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『下午のまち銭湯』⑬亀の湯(小岩)

銭湯は昼下がりに行くに限る。

年はじめ湯はじめ小岩


年はじめの寒い時は一年で最も銭湯に行きたいとき。やっぱり寒い時に浸かる湯というのは格別。

新年一発目の銭湯巡りは江戸川区の小岩あたりの銭湯に来ることがここ何年かのぼくの定番になっている。別にこれといったこだわりがあるわけじゃないのだけど自分の中で勝手に作ったルールというものは妙な縛りができてしまうもので困る。

昼過ぎと夕方あたり、各所の銭湯が開店する「下午」の時間に銭湯に行くという日課もなぜかいつの間にやらぼくの中で決まったルールになってしまった。

小岩周辺には銭湯が多い。実はなかなかの銭湯どころ。ことしの湯はじめは亀の湯に初訪問することにした。

JRの小岩駅を降りてそのまま商店街を進む。駅からまっすぐ伸びた商店街。銭湯訪問をすることになってこういった駅前商店街を歩くことが多くなった。昼下がりに歩く商店街は、買い物客に交じり学校帰り、仕事中の人々が交じって独特の人情味を醸し出している。この雰囲気と銭湯の相性がまたいいんだ。

しばらく歩くと目の前に銭湯が出迎える。友の湯。以前同じように年はじめに訪れた。鉄道模型があってとてもいいイメージがある。でもなんか外観が変わっている気がする・・・中も変わったのだろうか?そうなんだ。最近このパターンが結構ある。リノベーションというやつ。今度また来よう。

亀の湯はここからもう少し歩いたところにある。

亀の湯

靴入れは金属製の松竹鍵。昼下がり開店直後に行くとそれほど靴箱が埋まっておらず番号が選べるのがいい。やはり1番かな?風呂だから2か6がいいかな?など自分の中であらかじめ決めた番号がGETできるかというのもちょっとした遊び。1番が開いていたのでそこに。今年最初の銭湯ということでね。

扉を入るとフロント番台になっていて、ご主人だと思われる男性が対応してくれる。

脱衣場に入る。左側に大きな鏡とくつろぎスペース。マッサージチェアーもある。天井には大きな扇風機が設置。右壁沿いにロッカーがずらっと並んでいる。左側は鏡のまえのところに腰の高さまでロッカーが積まれてる。

引き戸を開け浴場に入場。かららら~

広さはそれほどない。全体が白いタイルの清潔感のある浴場。リノベ銭湯やデザイナーズ銭湯を選ぶ人には綺麗だからという人がいるけれど、老舗の銭湯だって手入れをしっかりしてれば十分綺麗。

ケロリンの黄桶をとってカランに移動。

入口左側に小さな浴槽がある。かけ湯かな?と思ったら水風呂だった。

カランの数は18個。左壁沿いには摺りガラスがあってそこから昼下がりの日差しが照らしている。カランのお湯はちょっと熱め。水で調整しながら適温にする。

一通り体を洗ったら浴槽へ。浴槽は2つ。左側が主浴槽で、右が小さめの深風呂。主浴槽は壁側から寝風呂座風呂ジェットバスバイブラ白湯スペースと複合型になっている。

最初は白湯スペースから。しゃぽんと足を入れる。少し熱め。開店直後の銭湯はどこも温度が高め。フワフワと心地よいバイブラが体を包む。小さめの気泡が程よい勢いで出ているのが気持ちいい。

一通り体があったまったらジェットバスを味わう。座風呂にちょこんと座る。ジェットの勢いは適度。街銭湯にたまにある強すぎるという感じがない。足の裏も刺激してくれる。

寝風呂に移動。スーパー銭湯には大概あるけど、街銭湯にはたまにしか見かけない。スーパー銭湯だったら独立した浴槽になってるんだけどここは街銭湯。浴槽内の一角に無理やり作っている。すぐ隣は座風呂に座っている人がいて正面の目線の高さにすぐカランがあって、身体を洗うおじさんに足をむけて寝っ転がる。

この感じ。ルールなどない。自由に詰め込む。これが街銭湯の醍醐味だ。

今度は深風呂に。深風呂は熱湯になっている。ゆっくり入ってみる。熱い。とても熱い。これはなかなか効く。湯温計をみてみるとなんと48℃。うーん。さすがにそこまで熱くはないかな。でも熱い。

深風呂に入りながらペンキ絵を見てみる。富士山。東京銭湯のペンキ絵は油絵的な平面な感じのやつか写実的な立体的なタイプのやつに分かれるけどここのは後者。結構新しい感じなので最近描き換えたみたい。
湖の向こうに富士山があって両端に岸があって・・・!!!

岸に小さく何か描かれている。アメリカンバイクに乗った男性が描かれてる。その対岸にはが描かれてる。なるほど亀の湯だから!?バイクの人はあのご主人かな?面白いなぁ。こういう遊び心は粋。

熱い深風呂の後はすぐに水風呂に行く。交互浴。浴槽はおひとり様専用の小さめ設計。結構冷たいけれど熱い湯に入ったばっかりだから全然耐えられる。サウナの後の水風呂は暖かい羽衣をまとっていると表現されたりするんだけど、熱風呂後の水風呂は鋼鉄の鎧だよ。びくともしない。水風呂浸かってるのに顔からは汗がだらだら。

少し絡んで体を休ませて、もう一度浴槽へ。バイブラが最初に入った時より断然気持ちいい。この小さな気泡凄く良いな。お湯着てるって感じがする。

何度か交互浴を繰り返し。シャワーを浴びて脱衣場に戻る。服を着て外に出る。

この季節は日が落ちるのが早い。暖簾の外は夜がだいぶ近い。入る前と後の空が違う感じが好きなんだ。夕暮れ時。気温は寒いけれど、熱い湯と冷たい水風呂の交互浴で体はポカポカ。ちょっとクールダウンに歩こう。夜の小岩はディープな呑み街へと変貌する。商店街の焼き鳥屋で湯上り新年会といこう。

銭湯の詳細


『亀の湯』[所在地]江戸川区東小岩[最寄り駅] 総武線「小岩」駅 徒歩11分[営業時間] 15:30~22:00[定休日]木曜、第1・3・5水曜[入浴料]480円[ドライヤー]20円

※備え付けシャンプー、ボディソープあります



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