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習うか独学か|理髪店の教えと入門書活用法

難しい本を読んでみようと思った時など、ついつい自分のことを過信しすぎて原本から挑戦してしまい、すぐに挫折することがあります。

典型的な例はカールマルクスの『資本論』の様な古典で、世の中にはたくさんの「資本論入門」の様な入門書があるにも関わらず「挑戦したい」という気持ちが芽生えてしまうことから、入門をすっ飛ばしていきなり岩波文庫の『資本論』を読み始めてしまうのです。

そうすると、いきなり最初の「序文」で何を言っているのかさっぱりわからず、序文を読み飛ばしてみても、本文の冒頭で商品のことが語られるあたりで、その難解さに理解が追い付かなくなってしまいます。

こういう時は自分のことを過信しすぎずに、まずは入門編で全体的な理解や時代背景を抑えてから徐々に挑戦していくことが大切です。NHKの『100分de名著』など、古典的な名著を読み始めるときの入門には適しているように思います。

つまり、大切なことは自分の理解力を過信せずに、先人たちの知恵を借りて着実に勉強をしていくことです。世の中には自分よりも先にそのことについて学習をした賢くて偉大な人たちが、大抵の場合はたくさんいるものです。

しかし、だからと言って独学をせずに物事は全て誰かから習えばいいのかと言うと、そうでもないように思います。

予備校に入塾するだけで名門大学に進学できるわけではなく、ネイティブ外国人講師のマンツーマンレッスンを受けたら外国語が話せるようになるわけでもありません。しかも彼らはそれが商売なので契約する際には、本当に必要なサポートなのか吟味することが大切です。

人の力を借りることは大切なことですが、それはあくまでも自分が主体的な姿勢で物事を学んでいる時の話なのです。

株式投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットの言葉に「髪を切るべきかどうか床屋に聞いてはいけない」という格言があります。

この言葉には、まずひとつは「自分の頭で考えろ」というシンプルなメッセージが込められています。主体的な独学を推奨しているのです。

そしてこの言葉にはもうひとつ「利害関係が生じる相手に相談をしてはいけない」という意味も含まれています。

顧客の髪を切ることが商売である床屋に「髪を切った方がいいですか?」と聞いたら、「切った方がいいですよ。うちでぜひ切っていってください」という話になるはずだからです。

独学よりも習った方が理解度も高く効率も良い、というのは正しい情報かもしれませんが、その提案をしてくれている人がどの立場の人なのかは見極めて聞いた方がよさそうです。教育業界や予備校関係者、セミナーの主催者だったとしたらどうでしょうか。

世の中には独学で勉強を頑張りたい人向けの入門編がたくさん出版されています。せいぜいが数千円、もしくは図書館で借りれば無料で勉強することができるので、まずは何事も独学から始めてみることをおすすめします。

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