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時短と心理のバランス|ベルトコンベアー的な健康診断

先日、会社から義務付けられている健康診断を受けてきたのですが、今年は例年受診していた場所が予約で埋まっていたため、初めての健診センターで受診してきました。

今回受診することになった健診センターは非常にシステマチックに設計されていて効率が良く、滞在時間はわずか30分足らずで健診を終えることができました。

そして受診結果はスマホのアプリに通知され、電子データとして保存したうえで閲覧することができます。

勤務時間中に受診するように指示されていたこともあり、今回の健康診断は早く終わらせたい気持ちが強く、こういったシステマチックで効率的な運営は非常に助かりました。

しかし、驚くほどの効率良い運営に少しモヤモヤした気持ちがあるのも正直なところです。このモヤモヤの要因は何なのでしょうか。


忙しい会社員のニーズ

健康診断は行政が事業所に課していることでもあるので会社員である限り受診しないわけにはいきません。ましてや検査費用も会社負担です。

僕は健康への意識は高い方ですが、一般的には病気の早期発見に高い意識を持っている労働者は少ないように見えます。

そういった方々が忙しい仕事の勤務時間を削って受診をするわけですから、健診する側は効率よく運営して検査時間を短縮することは顧客のニーズに応えることに繋がるわけです。

病気の早期発見への意識を高く持っている僕も、普段かかりつけ医のもとで同じ内容の検査項目を既に検査していることから、いわば重複した健康診断をすることとなり、結果的に「早く終わらせたい」という気持ちが強かったです。

今回受診した健診センターはこのニーズにばっちり応えてくれました。

予約していた時間に受付に向かうと、左手の手首に番号とバーコードが付いたタグが付けられ、このタグで情報は管理されます。受診者は各検査ブースの近くで順番を待ち、番号で呼ばれます。

尿検査から始まって、血圧測定、身長体重測定、心電図、レントゲン、採血、視力聴力検査、医師との診察まで、流れるように実施されていきます。

各ブースに検査員が配置されており、検査が実施されたら次は何番ブースの前でお待ちくださいと指示され、その通りにしているとほんの数秒待っただけでまたすぐに番号が呼ばれます。

この様に言われるがまま応じていたところ、30分もかからずあっという間に終了してしまいました。

おかげで仕事にも特に支障をきたさずに戻ることができ、検査結果の共有も後日スマホに通知されてPDF化もできたため、会社への提出までの全てをスムーズにストレスなく実施することができたのです。

しかし、ここまで効率良く診断されると「ベルトコンベアーに乗せられている」感覚になったのも正直なところです。

潜在している心理的なニーズ

こうしてベルトコンベアー的な健康診断を経験することで、僕が普段かかりつけ医に診察や検査をしてもらっている時の日常的な対話にも、重要な意味があったのだと気づくこととなりました。

効率の良い健康診断は時間を節約し、経済的にも合理的ですが、医療においては「患者が安心する」ということも大切な要素なのだと思います。

もちろんデータを確認することでも大きな安心感を得ることはできますが、大多数の患者は医療において無知でありデータ分析も得意ではありません。そして、少しでも不安を抱えている人間というのは不合理な考えを抱きがちです。

今回は受診する側である僕のニーズが「早く終わらせたい」だったため、健康診断を提供する側と受診する側の双方にとって良い結果となりました。

しかし、本質的な健康診断の目的は単に病気の早期発見だけではなく、患者の不安を和らげて健康に対する意識も高め、心身ともに健やかに普段の仕事に励んでもらうことなのかもしれません。

世の中は物凄い速さで効率的な運営に進化していっていますが、効率と心理的な満足度のバランスを欠かさないよう気を付けたいものです。

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