”正しいこと” ≠ ”心地よいこと”
今日、仕事先からクレームのメールが入った。
私は、音楽関係の仕事をしている。
表向きは、寄宿型の学校にパートで雇われている形だけれど、働き方は個人事業主に近い。
高校生にプライベートレッスンを提供しているので、通常は個々の高校生とのコミュニケーションを円滑に進める事に重きを置いている。
顧客が、学業やキャンパス生活に忙しい10代の若者たちということもあり、レッスンをスキップ(レッスンに来ない)されたりすることもたまにある。
なので、彼らには毎週レッスン日の前日に、reminder (覚書)のメールを送り、
もしレッスンに来れないようだったら、事前に連絡してもらうようにお願いしている。
それでも何の連絡もなくスキップした生徒には、その分のレッスン料も支払ってもらうシステムだ。
[規定では ”レッスンのキャンセルは前日までに” となっている]
今年の新入生で、レッスン日に連絡なしで現れない生徒がいた。
いい子なんだけれど、スケジュールの管理をすることにまだ慣れていないらしく、これまで3回ほどすっぽかされた。
1回目は、初めてのレッスン日に来なかった。
”すみません。スケジュールを見間違えていました。”
というので、
”まぁ、新入生だからしょうがないか!”
と思って見逃した。
2回目は、レッスンの数分前になって、
”今日は都合が悪いので、別の日にレッスンしてもらえませんか?”
とメールが送られてきた。
”もっと早く教えてくれたらいいのに!”
っと思ったが、時間を再調整して後日レッスンした。
3回目は
”すっかり忘れていた。。。スケジュール管理ができていなかった。これからは気をつけます。すみません。”
だった。
”さすがにこれはダメでしょ!”
と思って、この日のレッスン料はいただくことにした。
そしたら、事務局からのクレーム。
私がレッスンをスキップした分の支払い請求をしたことに対して、生徒の母親から苦情があったらしい。
母親の言い分では、学校からの書類にキャンセル料が発生していたのを見つけたので、息子にレッスンに行かなかった理由を聞いたら、
”勉強が忙しかったので、別の日に調整してもらった”
と弁解したらしい。
事務局からは、”今回の件に関しては学校側から支払いをさせていただきますが、キャンセル料についてどのようにしていますか” という質問。
”はぁ?”
って思った。
いや、別の日に調整してレッスンした分は、extra chargeしてないし。。。
そのあと、彼の不注意から無断欠席をしたから、その分の請求をしたわけで。
私は直接、生徒の母親とやりとりをしているわけではなく、学校の事務局を通しているので、事務局に返信のメールを送り以下のことを伝えた。
① スケジュールを調整してレッスンした分に関しては、extra charge はしていないこと。
② 病気や体調不良が原因でキャンセルした場合は、支払いを請求していないこと。
③ その他の理由で欠席した場合でも、レッスンの1時間前までにメール連絡をもらっていた場合は支払いを請求していないこと。
④ 私はレッスン時間に合わせて外部から学校へ通ってきているので、遅くとも1時間前までにはキャンセルの連絡はしてほしい、と生徒にはお願いしていること。
事実のみ簡潔に伝わるように。
ここへ辿り着くまでに、私の中でいろいろ葛藤があった。
事実と異なる形で話が伝わっていることに怒りを感じ、何としても自分の正当性を証明しなくては、という気持ちが少なからずあった。
”私は悪くない!”
自分の正当性を主張したいあまり、生徒とのメールでのやり取りを事務局宛の返信に貼り付けてやろうか、とすら思った。
私は ”正しいこと” に執着していた。
でもね、そんなことをしたところで、生徒との関係性が悪くなるのは目に見えている。
しかも相手はまだ15歳で、悪気があって無断欠席したわけではない。
事務局側からしても、高い学費を払ってくれている生徒の親たちとは揉め事を起こしたくない。
詰まるところ、私の正当性とか、そういうのはどうでもいいことで。
[ちょっと悲しいけれど、これが現実!]
では、私が本当に求めているのは何?
"日々のレッスンを楽しめるように、生徒や職員、上司や事務局を含め、職場でのコミュニケーションを心地良いものしたい"
これが私の答えだった。
”正しいこと” = ”心地よいこと”
ではないんだな〜。
社会に出て何十年も経つけれど、また一つ新しいことを学んだな、と思った出来事でした。