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プールの葉っぱ、つばめのしあわせ

連日、風が強い。
目の前の川から、暑気を払う北風が吹いてくる。
乾季も半分過ぎているのに、涼しくて過ごしやすいのはこの風のおかげ。

でも、でもね。うちは屋外プールなんです。
折りしも、我がSambor Villageが誇る庭の木々は葉を落とす季節。
掬っても掬ってもプールには次々に葉っぱが舞い降りて、美しい模様を描く。
プールだけでなく、ホテルの入口からのアプローチ、レストラン、バーのエリアまで、あらゆるところに風とともに落ち葉が吹き込んでくる。

緑の奥から聞こえてくるほうきの音を聞きながら
ああ、今日も庭とプールの管理チームが大変だ・・
なんとかちょっと風を収めてはくれませんかねと言おうとして空を見上げたら、

空のたかーいたかーいところで、つばめさんたちが風を受けて飛んでいる。
風に乗ってホバリングするその姿の楽しそうなことよ!
いつもよりもずーっと高いところを何羽も何羽も飛んでいる。
下から見ているだけでも、ああわかるよ。そのよろこびが伝わってくる。

そっか〜。
この風はつばめのみんなにとっては喜びなんだな。
何度も風に向かって旋回するつばめさんたちの様子に、地元の子どもたちが刈り入れの後の田んぼで凧を持って走り回る乾季の風物詩が重なる。

じゃあ、しょうがないよね。やめてなんて言えないよ。
つばめさんたち、今はこの風を楽しんで!
こちらはまあ、適度に掃除を頑張るよ。
プールの際に並んで、スタッフと一緒に空を見上げながらそう言ってたら、
レストランで朝食を取っていたお客さんたちが
「何を見ているの?」とこちらの視線を追ってくれる。

落ち葉拾いが大変だから、お空に文句を言おうとしたら
つばめがあんまり楽しそうだから、言えなくなっちゃったとこです〜

へぇ、あ、ほんとだ。あれか!つばめなんだ。確かに、楽しそう!
これはそうだね〜。いいよ、葉っぱ入ってても気にしないから!
むしろ僕たちプール入って葉っぱ回収したらいいんじゃん?とお客さま。

落ち葉担当チームにもそれを伝えてみんなでひと笑い。

私たちは世界を分け合っている。
そのことを束の間思い出せる、そんな場所であるといいな。

2023.3.2 (001)
20min 







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