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向日葵文庫(創作)・アラサーOLの戯言
2023年9月22日 10:15
夜が深くなった頃、携帯を眺めながら無意識に開いていたのはブロックリストだった。二度と会いたくない。そう思っているのに消せない連絡先がある。でも見たくないからブロックリストには入れている。大嫌いだと思いながらも非表示のまま消せない履歴がある。歯茎に刺さった魚の小骨みたいに、ずっと私にまとわりついてくる記憶に私はどぎまぎしていた。今の環境に不満はない。やりたかった仕事を
2023年9月12日 18:14
鉄の味が口の中にひろがる。慣れっこの味だ。今朝の天気予報は雨だったっけ?その規則に従うかのように窓にうちつける雨の音が室内に響く。乱雑にみえて一定に聞こえる雨の音が少しずつ私を現実へと戻してくれたのだった。この大雨ならまだ帰ってこないだろう。雨が止むまでにこの部屋を何とかしなくてはと思った私は、机に手をかけながら立ち上がり、口元に流れる水滴を袖で拭った。皮膚に擦れた瞬間