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Q:からすなぜ鳴くの♪ この童謡の作者は誰でしょう?

からすは山に かわいい七つの 子があるからよ


A:この歌詞は数々の童謡を後世に残した
野口雨情のぐちうじょう』のものです。





雨情はカァカァと鳴くカラスを見て「なぜ鳴くの?」と疑問に思ったようですが、このコンテストは我々noterに「なぜ書くの?」と疑問を投げかけています。


はて、noterに「なぜ書くの?」と聞くのは、カラスに「なぜ鳴くの?」と聞くのと同じじゃないのかしら……?


犬に「なぜ走るの?」と、猫に「なぜ丸くなるの?」と聞くようなものじゃないか。と、私はそう思ったのです。


なぜ書くの?

だって…そういう生き物だから…!!



書かなくたって、生きていけます。noteを仕事にしていない人は。

だけど書く。息をするように、時には苦しい思いをして。

書きたいのに書けない……。
「じゃあ書かなきゃいいじゃん。」
いやだ!書きたいんだ……!!
と押し問答をしながら。

書いたら書いたで「こんなものしか書けない!」と泣き、過去のトラウマに向き合って、寝る間を惜しんで、散歩して、駅のベンチでメモ帳片手に人間観察したりして。

目はどんどん悪くなるし、肩こりはひどいし、お尻はどんどん大きくなるし……。


本当にね、そこまでして、なんで書くの?って聞きたくなります。うん。なんだか本当に、何やってるんだろう、って笑えてくる。


犬に「走るとゼーハーするんだから歩けばいいじゃん。」と言ったって「いやだ!走りたいんだ!」って言うでしょう。

ネコに「背中いてーって伸びするくらいなら、丸くならなきゃいいじゃん。」と言ったって「いやだ!丸くなりたいんだ!」って言うでしょう。


だってそういう生き物だから……。


この一言で潔く終わりにしようかとも思いましたが、大変貴重な機会をいただきましたので「なぜ、私は書くのか?」それを過去にさかのぼって、深く追求してみることにしました。



■七つの理由があるからよ


改めまして、私、本田すのうと申します。
このタイミングで自己紹介するのもおかしな話ですが、それには理由があります。私のクリエイター名『本田すのう』は『本出すの』から来ているからです。

最初から、本を出版するつもりで名前をつけました。

書店に並んだ時に、表紙に、背表紙に、その名前が刻まれるように考えた名前です。

なぜそこまでして、本を出版したいのか。
野口雨情にあやかって、7つの理由とともにご紹介します。


《ひとつ》 はじまりはお金

私が書くことを仕事にしようと思ったのは2024年。今年に入ってからです。

理由はシンプル。
お金がなかったから。

10年間、専業主婦をしてきました。
夫は一人で家庭を支え続けています。

三男がうまれた直後から物価は上がるばかり。
そんな中、マイホームを購入。

さすがに一馬力に限界がきました。

私にも収入が必要だったのです。

とはいえ、夫が単身赴任でパートにでるのは難しい。実家にも頼れない。

詰んだ…ってこういう時に使えばいいんでしょうか。パートに出ずに、在宅でできる仕事は何かと考えた末に「書くことを仕事にする」ことを決意しました。

なんと浅はかな野心。
夢も希望もありません。
あるのは家のローンだけです。

それがこんなことになるとは、その時思ってもみませんでした。



《ふたつ》元々文章が好きだった、のに

子供の頃から本を読むのが好きでした。2週間に1度は図書館に通い、何十冊も本を借りては読みふけっていました。

初めて小説を書いたのは小学5年生の時。

とある海賊団に、男の子を装って船旅をする女の子がいました。なんとかバレないように生活する中で、海賊団の1人を好きになり……

というありきたりの展開なんですが、ノートにびっちり、何十枚にもわたって書きました。

ところが渾身の処女作を、一番最初に見せた相手が間違っていました。

母は、私の書いた小説を読んで
「へぇ?アンタもう好きとかそんなん分かるの?笑 この海賊の子、好き!とか隠さなきゃ!ってドキドキしてるけど、これアンタの体験も入ってる??笑」と茶化したのです。

自分の敏感な部分を乱暴に撫でられ、恥ずかしさと悔しさで顔が真っ赤になりました。その時、私は二度と文章を書くまい、と固く決意しました。



《みっつ》本に命を救ってもらった過去

時が経って高校生の頃。
すっかり読む専門になっていた私は図書館だけでなく書店にもそのフィールドを広げていました。

多感な時期でしたので「生きること」への疑問がうまれていました。なんか、もう、本当にあっさりと「死んでもいいか」と思い立って、その方法を探しに書店に立ち寄りました。本気で、全力で悲劇のヒロインをしていました。

そこで出会った本が『だから、あなたも生きぬいて』(大平光代著)です。

著者である大平さんは、壮絶ないじめにあい、原っぱで割腹自殺をはかります。さらに自暴自棄になり、ヤクザの妻となって背中に刺青を入れました。

ところがある人との出会いでその人生は大きく変わり、猛勉強の末、弁護士になります。

この本を書店で読んだ高校生の私は、そこが書店であることも忘れて涙と鼻水をダーダー流して泣きました。ティッシュを持ち合わせていなかったので、袖がびしょぬれになるほど泣きはらしました。たまたま目に飛び込んできたタイトル「だから、あなたも生きぬいて」というその力強い言葉に、救われたのです。

「死んでもいいか」と思っているつもりでいて、本心は全然違うところにありました。大平さんの経験と言葉が、私の人生を変えました。

本には人を救う力がある。
誰かの経験は別の誰かを救う。

もしも、あの時、広いインターネットの世界に悩みを投げかけていたら、もしかしたら心無い言葉が返ってきたかもしれません。

「だから、あなたも生きぬいて」というタイトルと、内容と、言葉こそが、あの時の私を救うたった一つの正解だったのです。


《よっつ》その場所を見つけた

いつか、どんな形かで、恩返しがしたい。その想いは大人になってからも持ち続けていました。「書店で本を買う」のは趣味でもあり、書店や本に対する恩返しのつもりでもありました。

誰かの書く文章で、人生が変わったり命が救われることは絶対にある。
それは分かっていたけれど、でも自分がわずかでも変える側の立場になれるかもしれないことは想像できませんでした。

そして2024年。私はnoteに出会います。


始めは武装に武装を重ねた、白々しい、AIが書くみたいな文章を書きました。全然スキとかもらえないし、誰の役にも立っていないことがよく分かる文章でした。

noteを始めて、たった1か月で書けなくなりました。先輩noterの「書く」ことへの情熱を目の当たりにしたからです。

「書きたいこと」を「届けるため」に全裸になって、命を削って書いてる。


noteにはそういう人がたくさんいました。

そこから私は変わり始めました。



《いつつ》書けば書くほど、言葉があふれだした

誰かに届けるために書く。抽象的な、ふわふわした誰かじゃなくて、あの人に届けるために書く。自分の経験を、曝け出して向き合って。そういう伝え方をnoteで教えてもらってから、書きたいことがあふれだしました。


あの頃の苦しかった自分と同じ気持ちの人に。
生きづらいと感じている人に。
もう、何を見てもおもしろくない、あなたに。
亡き父に。
まだ字が読めない息子に。
子を持つ母に。
あまりにも偏屈で、万人に受け入れられないような自分の黒い感情までも。

エッセイという形で文章を書きはじめました。


そしたら、それはスキやコメントという形で返ってくるようになりました。投稿通知をONにして更新を待っていますという言葉をもらいました。おもしろいです、ファンですという言葉をもらいました。


27年の時を経て、私の書く文章が届きました。
そうして受け取ってくれたその人も、私に言葉を返してくれました。

20年前の恩返しも、わずかながら出来ることが分かったのです。

ずっと押さえ込んでいた「書く」という封印が、読んでくださる方のお陰で解かれました。


《むっつ》いつか私のマグマは止まる

「なぜ、私は書くのか?」ひとつめにお金のため、と言いました。
ところがnoteではもっともっと尊いものを書くことでもらうことが出来ました。

「書くこと」これはもう止めることができません。
からすは鳴くし、犬は走るし、私は書く。
たとえお尻が大きくなろうとも書き続ける。


だけど現実問題お金の問題も解決していません。
書くことが収入につながらなくてはならない。

noteの収益では家計の足しにはなりません。


もし何か他の方法で資金を得るためには、書く時間を減らすことになります。このままでは夫にも負担をかけすぎてしまう。それだけは避けたい。
書くことに夢中になりすぎて、家庭をかえりみない訳にはいきません。


だから、賞金の出るコンテストは積極的に応募していくつもりです。
noteだけでなく、出版社のコンテストにも投稿をしています。さらに企画書を書いて持ち込み企画もしています。私のどこにこんな熱があったのか。



私は今、火山が噴火したような状態です。

27年間溜め込んだ「書く」というマグマがドッカンドッカンと溢れて止まりません。

子ども達の今を文字にしたい。
過去の忘れられない出来事も文字にしたい。


誰も共感できないと思ってた自分の経験が、感覚が、どこかの誰かの「自分だけじゃなかった!」という救いになるかもしれない。


書きたいことは次から次へとうまれてきます。


このマグマは、いつまで続くのか……。
続く限り、書き続けたい。本当は。


だけど、いつか止まる時が来る。
とても悲しいことにそれは確信に近いものでもあります。たぶん、いつか書けなくなる。それがいつなのか、何十年も止まらずに続いてくれたら嬉しいのだけど。

私とは対照的に、湧き水が川になり海になるような、子供の頃からずっとずっと書き続けてきた方もいます。

書くことがサラサラと自然の摂理の中に組み込まれているような、それこそ「そういう生き物だから」という生き様の方。


私のは。
私の活火山はそういうんじゃなく、きっとどこかで止まってしまう。
だけど、それは筆を折るってわけじゃなく、またマグマを溜め込む段階であれ、と願っています。

……もしも私のマグマが一度止まって、次の噴火が27年後だとしたら、その頃「書く」ことはどのように変化しているでしょうか。


子どもたちは結婚したり、仕事したりしているでしょうか。
そしたら私はきっとまた書きたくなる。


それを楽しみに、今は湧き出るマグマをひたすら言葉に変える日々を過ごしています。

(27年先も、noteが物書きたちであふれていたらいいなぁ)


《ななつ》雨情と私の信念

最後に。

「カラスなぜ鳴くの」のフレーズからスタートしたこの記事ですが、私の文章に対する想いと、野口雨情が童謡に込めた信念に、思いがけず共通するところがあったのでご紹介します。

・私が書く文章については知ってほしい
・でも私という人物像は知らなくていい
と思っているからです。

本田すのうの自己紹介記事より

作者の名が残らなくても良い、作った詩歌が世の人々に永く愛され歌われるなら、それが本望。

野口雨情の信念


童謡「七つの子」をこの記事のタイトルにしようと決めてから、野口雨情のことを調べました。そして雨情の信念を知り、胸にガツンと衝撃を受けました。

同じだ」と思いました。


noteを含む、「書く仕事」をする上でセルフブランディングやセルフプロデュースはとても大切なことだとは知っています。noteで収益化するには自分をブランディングしなくてどうする?と何度も目にしました。そうじゃなきゃ仕事になりませんから。


私が書いた文章で、誰かの人生や誰かの心をほんの少しでも良い方に変えたい。出来るだけたくさんの作品を書いて、いつかそれが世に出てほしい。


そしてそれが自分自身も生きるために繋がるのなら、それを生業にできるのなら、こんなに幸せなことはありません。


だけど、私はどうしてもを売り出すことに躊躇いがあって、それをどう表現したらいいのか迷っていました。甘っちょろいこと言ってるのは分かっています。

私を売らなければ、作品も売れない。


そんな中知った「書く」大先輩である雨情の信念。雨情はこの信念のもと、3,000もの作品を世に残しました。今もなお、その作品は多くの子ども達に愛されています。


「それでもいいじゃないか」
そういう人がいてもいいし、そういうやり方があってもいい。
作品が残れば、誰かに伝わればいい。遠く、明治の時代からそんな言葉が聞こえてきた気がします。

なんだか雨情に運命的なものを感じてしまいました。
私もまた、そういう形でこの世に何かを残したいと思っています。



綺麗事ばっか言って、綺麗な文章が書けるならそれも本望。



私は書く。どこかの誰かの「私だけじゃなかったんだ!」のために、自分の経験を全部曝け出す。そしてその作品は、インターネットという世界じゃなくて、紙になって書店に並んで欲しい。

あの時自分の人生を変えてくれた一冊みたいに。


「なぜ書くの?」の答えが、導かれるように、ここにありました。


#なぜ私は書くのか




ここからは私信です。


藤原華さんへ

このたびはこのようなコンテストを開催していただきありがとうございました。私が最初noteで書けなくなったのは、全裸で、血で文章を書く華さんの姿を見たときでした。スマホの前で突っ伏しました。その熱量に、私は一度焼け死にました。

それから華さんのnoteや、たくさんの素晴らしいnoterさんの記事を読み漁る日々を過ごしました。焼け炭になって、1か月間、本当に書けなくて、私には無理かも…と思ったときもありました。

だけど華さんの書く文章や、様々なnoterさんの記事を読んでいると、今度は「どうしてももう1度書きたい」と思いました。


…そして今があります。

あまりにも強い光を放つ華さんの存在に憧れて、Xやnoteでメッセージを送ろうなんて畏れ多くてできませんでした。だからこのコンテストは、華さんに御礼を言えて、しかも、こんな文章を今書いてます!って伝えられる機会だと思っています。

ありがとうございました。
「書くこと」に全力で向かい合わせてくれる機会をくださって、ありがとうございました。





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