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「世界漂浪の記」 羽生隆 101選

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50年遅れの同じ日付で毎日投稿されていた羽生隆さんの旅行記「世界世界漂浪の記」の中から、何度も読み返したい特に印象深い投稿を集めました。
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2021年10月の記事一覧

❨31❩1971.10.2 土 晴 ラスベガスツアー

❨31❩1971.10.2 土 晴 ラスベガスツアー

6:30PM、ホテルのバーさん達とラスベガスへ行く。
グレーハウンドのバスで、月の光で明るい砂漠を100kmのスピードで突っ走った。

5時間バスで荒野を走ると、いきなり宝石みたいな街が現れた。
11:30PM頃、ラスベガスに着いた。

スバラシイ夜景。
初めて見る、世界で指折りの賭博場。あのネオンサインの美れいな事。
想像通りの所だった。
オウ!ワンダフル、ワンダフル と叫ばずにはおられなかった

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❨39❩1971.10.10 日 晴  子供達との休養日

❨39❩1971.10.10 日 晴 子供達との休養日

今日一日を休養日とする。
楽しい一日。彼女等と別れるのが辛くさえ感じられる。
いい娘、いい少年達だったと思う。

こんな事かあるからこそ、この長旅に耐えられるのだ。
やはり人間一人なんて、生きられっこない。
もし生きられたとしても、それは何と味けない人生となろう。

午前・午後、二回プールに行った。
落としたり、落とされたり、童心にかえって騒いだ。

子供と一緒にいる時はなんと、自分の醜さを感じ

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❨40❩1971.10.11 月 晴  カリフォルニア州シーリィ(Seeley, California)

❨40❩1971.10.11 月 晴 カリフォルニア州シーリィ(Seeley, California)

3000ftの山を かけ下りると、いきなり眼下に、目もかすむような広い砂漠が 現われた。感動の瞬間。
広い。ものすごく広い。
走った。疲れも忘れてただ走った。

スバラシイ ダウンヒル。
15分あった。

8号線をシーリィまで走る。
シーリィ(Seeley)のキャンププレイスでダウン。

スーパーでビールとチリーを買ったが、いずれもまずく捨てる。
あとでクラブまでビールを飲みに行く。

テーブルの

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❨42❩1971.10.13 水 晴  サン・ルイス~ユマの砂漠(San Luis~Yuma Desert)

❨42❩1971.10.13 水 晴 サン・ルイス~ユマの砂漠(San Luis~Yuma Desert)

サン・ルイスから、ユマの砂漠を走る。
流石、広い。
半日タップリかけても、まだ出なかった。

走っても走っても、広野と空と道が見えるだけ。
秋というだけあって、くそ暑くはないが、長く走っていると体はひからびて、水がたまらなく恋しくなる。

時折俺の前を、白いワニのような小さな動物が走って、すぐ草の中へ 消えて行く。

道脇に花も咲いている。黄色い小さな花だ。
こんな所に、またよく。

町の手前15

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❨43❩1971.10.14 木 晴  ユマ砂漠:苦しい1日(Yuma Desert)

❨43❩1971.10.14 木 晴 ユマ砂漠:苦しい1日(Yuma Desert)

なんとか無事夜が明け、ホっと一息。
車の音がちょっとうるさかったかナ。

ノンビリかまえて、踏み出した。
昨日16kmと聞いたので、1時間もこいで朝食にありつけると思ったからだ。

ところが、行っても行っても何にもなく、砂漠だけ・・・

よ~~~く考えてみれば、あれは16kmじゃなく、60kmだった。

あゝ、なんたる事。
陽は高くなり、腹は減り、水もない。
昼近くまで朝めし抜きで走り、11:30

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❨52❩1971.10.23 土 晴  セルバンドとマリア·テレサ:ロスモチス(Los Mochis)

❨52❩1971.10.23 土 晴 セルバンドとマリア·テレサ:ロスモチス(Los Mochis)

昼に出発の予定が、取消し。
皆んなから、もっといろ、いろ、と云われ、戸惑う。
別に慌てる旅でもなし、金を使う訳でもないので、とどまる事にした。

昼、あちこちセルバンドの連れの所へ行き、紹介された。

夕方、町から30km程の所(海)へ泳ぎに出る。
日が落ち、少し寒かったが、久しぶりの泳ぎで今までの疲れが取れた気がした。

夜も、マリア・テレサの所で0:00amまで話しをした。
彼女は、まだ17歳

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