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葬祭用品メーカーの社員が考える、みんなに知っておいてほしいこと。ぬいぐるみ型ドライアイス入れ〈ゆめだっこ〉

ゆめだっこという「ぬいぐるみ型ドライアイス入れ」に、私も関わることになったのは商品として既に完成した後。使命感にも似た気持ちを抱き、10か月ほど前にゆめだっこプロジェクトを立ち上げ、関わり始めました。

幼いこどもをあたたかく見送るための「ぬいぐるみ型ドライアイス入れ」

ただのぬいぐるみではない、ゆめだっこ。

ぱっと見て、これがどのように使われるものなのか、わかりましたか?
この〈ゆめだっこ〉は、亡くなられたお子さん向けに作られたもの。ご遺体の冷却時に使用して頂く商品です。このゆめだっこに関わるたびに、「自分の子だったら…」と、ぎゅっと締め付けられるような気持ちになりましたが、こんな商品が存在していることを知ってほしい、必要としている人に届いてほしいという思いでプロジェクトを進行させてきました。


遺族側も、葬儀社側も辛い現状

人が亡くなってから火葬するまでの間、腐敗が進んで顔色が悪くなっていくことを防ぐために冷却する必要があります。多くの場合、ブロック状にカットされるなどしたドライアイスが使用されます。胃酸を凍らせて体に巡っていかないようにするため、胸の上(胃のあたり)に置かれますが、仏衣でドライアイスが見えない大人と違い、こどもの場合はパジャマで送り出すことが多く、隠せません。

そのため、小さな体にドライアイスを載せている様子に対して「重たそう」「冷たくてかわいそう」といった声がご遺族から葬儀社へ寄せられることがあります。葬儀社の方はこどもの小さな体にドライアイスを置かなければならないことに心を痛めながらも、できるだけ生前に近い顔色を保った状態でお別れの時間を過ごしてほしいという思いがあるため、ドライアイスを置かないわけにはいかないという現状があります。


現状を知って感じた2つのこと。

そんな現状、知らなかった。
それが私がまず最初に感じたことでした。

そもそも私にとって、こどもが亡くなるということは「絶対に絶対にあってほしくないこと」。TVなどのニュースで流れてくることに心を痛めながらも「自分の家庭ではない」と、考えることを避けていた面もありますが、、

葬祭用品メーカーに勤めていながら、こどもが亡くなった時に葬儀社さんがどんな対応をしてくれるのか、どんな風に見送ることになるのかなど、考えたこともなかったということに気づきました。

そして次に感じたのは、これは必要としている人に届けなければいけないものだ。ということでした。

実際に経験したことがないので、想像の範疇を超えることはできませんが、「娘の体の上にブロックのドライアイスを置くなんて耐えられない」と強く感じたのを覚えています。


悲しみをゼロにはできないけれど

様々な試行錯誤の末、ようやく完成したゆめだっこ。こどもがぬいぐるみを抱きしめているような体勢で冷却を行うことができ、見た目から感じる〈重たさ〉や〈冷たさ〉を軽減することができます。

大切なこどもを亡くした悲しみをゼロにすることはできませんが、ご遺族が悲しみを感じなくてもよい「ご遺体の冷却」という場面で、更なる悲しみを生ませないようにすることができる商品だと考えています。

この〈ゆめだっこ〉が、誰もが知っている商品として世の中に浸透していってほしいというのが私の想いです。

使うシーンが来ないことが一番ではありますが、〈ゆめだっこ〉という商品の存在を、より多くの方に「知っておいてほしい」と思っています。

こどもが亡くなった時のことなんて、私も積極的に考えたいとは思いません。ですが、〈ゆめだっこ〉について考えたことがきっかけとなり、より一層「今を大切にしよう」と思えたのは確かです。

死別や別れについて考えることは、今を大切に生きていくことに繋がると感じています。たくさんの方に、ゆめだっこの存在を知って頂けますように。