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カタールW杯 PK戦において重要なこと

今回のW杯はPK戦が非常に多い。それほどどのチームも高いレベルでサッカーをしていて、各国の差が縮まっていることを表していると個人的には考える。

日本代表も、ベスト8を目指して戦ってきたが、クロアチアとPK戦の前にても足も出なく、惜しくも新しい景色を見ることができなっかった。私個人的にも応援していたスペインも同様だった。

今回は、この悪魔のPK戦について考察していこうと思う。

PK戦の戦績


日本対クロアチア
モロッコ対スペイン

日本代表とスペイン代表の違い

今回の日本代表とスペイン代表のPK戦の結果は非常に似通っているが、大きく異なることが二つある。
まず一つ目は、PK戦のための練習量だ。ルイスエンリケ監督は記者会見で、「我々はPK戦の練習をきちんとしてきた。選手たちには1000本練習するように宿題を出したんだ。彼らはちゃんとやってくるだろう」と発言した。その言葉を信じることを前提に話すが、まああそこでつまらない嘘を言うような監督じゃないから信じて問題ないと思う。練習量は明らかに、日本代表よりも多いだろう。
二つ目は、モロッコよりもFIFAランクが上と言うこと。もちろん前評判では、スペイン有利の試合になると思われていたし、自分もそう思っていた。
国民からの期待感もその分大きくなる。挑戦者はむしろモロッコの方だったに違いない。期待されればされるほどプレッシャーは大きく、羽を広げてプレーすることが難しくなる。それは、メディアが大袈裟に取り上げている選手がなかなか活躍できずに、選手生命を終えるそれとよく似ている。


日本代表との共通点

クロアチアは、前回大会準優勝という成績を残している非常にタフな相手だった。守りが硬い上に、攻撃力も高い。非常にバランスの取れているチームだけに、泥試合が多くなる。その分PK戦を多く経験していた。PK戦になることは、クロアチアからすれば、自分たちの土俵に上がってしまったようなものだったろう。逆に日本代表は、PKの経験はあまりなく、2010年にベスト16で散ったPK戦のようなものが脳裏にあったのではないかと推測する。
FIFAランクや、世界の評価からすれば、日本は挑戦者に値するが、モロッコスペインの時とは立場が逆転し、不利な立ち位置になってしまった。


PK戦の勝者に共通するもの

PK戦で大切なことは、練習量とそれに伴うメンタルの強さだと感じた。今回日本代表が負けた時、練習不足だという感想を持った。しかしそれは、スペインのPK戦で見事に間違いだということを認めざるを得なかった。
日本もスペインも同じようなコースに同じようなスピードでボールが走り、コースもスピードも甘いボールは見事に相手キーパーに止められた。一方で、クロアチアやモロッコは、ボールスピードコースともに簡単ではないボールを蹴り、見事に勝利を収めた。その後のベスト8でもPK戦にもつれ込んだ両者はその勝負強さを発揮しそれぞれブラジルとポルトガルを下してベスト4に進んでいる。一概にメンタルだけを評価することはできない。もちろんある一定の練習量は必要だ。その練習で自分が信じたコースに決め切る力を信じること。これがPK戦においては大切なのだろう。

PK戦におけるキーパーの質

またGKの質はPK戦において非常に大切なことだ。モロッコはボノ(セビージャ)。クロアチアはリヴァコヴィッチ(ディナもザグレブ)どちらも素晴らしいゴールキーパーだ。PK戦もそうだが、それ以外でも、飛び出すタイミングやセービング、足元の技術ともに非常に高いパフォーマンスを見せている。日々の練習の成果もあると思うが、PK戦においてもう一つ重要なことは、キッカーの癖と、蹴る方向のデータにある。実際に、ボノはPK戦の前に選手データらしきものを見ていたみたいだし、それこそクロアチアは、PK戦になることまで視野に入れて選手交代等行なっていることから、日頃からPK戦を想定した取り組みを行なっているだろうし、GKは選手情報を叩き込んでいるのではないかと考える。ただ、その特性なんかを知っていたとしても実際に止められるかどうかは別の話であって、そのどちらもできる選手が素晴らしい。

まとめ

今回、日本代表とスペイン代表を取り上げて、PK戦は運なのかどうかについて見てきたが、運とは程遠いことは明らかだろう。これは運ではなくメンタルの勝負。どちらかが勢いに押し潰されれば勝つことはできない。
ただそれにしても選手には残酷すぎるシステムなだけに画期的な代替案がFIFAから提案されることを願う。

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