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縫製に組紐…意外と知らない福井の魅力!勝山市の伝統産業を巡る旅

sampaiの拠点である京都・西陣と同じく、昔からものづくりの文化、特に繊維産業が盛んな福井県勝山市。その中で今回は、服の縫製工場であるラコームと、昔ながらの工芸品である組紐を生産する多田製紐の2社を見学しました。どんな人が、どんな想いで何を作っているのでしょうか?社員の方に、仕事へのこだわりや現在の課題、未来に向けた取り組みなどを伺いました。

ものづくりを自由に楽しく!【株式会社ラコーム】

福井駅から車で約30分、自然が残る住宅街の一角にある株式会社ラコーム。1941年創業のこちらでは、長い年月の中で培われてきた技術を活かして国内外のハイブランドやデザイナーズブランドの縫製を主に手掛けています。今回はそんなラコームの工場見学で見つけた、地域と産業をつなぐ魅力的な取り組みを2つご紹介します!

まず紹介したいのは、会社から車で数分の場所にある「The Each Base」。ここは倉庫をDIYして作った施設で、誰もが自由にものづくりを楽しめる場所として、また勝山のものづくり文化を地域にひらく拠点として開設されました。

The Each Baseの内装

入るとまず目に留まるのが、種類豊富な道具の数々!工業用ミシンやシルクスクリーン、最近流行りのタフティングなどの機材が揃っています。これらは誰でも利用することができ、子どもから大人まで地域の人々が訪れて自分の作りたいものを自由に制作しています。またラコームから出た残反も自由に使えるので、残った布の新たな使い道を見いだせて一石二鳥ですね。自分のアイデアが形になるのは何とも嬉しいもの。Tシャツ、ポーチ…何を作ろうか考えるだけでもワクワクしてしてしまいますね。

「ファッションを通じてこの街を守りたい」数十年先を見据えて

次にご紹介する取り組みは、小学校への出張授業です。ラコームでは、地域の小学校の家庭科の授業委託を請け負っています。この背景には深刻な教員不足や、既存の教材が子どもたちにとって複雑すぎるといった課題があります。

ラコームが授業を代行することで先生の負担が軽くなるのはもちろん、教科書通りのやり方に沿って教えるのではなく、ラコーム独自の視点で子どもたちが分かりやすく楽しんで学べるような工夫が施されているそうです。

さらに子どもたちが授業を通じて縫製や地元の産業に興味を持ち、将来的に地域産業を支える担い手となることも期待されているとか。先生、生徒、そしてラコーム自身にとってもメリットのある取り組みですね!

先ほど紹介したThe Each Baseやこの出張授業は、勝山の伝統であるものづくりの文化を地域に広げ、産業のさらなる発展に繋がるきっかけになるでしょう。社長の織田さんの「ファッションを通じてこの街を守りたい」という言葉の通り、これらの活動によって地域の文化や産業が永く続いていくといいですね。sampaiもその一助になることができればと思います。

他にも斬新な試みに数多く挑戦しているラコーム。今後の活動に注目です!

社長の織田さん

組紐の魅力と職人の技術【多田製紐】

「組紐」ってご存じですか?

組紐とは文字通り、複数本の糸を組み合わせて作る紐のことです。日本では古くから装束等の飾り紐に用いられてきましたが、明治時代以降は生活用品として主に使われるようになり、今も靴紐やブラインドの紐など身近なところに存在しています。

今回見学した1963年創業の組紐メーカー、多田製紐は、和菓子のや御守りの紐などを中心に多数の組紐を製造しています。
工場内には約400台もの製紐機がずらりと並んでいました。

製紐機に数本の糸巻きをセットし、それぞれの糸が交差するように動かすことで組紐が作られます。沢山の細い糸が組み合わさり1本の紐になってゆく様子がとても美しかったです。また紐のデザインは無地だけでなく、柄の種類も豊富です。なんとこれらは紙面やデータを見て作っているのではなく、職人さんの経験と勘によって作り出されているんだとか。まさに技術と努力の結晶ですね。

製紐機で組紐が作られる様子

多田製紐は「組紐を身近でもっとカジュアルに感じてほしい」という想いから組紐づくりのワークショップなども行っています。是非チェックしてみてくださいね!

伝統と革新の融合ー組紐の新たな道を求めて

以前勝山市には5〜6社の組紐工場がありましたが、時代の流れとともにその数は減少し、現在は2社程度にまで減ってしまったそうです。
しかし、そんな中でも歴史ある産業を絶やさないために、多田製紐は他社とコラボレーションして新製品を開発するなど、技術を新しい形で活かす取り組みを行っています。実際にsampaiでも、西陣織のスマホケースに合うショルダーストラップを作っていただいたことがあります。

西陣織のスマホケースと組紐のショルダーストラップ

異なる種類の糸を組み合わせているので、柄の出方や色の取り合わせが美しいですよね。このような形なら、組紐を日常生活に取り入れやすいのではないでしょうか。また全ての製品はデジタル機器を使わず、昔と変わらず手作業で丹精を込めて作られています。手仕事ならではの細やかさやバリエーションの豊かさはそのままに、新しい技術やアイデアに積極的にチャレンジし、長年培ってきた技術を活かして実現している多田製紐。

時代とともにあり方を変えながら、伝統を未来へと繋いでいく柔軟な姿勢がとても印象的でした!今後sampaiも商品企画などで協力し、一緒に発展をお手伝いできればと思います。

多田さんと一緒に♪

おわりに

以上、福井県勝山市のラコームと多田製紐の工場見学レポートでした!
どちらも長年培ってきた技術を残していくため、日々新たな取り組みに挑戦していることがお分かりいただけたのではないかと思います。
この記事を通じて、福井県の伝統である繊維業に関心を持っていただけると嬉しいです。

sampaiでは学生向けに勝山市の繊維関連工場の見学ツアーも予定しておりますので、興味がある方はご参加ください!
お読みいただきありがとうございました。

株式会社ラコーム
アクセス:〒911-0034 福井県勝山市滝波町1-218

多田製紐
アクセス:〒911-0024 福井県勝山市浄土寺41-21-1
Instagram: https://www.instagram.com/tadaseityu/


 取材・編集
ととこ

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