見出し画像

日本発、世界に通用するSaaSプロダクトを目指して ~Sansan Globalのキーパーソンが語る東南アジア戦略~

Sansanは日本だけのサービスだと思っていませんか?
実はSansanは2013年からアメリカ、シンガポールに拠点を開設し、今では60か国以上で使われています。
Sansanの売上に占める海外比率はまだ微々たるものですが、私たちは海外展開を再加速します。

そのための2つの主要な取り組みが、Bill Oneの東南アジア展開とフィリピン・セブ島のグローバル開発センター開設です。

Sansanのグローバル事業を牽引する千住 洋にその戦略を聞きました。

プロフィール
千住 洋(せんじゅう ひろし)
Sansan Global Pte. Ltd. CRO

2009年にSansan株式会社へ入社。経営管理部にて人事・法務・経理や名刺入力オペレーションを担当したのち、 2011年より名刺アプリとして立ち上がったキャリアプロフィール「Eight」のプロダクトマネジメントやマーケティングを統括。その後、Eightのグローバル展開を開始。2019年よりシンガポールを拠点におくSansan Global Pte. Ltd.に移り、現在同社CRO(Chief Revenue Officer)、タイ駐在員事務所 General Manager。

Sansanのグローバル展開のこれまで


ーまず、Sansanのグローバル展開の歴史を教えてください。

ビジネスシーンにおいて名刺は世界中に存在するため、グローバル展開の構想は会社設立当初からありました。
そして、アジア初の拠点として2015年にシンガポールにオフィスを開設しました。

シンガポールを選んだ理由は、東南アジアのハブと言われていること、英語話者が多くコミュニケーションの心配がないことなどです。

当初シンガポールでは、法人向け名刺管理サービスとして始まった「Sansan」と個人向けの名刺アプリ(現、キャリアプロフィール)「Eight」のコンセプトを織り交ぜた、モバイルアプリを販売していました。
これは交換した名刺をアプリに取り込み、同僚と名刺情報をシェアできるサービスでした。

現地で2年程サービス拡大を試みましたが、期待していたほどの成果は得られませんでした。
やはり新しく参入する市場で、他に類を見ない新しいソリューションを展開するのは難しく、またオンラインセールスを中心に行っていたため顧客との距離があったことも課題だったように感じます。

その後、日本と同じ「Sansan」の提供に切り替え、私が2019年にシンガポールへ赴任し、Sansanのグローバル展開を加速させていきました。

Sansan Global(シンガポール)のメンバー

「ラストワンマイル」の対応を強みに東南アジアへの展開を拡大


ーなぜ今このタイミングで東南アジア展開の拡大を決めたのでしょうか?

理由は大きく三つあります。

一つ目は、ASEAN地域はGDP成長率が高く、今後市場の伸長が期待できるからです。
私たちが価値を出せると自信を持っているアナデジ(アナログ to デジタル)の領域へ早期に参入することで、開拓者としてのポジションを取っていきます。

二つ目は、東南アジアにはいまだ商習慣として紙の書類が多く残っており、デジタル市場の伸長が期待できるからです。
2021年に日本でインボイス管理サービス「Bill One」を立ち上げ、昨年からはグローバルでも提供を開始しています。
そして2023年1月にはSansan Global Pte. Ltd.の傘下にバンコクオフィスを開設し、タイ市場へ参入しました。
同じ課題を抱えた他の東南アジアの国へも今後展開を進めていきたいです。

三つ目は、「ラストワンマイル」のデジタル化対応が求められる地域だからです。
東南アジアと一言でいっても、シンガポール、マレーシア、タイなど全く違う国々です。それぞれの国で法令も商習慣も、そして言語も違うため、細やかなサービス設計が必要不可欠です。
そんな痒い所に手が届くような市場ニーズに沿った対応は、実は海外の企業には苦手な分野。そして、私たちSansanが得意とするところです。

これから大きな拡大が見込まれる東南アジアのデジタル請求書市場で、Bill Oneを武器に挑戦していきます。

タイ市場へのBill One導入のキーワードは「まるごとデータ化」


ータイの請求書業務の特徴を教えてください。

タイではいまだ9割以上の請求書が紙でやりとりされています。
その理由は明確で、タイでは納税証明書や領収書など、手書き署名・紙での保管が必要となる書類が多いからです。
そのため、郵送や保管のコストが課題になっていました。

しかし近年、タイ国政府はそんな商習慣を変えようと、2018年より“e-tax Invoice & e-Receipt”の運用にトライしています。
またコロナ禍で紙の書類で業務を行うことの課題が顕在化したこともあり、これまで当たり前だった紙の請求書のやりとりや紙書類を扱うための出社に対して、タイ企業は問題意識を持ちはじめました。

ー タイ市場の商機は独特な紙文化にあるということが分かりました。Bill Oneで解決できることを教えてください。

タイ市場でのBill Oneのキーワードは「まるごとデータ化」です。
紙が主流という文化の中で、いかに無理なくデジタルインボイスを導入できるか、請求書業務をデジタル化できるかが勝負です。

紙書類を確認するために出社しなければならない、全ての取引先から紙の請求書をなくすのは難しいといった課題をBill Oneで解決します。

「請求書を代理スキャンしてクラウド上で閲覧する」だけのツールにとどまらず、課題を抱える経理部門に寄り添った対応・機能追加で、非効率な業務からの脱却や自由な働き方を提案していきます。

それが今までSansanがやってきたことですし、「テクノロジー×人」の強みを活かせる部分だと自負しています。

グローバル機能の開発センターをセブ島に設立


ー昨年11月にフィリピン・セブ島にグローバル開発センターの設立を発表しましたね。その目的は何でしょうか?

新たな市場へ新たなビジネスを展開するには、バックアップしてくれる開発リソースが必須です。
日本だけでなくグローバルでもそういったリソースを潤沢に確保し、お客さまのニーズを先取りした機能開発を行うのが目的です。

この開発センターでは当面、Bill Oneを東南アジアへ展開するうえで求められる機能の開発をしていきます。

当然ながら、商習慣の違いからサービスに求められる機能は国によって異なります。
分かりやすい例を挙げると、日本ではハンコ文化が根強いため、承認画面の署名が印鑑になっています。しかしそれはグローバルではなじみのないデザインです。

各国の法律・電子請求書規格への対応や、本質的に経理業務にフォーカスできるフローの整備、ユーザーが使用して心地よいUIの開発に取り組んでいきます。

加速するグローバル事業、今後の展望


ー最後に、今後の展望や千住さんの思いを教えてください。

今後の展望を一言でいうと、ASEANでBill Oneを介して請求書のやりとりを行う「インボイスネットワーク」を拡大することです。

Sansanのビジョン「ビジネスインフラになる」にもある通り、自分たちのサービス・強みを活かして、出会いから取引の終わりまで責任をもって企業をつなぎ、ASEANのビジネスをスムーズにする役割を担っていきたいです。

もちろん一朝一夕には実現できないため、日々の努力を一つずつ積み重ね、グローバルメンバー一丸となってチャレンジしていきます。

【もっと「Bill One」を知りたい方はこちらへ】

【Sansanの公式Twitter】
Sansan公式Twitter

この記事が参加している募集