見出し画像

変わり易くは女心と東京の街 (東京散歩のススメ)

私は生まれも育ちも東京でありそれ以外の県には住んだことはない。度々旅行に赴くがそれも大抵一泊二日、長くとも二泊三日で帰ってきてう。何故だろうか。それは家庭に所属しまだ独り立ちしていないという理由も挙げられるが矢張り東京こそがアットホームだからであろう。そして私は東京の大地を独り気ままに闊歩するのに興を感ずる。所謂、散歩を趣味としている男である。そんな、散歩なんぞ何が楽しい、と同輩たちは言う。どうかすれば親の世代の人間も言う。私はまだ高校生である。成程、確かに客観的に我が姿を慮るに散歩とは枯れた趣味なのかもしれない。古地図を持って散歩をするのだから殊更だ。然し、然しだ。あなたは自らが住う大地のことをどれくらい知っていますか?ほとんどの人間が自らの住う街に付いては全く興味を示さず外へ、外へ、と行きたくなる。隣の芝は青い、と言う諺があるほどであるからそういったことは人間の本能に刻み付けられたものであるから別に否定はしない。私だって東京を離れてイタリアに行きたい。釧路に行きたい。私が言いたいのは一生外に出るなということではなくて自らの住う街にも天地の開闢以来培われてきた歴史と伝統があり、歴史と伝統の狭間には個人間の壮大なドラマが存在する、というわけである。そこに目を向けるのも楽しかろう、ということである。

話が少々逸れてしまった。とにかく私は散歩が趣味である。変わり易くは女心と東京の街、である。毎日何かが壊され何かが築かれている東京には歩くだけで新たな己と邂逅することが出来るのである。少なくとも私はその様に思う。

ただ歩くだけでも良い。然しながら勉学と同じく予習をしておくと今まで気づくことができなかった小さなものにさへも感動と興奮を感ずることが出来るのである。東京の近代史は文学と共にあり。なかんずく明治、大正期の文学作品というのは東京を題材にしたものが非常に多い。故に必然的に東京の地形も事細かに小説の中で描かれている。そういうものを読んだのち東京中を散歩するのは大変感動的である。こんな文学作品がある。

『青年』日本を代表する文豪、森鴎外によって書かれた長編小説である。小泉純一という大学生の主人公が田舎から上京してきて大都会東京で自らの身を建てるべく奮闘するという物語である。そして『すみだ川・新橋夜話』はこれまた日本の文豪、永井荷風によって書かれた小説である。本書は短編集であり私が特に好むのは『深川の唄』という短編である。恐らく筆者自身であろう主人公がかつて栄えた江戸の姿を求めさすらって自宅から深川へと赴く短編である。

上記二冊の小説は大変に我散歩ライフを益あるものにしてくれた二冊である。当時の空気感や人間の思想などが濃密に凝縮されている小説である。是非、上記二冊を手に取ってまたは青空文庫で読んで見た後、東京の街を訪うことをお勧めする。さすれば新たな感動に気づくであろう。

私も彼らに影響を受けて散歩小説を書いたことがある。彼ら並みのクオリティには未だ及ばぬがそれなりの短編に仕上がっている。時間が許すならば読んで欲しい。

 そして最近のことである。私はさらに散歩ライフを充実させるべく何か新しいテキストを探し求めていた。そんな中発見したのが以下の二冊である。

上記の二冊はまた今まで読んできた文学とは違った観点で東京という街を解説していた。そのことについて私はTwitterを用い簡易的な感想を述べた。

簡易的な感想は上記の通りである。偶然的に二冊は地学、文化という全く違う観点から東京を解説していたのである。そして当然のことながらとどちらも大変に興味深くまた一つ賢くなれた様に思える。まだ一度通読しただけであるので見落とした情報もあるだろうが一度読んだだけでもかなり興味深く記憶に刻み込まれた。

上記の二冊を読むことによってより東京の街が、消え去った江戸の姿が立体的に想像できそうである。

どうですか?あなたも上記の本を読んで東京の街へと繰り出して見ませんか?さすればまるで前世の記憶を呼び起こすが如く東京という歴史ある街を懐かしめ、今よりもっと自分の住んでいる街が愛おしくなるでしょう。

また会いませう。

画像1


この記事が参加している募集

読書感想文

私のイチオシ

是非、ご支援のほどよろしく👍良い記事書きます。