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仙台育英高校を応援した夏を経て、じゃあわたしは、どう生きたいのかってことを。

ずっと待ち焦がれていた『君たちはどう生きるか』を鑑賞して、毎年恒例の8月1週間のひとり旅に出て、夏の高校野球を初日から最終日まで存分に楽しんで、やっとわたしの夏が終わろうとしている。

今年のひとり旅は遠くへは行かずに、大学時代を過ごしたおじいちゃんのお家で。そんなタイミングで、地元仙台育英高校が甲子園初日から活躍を続けて、本日決勝戦に進出。あいにくもうトーキョーに戻ってきてしまったので、決勝戦はこちらで観戦したのだけれども、とにかくとっても楽しい夏だった。

高校生の野球のトーナメント戦に、日本中が沸き上がる。その戦いがお盆休みに行われることもあって、それぞれ地元を応援して盛り上がる夏の風物詩のようなこのイベント。我が宮城県民は、たとえ宮城県代表が負けても、他に東北6県いずれかの代表校が残っていたらそちらを全県あげて応援するという独特な風習がある。

それは、昨年度の第104回大会まで東北地方は一度も優勝旗を手にしたことがなかったから。東北は野球が弱い。そう思われていることが悔しくて、優勝旗は白河の関を越えないと言われるのが悔しくて。幼い頃から、初戦は地元宮城を、宮城が負けたら残る東北代表校を応援し続けて20数年。昨夏、仙台育英が優勝したときは東北中が沸き上がった。

この夏は昨夏のメンバーが8人も残ったチームだったので、昨夏、今春、そして今夏と3大会連続で見てきた子達が楽しそうに甲子園でプレーする姿を見せてもらえることがただただ楽しくて。わたしのXもといTwitterは、仙台育英高校を応援するためのアカウントのようになっている。それも今日まで。

この夏、仙台育英高校を応援しながら絶対にこれだけはと守ってきたことがある。それは、推しの頑張りだけを発信するということ。どうしてもスポーツを観戦していると、球審の判断や相手の応援のモラルとかそんなところに注目が集まったりしがち。もちろん、今大会の仙台育英戦の中でも何度も目にした。

でも、わたしたち視聴者はあくまで「高校野球を魅せてもらっている側」で。そして、仙台育英の選手たちも須江監督も、常に相手をリスペクトして一つ一つのプレーを着実に、そして楽しんでいた。わたしは四番バッターの斎藤陽君を昨夏から推してまして。その理由は、彼がどんなにピンチの場面でも楽しそうにその試合を全力で楽しんでいる姿があるから。(だから、今夏の後半彼から笑顔が少なくなっていったことは、本当に本当に心配だった)

とにかく、推しのチームが楽しんでいることが最大の喜びで。相手を批判することは、わたしの目的ではないので。どんなにタイムラインが荒れていても、推しのチームがピンチになっても、須江監督率いるこのチームのみんなの楽しむ姿を1試合でも多く見たいというそれだけの気持ちで応援しているから。だから、相手チームや球審を責めたり疑ったりするような発信はしなかったし。そういう発信はスルーしてきた。

そういえば、この夏久しぶりに幼馴染とご飯に行ってきてね。その子とわたしは、幼い頃に同じバレエ教室に通っていたの。あの頃は……という話になったときにふとその子が

「わたし、あの教室に通っていなかったら今の自分はいなかったと思うんだよね」

と言っていて。実はわたしも全く同じことを思っていたもんだから

「なんていうかさ、人としてどうありたいかを考えさせてもらったよね。礼儀作法とか立ち振る舞いとか言葉遣いとか。」

と答えると、そうだよねぇって。あの頃の先生たちの言葉とか、立ち振る舞いとか、そういうことたちひとつひとつを思い出すたびに、先生はわたしたちを一人の人間として大切に育ててきてくれたということ。今はもう100歳近い彼女は鬼みたいに厳しかったけれども、わたしたちに厳しく接する以上に自分に対して厳しい人だったということ。そんなエピソードばかりが出てきて。

幼い頃に、あんなに品のある人に出会ってしまってしまったわたしたちは、どんなオトナになりたいかと問われたときに「人に優しく、自分に厳しい人でありたい」と迷わず彼女の姿が思い浮かぶ人になれたよねって。そんなロールモデルがいるってのは、なんって恵まれているんだろうって。

そんな話をしたから。須江監督が、試合のたびに相手チームを褒めて、自分のチームの子達のそれぞれの成長を褒めて、相手の話を真摯に聞く姿勢が、わたしたちを育ててくれた彼女にそっくりだから。須江監督、推せるよねぇって盛り上がる夜を過ごして今日。

地元のありとあらゆる企業が、甲子園に向けてパワーを送る姿をSNSで共有し合う、地元愛の強さに粋を感じて。決勝までわたしたちを楽しませ続けてくれたことを、準決勝という栄誉ある結果を持ち帰ってくれることを、相手をリスペクトし続ける姿に全国から拍手をもらう姿に誇りを感じさせてくれたこと、全てに感謝している温かい街で、大切な恩師に育ててもらったということを。

じゃあこの夏を経て、わたしはどう生きたいのかって。自分に厳しく、ただただ【品のある人】になりたいなって。そんなことを改めて考えさせられた大事な大事な夏になりました。良い夏だったな。

最後に、我が故郷の粋なポストたちを自慢させてください!

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