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日本の森、モリのニッポン紀行

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「延喜式」に掲載されている式内社をタイヤの太いFATBIKEという自転車で訪ねています🚲 2020年1月より140文字で巡拝記を書き始めました。 ・2020年12月6日〜(no…
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2022年6月の記事一覧

與須奈神社@越前國足羽郡。

「造営記念碑」によれば明治四十二年中山神社に薬師神社とともに合祀され薬師神社に改称→同四十四年亀山神社を合祀し薬師神社から與須奈神社へ。合祀に次ぐ合祀は明治期の神祇政策の混乱を示す。複雑な経緯をたどる式内社が不憫。でも境内から鳥居越しに眺める足羽山最高。
写真は福井県福井市。

登知爲神社@越前國足羽郡。

コンクリート造の拝殿に強く結わえられた注連縄、そして右隅には鐘が吊るされている。屋根に梅紋、どおりで祭神には瓊瓊杵命とともに菅公も。本殿が覆屋に納められるのは雪国越前では典型的な形態。境内は風がよく通るせいか六月にしては肌寒い。鳥居の笠木上には緑が育つ。
写真は福井県福井市。

麻氣神社@越前國足羽郡。

県道と京福線に挟まれた真木町の境内には車の通行音と踏切の警報音が響き合う。お堂のような拝殿に手を合わせてから神馬像台座に目を向ける。「延喜式神名帳に登載記録に係る式内神社なり」「越前国足羽郷眞木ノ里 大巳(ママ)貴神社」の記述。真木ゆえに麻気というわけか。
写真は福井県福井市。

直野神社@越前國足羽郡。

石段を上がる途中、茂みから出てきたシマヘビ。僕の気配に気づくと再び茂みに逃げた。直野神社に比定されるのは大己貴神社である。祭神の大己貴命=大物主命で、蛇神とされる。おぉ、お姿を顕現なされたか。豊かなスギ林から鳥居越しに境外を眺めると田植えを終えた緑の絨毯。

写真は福井県福井市。

杉社郡神社@越前國足羽郡。

現在は「杉社白髭神社」と呼ばれており、祭神は近江の白髭神社同様、猿田彦命。県道沿いで西に向かえば福井駅に近づく。市街地だからか社叢は少々遠慮気味で第一印象はスッキリとした境内。境内社である宮比神社には「笑顔でご参拝ください」とある。気のせいか狛犬も笑顔。
写真は福井県福井市。

枚岡神社@越前國坂井郡。

秋葉神社が鎮座する高台に存在した枚岡神社は足羽神社へ合祀。福井市中心部に近く坂井郡より足羽郡域ではないかと疑問。「式内社調査報告」を読むと一帯は丘陵地で昭和二十年代までは「木々も多く夜が恐ろしかつた」そうだ。猫の額のような境内に届く「えち鉄」の踏切警報音。
写真は福井県福井市。

久米多神社@越前國坂井郡。

「陵山」とも呼ばれる六呂瀬山の中腹。小さな落石のある石段を上り振り返ると木々の隙間からは平野を一望。鎮座の理由にこの眺めも含まれそうだが、後方には六呂瀬山古墳群も。継体天皇の母、振姫の生誕地である高向は指呼の間。祭神は継体天皇擁立に尽力した大伴金村大連。
写真は福井県坂井市。

高瀨神社@伊賀國伊賀郡。

境内にある由緒によると明治四十年に近在の小社を合祀、翌四十一年に蔵鍵社を合祀するも大正十年に神戸神社の飛地境内社になったという複雑な経緯。式内社とはいえ小さな神社の宿命か。拝殿の手前には隣接する蓮花寺との往来通路があり、その脇には弘化二年銘の太神宮常夜灯。
写真は三重県伊賀市。

乎美禰神社@伊賀國伊賀郡。

乎美禰神社は明治の神社合祀の嵐の後に再興を果たした神社のひとつ。伊賀は皇大神宮のお膝元の伊勢に隣接するからトバッチリも大きかったはず。説明には花垣神社に合祀後も鳥居や社殿は残されたそうだ。そうはいかず旧社地を示す石碑だけになった神社がどれほど多いことか。
写真は三重県伊賀市。

猪田神社@伊賀國伊賀郡。

重文指定された朱色の本殿。参ったあと略記を手に背後の森へ。玉垣に囲まれた円墳が高い位置から本殿を見守る。祭神の武伊賀都別命の陵墓とか。そこから南側に向かうと露出した巨大な磐座が鎮座。神社の起源について軽々しく言及できないけど、もしかしてこういうことなのか。
写真は三重県伊賀市。

猪田神社@伊賀國伊賀郡。

拝殿に手を合わせてから左側の小径を上がると柵の奥に鎮座する桧皮葺で朱色の本殿。小高いこの場所から伊賀の御祖が見守るのは田植えを終えたばかりの田園風景だ。田植えが無事済んだことをホッとしながら眺めていることだろう。境内に向かう途中、木津川の水面の雷魚に驚く。
写真は三重県伊賀市。

依那古神社@伊賀國伊賀郡。

国道沿いの田んぼに浮かぶ緑の孤島。その表現がぴったりな「旧跡の森」。森に入ると生い茂る木々のなかに立つ「式内依名古神社舊趾」碑。森の入口には合祀先である猪田神社の遥拝所も。和歌に詠われた「垂園の森」と「哀園の森」も近い。古の歌人たちも目にした伊賀の景観。
写真は三重県伊賀市。

比自岐神社@伊賀國伊賀郡。

「比地」「比々岐」「比自岐」と似通った三社。「比」を同じくする御祖から分派した人々が住んでいたのだろうかと想像。近くには古墳も点在。密集する家々よりも頭ひとつ抜きん出た社叢のスギを目印に神社へ。鳥居前に立つ街道の道標見てたら通学の中学生が挨拶してくれた。
写真は三重県伊賀市。

比々岐神社@伊賀國伊賀郡。

神仏混淆時代の名残か、お寺に隣接する境内。月曜早朝の境内にはひとの気配は感じられず、聞こえるのは鳥のさえずりと時折通り過ぎる近鉄電車の通過音。拝殿前の常夜灯には「八幡宮」の文字。見渡すと針葉樹が多い社叢林。注連縄こそないが、背が高かったり胴が太いスギも。
写真は三重県伊賀市。