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バルセロナの地下鉄の環境を男女平等の視点から観察する

先日、2月9日にCol•lectiu Punt 6 という女性に優しい環境にするために公共スペースをフェミニズムの観点から分析する団体がTMB (バルセロナ交通局)と主催するイベントに参加してきました。

イベントの内容はシンプルでグラシア通り駅(Passeig de Gràcia)からカタルーニャ駅、カタルーニャ駅(plaça Catalunya)、アルコ・デ・トゥリウンフォ駅(Arc de Triunf)からマリナ駅(Marina)まで地下鉄で移動しながら、構内の環境を観察してどう感じるか話し合うと行ったもの。

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この地図だと、グラシア通り駅(Passei de Gracia)からカタルーニャ駅まで歩いたことになってるけど、実際は3番線(L3)に乗って移動して、カタルーニャ駅からアルコ・デ・トゥリンフォ駅までは1番線(L1)に乗って移動。

話し合いのポイントはこちら

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上から順番に
標識:ちゃんと人々を誘導しているか」
視覚化された環境:そこにいてどう感じるか、見えないことによって感じる不安はないか、また標識などに使われているシンボルが女性もジェンダーの一部として捉えられているか」
動態:人々が活発に行き来しているか、知覚や聴覚から人がいることを感じることができるか」
保護された環境:その場所で仮に危険な状況下に陥った時に安心して助けを求められる環境か」
設備の整った環境:日常生活のさまざまな活動をサポートするために必要な設備があるか。インフォーメーションなど」
コミュニティ環境:安全な環境について考えた時、その環境が女性を認識しているか」

まず、集合場所であったグラシア通り駅については、駅の入り口周辺の環境についてトーク。

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グラシア通り駅のメトロの看板は電飾看板なので、一見みつけやすそうなのだけど、グラシア通りは煌びやかなお店が多いから、場所によってはお店の電飾に馴染んでしまって入口が見つけにくいことも。マリナ駅の看板は電飾看板じゃないから夜はわかりにくい。

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また、駅構内についても議論しました。
例えば、この上の写真については、左右どちらの入り口に入っても同じ通路に繋がっているのに、この柱の存在と上の表記が左右どちらかの入り口を選択させる状況を作り出しているとか。この柱の後ろで危ない人が待ち構えてるかもしれない、そんな不安を生み出す環境だとか。

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しかも通路に入ると、こんな感じでめちゃくちゃ長い通路があって、なんか暗いし、ここで何かあったら助けも呼べないし、お店が閉店した22時以降は静かで怖い。

一応、右側にインフォーメーションポイントがあって、ボタンを押すと駅員と会話できるんだけど、それだけじゃなくて、乗り換え案内の標識がこの通路の何処かでもう一度あってもいいんじゃないかって。

でも、問題はやっぱりこの通路を通るときの不安感をいかになくすかってこと。一応集まりにはTMB(バルセロナ交通局)の職員も来てて、その人の意見が参考になるなって思った。出た意見はこんな感じ↓
1)両サイドの壁に地域の特性がわかるグラフィティを施せばいいんじゃないか。
2)上のコンクリートブロックが光を遮っているから暗い印象を与えているのではないか。ブロックをなんとかすればいいのでは。
3)音楽スポットを配置すればいいのでは。バルセロナの駅構内にはいくつかの音楽スポットがあって、役所に申請するとそこでの演奏許可が貰える。駅だけでなく、街中で演奏するときも役所に申請して許可を貰わないといけない。
4)警備員を配置すればいいのでは。
5)通路の中間地点で再度乗り換え案内の標識を。

4の警備員は人によって意見が割れた。
警備員のイメージといえば、がっちりした筋肉質の目つきの悪い男性。だから監視されている感じがしてしまったり、女性が性的な暴力を受けたときに本当に助けてくれるのか怪しいとか、男女平等の時代に男性の警備員は男性優位の象徴みたいに感じるから女性の警備員であればいいとか。

1と3の意見はすごくいいなと思った。すぐにできそうだし、誰かが演奏してたら、歩いている間に何かあっても、演奏者に助けを求められそう。

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同じメトロの駅通路でも、実際に歩いてみるとカタルーニャ駅の方が演奏者がいるから歩いている間も寂しくないし、壁や天井に使われている素材が光を反射しやすい素材だからか、グラシア通り駅よりも明るいように感じた。

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あとは、視覚をなるべく遮らないことが不安要素を減らすことにつながる。
この階段みたいになるべく壁は透明なものにすることで、安心して階段を下りることができる。不審者がそこで待機したりとかできないからね。メトロの入り口の階段もガラスにするべきとの意見も。

まとめ

今回のイベントは様々なジェンダーや年齢層、所属の人が集まって意見を出し合った。その中でも私はカタルーニャ語がわからない外国人の立場で意見を求められてドキドキした。言語は関係なく感じることはみんなとそう変わらないけど、駅にトイレがないことと、清潔かどうかで不安度も変わると思うって意見したな。落書きやゴミがたくさん落ちてると駅が管理されていないよう=管理の視線が少ないから危ないところかもしれないと不安に感じる。それにライトは大事。電気はあればあるほどいいかなって。

あとは通路の話し合いが勉強になったと思う。どうすれば、不安を感じない通路になるかって言われたとき何もアイデアが浮かばなかった。標識の話くらいかな。その点、TMBの人は壁を利用した改善案とか演奏できるポイントの配置とか、そういうのが施されている駅も何度か利用したことがあるのに全然気づかなかったなって思った。

修士は終わったものの、まだまだアーバニストと名乗るにはピヨピヨですね…




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