の色が変わり「別に辛口が好きな人を否定するわけではないんですが」と前置きしたあとで、なぜか日本人には「辛口が好き」だと言う人が多いエピソードとその歴史的な理由を教えてくれました。

アンケート調査をしたところ「好きな日本酒は辛口だ」と答えた日本人100人に「では、最近飲んで美味しかった日本酒の銘柄は?」と質問すると、その銘柄が辛口であった人は100人中5人しかいなかったそうです。

つまり、多くの人が「辛口が好き」と言いながら、実は辛口が好きなわけではなかった。何となく「辛口が好き」と答えていたということです。

これには時代的な背景があり、1980年代頃に新潟の日本酒を県外に普及する国策が行われ、それらの日本酒が辛口だったことから「日本酒は辛口が美味い」というイメージが世間に浸透していきました。

これに加えて、今に至るまでロングセラーとなっている、アサヒスーパードライが1987年に販売され、辛口のブームが巻き起こります。

この当時の「辛口が美味い」というイメージが浸透したことで、ある種の文化が醸成されてしまい、多くの日本人が何となく「辛口が好き」と答えるようになってしまったのです。店員さんは、この文化を見過ごしてしまっていた我々業界人の努力が足りていないと語っていました。

この話を聞いて、日本酒だけではなく「何となく」で回答してしまっていることは他にもいろいろあるなと思ってしまいました。

飲食の趣味もそうですが、洋服だってそうだし、選ぶ家電もそうです。海外旅行先もメディアでよく目にするヨーロッパあたりから、何となく行きたいと思っている人が多い気がします。

自分の趣味関心のことなので、本当に自分が好きでそれを選んでいる理由を、もっと明確に回答ができるようになるべきなのかもしれません。

もっと自分と世の中を知るべし。そんなことを感じました。ちなみに僕の日本酒の好みは、昔からブレることなく甘口が好きです。

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