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ビートルズに学ぶフローとストック|未来に残す価値

経済学や財務管理の概念にフロー収入とストック収入という考え方があります。

フロー収入は定期的に受け取る収入であり、給与や賃金などがこれにあたります。労働の対価として得ることができる収入です。

一方でストック収入とは、資産の総量を表しており「蓄積」を意味して使われます。貯蓄口座の残高や所有している株式の価値などがこれにあたります。

よく資産運用の説明などで「労働からフロー収入を得るだけの資産形成から、貯蓄や投資を始めてストック収入に転換していこう」といった文脈で語られることが多い表現です。

必死に働いてたくさん収入を得るのは良いことですが、それも使ってしまっては何も残りません。収入の何割かを貯蓄や投資に回してストック収入を増やしていくことが大切です。

ストック収入の良いところは、十分な蓄積がある場合はストックそのものが収入を増やしてくれる点にあります。不動産からの賃貸収入や株式投資からの配当収入がこれにあたります。

やはりストックをどんどん増やしていきたいとよく思います。これは金が好きだからとかそういう問題ではなく、遠い将来にまで残る価値を築き上げることに繋がるからです。短期間の生活を支えるフロー収入では未来に思いを馳せることができないのです。

ビートルズは1966年8月29日、世界中をツアーで巡り続ける人気絶頂のなか、サンフランシスコ・キャンドルスティック・パークでの公演を最後にライブ活動を終了します。

ファンの殺到による身辺の危険や過密なスケジュールも要因のひとつですが、アイドルの様な扱いをされることで、本来やりたかった音楽活動ができなくなっている現状への不満が最大の要因だったようです。当時のファンは熱狂こそしていましたが、歓声が大きすぎるライブのなか、演奏はほとんど聴こえる状態ではなかったそうです。

ここから後期ビートルズの更なる大躍進が始まります。レコーディング活動に専念し、後年語り継がれる名曲の数々を生み出していくのです。『Let it be』も『Here Comes the Sun』も『Lucy in the Sky with Diamonds』も後期ビートルズの名曲です。

これら後期ビートルズの楽曲も「ストック」の概念で考えるとしっくりくることに気づきました。

初期のビートルズは多忙なスケジュールのなかライブを繰り返し、働きまくることでフロー収入をじゃんじゃん稼いでいます。(厳密に言うとレコーディングもしているのでストックも大量に蓄積されている)

一方で後期ビートルズはモノづくりに集中して後世にまで残る名曲を妥協することなく作りこんでいきます。結果的にそれらの楽曲は世界中で何十年も聞かれ続け、今に至るまで莫大な富を生み出し続けています。

やっぱり消耗しながら貯まることのないフロー収入よりも、蓄積されることで未来に価値を提供するストック収入の方がいい。そんなことをビートルズから学ぶこととなりました。

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