プロローグ0.2

**食べ歩きすぎな料理人... **


食べ歩いてきている上で、僕には1つ特技があるようだ...
当時のイメージと共に記憶する事によって、食した料理の味や香りを忘れないこと


先日、今までに伺ったお店を数えてみた
ミシュランの星だけでも250個以上
ガストロノミーのレストランでは600店以上も行っていた...

そんな僕の
初めてのガストロノミーフレンチと和食は最高峰からはじまった


「Quintessence」と「未在」

SNSもまだない、当時20歳だった自分
毎月数万円の僅かな給与を貯めに貯めて挑んだ食べ歩きの真剣さと必死さは凄まじい

予約した前日の朝から気合いを入れ、コンディションを整える
料理はもちろん、パン、ミニャルディーズ(お茶菓子)、あればフロマージュ(チーズ) そしてアルコール(ペアリングが主)
それぞれに多種類あれば全てをいただく、よくメートルに驚かれる(笑)

お店の立地からエクステリア、インテリア、店の壁やテーブル、椅子の材質、スタッフさんの服や靴、コックコート全てに神経を尖らせる

料理が運ばれてくれば、まず「かおり」そして「盛り付け」
早く食べたい、料理の旬を逃したくない衝動と気持ちの中

1瞬で写真を撮る

誰よりも速く綺麗に写真を撮り、直ぐさまいただく
それが食材、料理人、一皿ができるまでに関わった全ての方への感謝だと思っているから
命をかけ、真剣に料理をつくる姿勢へは、相応の姿勢で食事をいただく

でも勘違いしてはいけない

ここはレストラン、楽しむ場所

1人で食事をしても、周りにはスタッフさんや他のお客さんもいて、決して独りではない
時にはお店の人や周りのお客さん、同席の方と楽しく盛り上がりながら
だから僕は、料理が運ばれてきて食べている時 一瞬一瞬は神経研ぎ澄ませながら、誰よりもこの空間と時間を楽しんでいる

食事にきて難しいことを考えたりするのは、同業者だけでいいと思っている
シェフをして、お客様に食べていただいて 1番うれしいのは「おいしい」「楽しかった」の一言
そこに感動を起こすため、今日も食べ歩く
おいしいものを知らないと おいしいものは創れないから...

Quintessence (カンテサンス)

今では珍しくないが、当時は斬新なお任せコース1つ
「白紙のメニュー」
伝助スイカのガスパチョ、穴子とアーティチョークのベニエ、スペシャリテの山羊のヴァヴァロワ...っと今でも感動が蘇ってくる

料理の自由さ、追求し、探求し、究めるということ
「料理」が「美食」へと変わり、自分が追い求める世界が定まった

何より1番心を打たれたのが、最後お客様が見えなくなるまで 頭を下げ見送られる
こんなに気持ちがいいことはない

自分がシェフになったら、全てのお客様へ行おう
気持ちよく帰路へついていただこう!と誓った

勉強させて頂きました。
ご馳走様でした。

初めて訪れたミシュランの星がついたレストラン、それも3星
当時、CIAに在学中で夏休みの一時帰国中、それも最終日に何百回と電話をかけ、運良くとれた1席が世界観を変えた

実は1日勘違いして、夏休み後の初日の授業に間に合わなかった(笑)
この1日で皆勤賞を逃してしまうが、この初日の授業が大事な進級テストの日であり、もちろんすっぽかしてしまう
だがしかし、流石料理学校の先生(シェフ) 予約困難な3星レストランでの経験の方が価値があると、テストは後日受けさせていただいた

ここから僕の食べ歩きが始まった
せっかくなら、この一瞬を綺麗に残したいという思いからカメラをも買った
カメラ屋さんも驚いていたが、先日、ついに買い換えるまで 10年も使い続けた

ありがとう。


未在

Quintessenceへ伺った翌年の正月明け
1人で伺わせていただいた

これまた何度も予約電話を頑張り、1人客はNGの中、石原料理長のご厚意により、伺わせていただきました。

初めての和食、何も分からない、知らない
京都、円山公園の中で迷子になり、水を撒いてる方やお寺の方達へお店の場所を聞き、辿り着いた 。

まだ20分も早い... 早すぎるかな、緊張のあまり門をくぐるのもためらい、周りをもう一周...

数人のお客さんが着席されている中、周りを伺いながら店内へ


石原料理長のド真ん前ッ!

カウンターのド真ん中ッ!


3分ほどたち、隣へ常連様のようなご夫婦が「ワイの特等席が!!」
この時1度しかお会いしていないが、去年SNSで再び9年ぶりに繋がり、今も仲良くさせていただいています。

石原料理長のオーラ、お客さん方々から発せられる凛とした空気に緊張したのも着席してから数分の間だけだった

直ぐ様、器の魅力に取り憑かれ、料理の香りとともに味わう

隣の常連さんの「緊張せんで ええから」「分からないことや 気になったことは 石原さんに聞き」っと仰ってくれたことも緊張をほぐしてくれた

鳳凰の形を模した器が出た時、思わず皿の裏側が気になり、持ち上げた時に

「人生やり直すことなるで」っと優しくツッコンでくれたのを今も覚えている

八寸に一人一人、石原料理長から違う言葉を和紙に書かれ送られた
健康のことなど、その一年やこれから先、その方へ向けてのお言葉
僕には「日々新又新」
常に新しい気持ちで 初心を忘れず 挑み続けると

僕の座右の銘へとさせていただいています

未在さんは一品一品のボリュームがすごいが、20歳の僕には問題ない
お隣さんのお造りも更に少しいただき(笑)
甘味も追加のもう一品分まで全部いただいた

特に「ほうれん草のおひたし」に僕は感動していた
出汁のおいしさ、言葉を失っていた...

そして、美味しかった以上に感動したこの時間

石原料理長の心遣いと素晴らしお客さん方の気遣いのおかげであった

勉強させて頂きました。
ご馳走様でした。

あれから10年以上と伺えていないが、独立前にもう一度...


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