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自臭症(patm)の認知行動療法~その2~

前記事 自臭症(patm) の認知鼓動療法~その1~

【自臭症(patm)の認知行動療法~その2~】

今自分が何を気にしているかカウンセリングの序盤でハッキリさせる。
それがsamayukaが受けた認知行動療法の3ステップの一段階目、①心理教育。

その1では
・自分が臭いを気にしはじめた原因
・周りの咳こみなどを自分の臭いのバロメーターとして見るようになったき っかけを思い出し
それをコテンパンにセラピストに検討しなおされる過程を書きました。

それでは、前回の続きを書いていきたいと思います


思いたくもない。
そして、ハッキリとした根拠もない。

だけど、周りの咳などを見て、自分と関係していると思い
自分は臭いと避けられていると思わずにはいられない。

それが自臭症の典型的な状態。

でもなんでこうなるんでしょう?
それを確認するためにある実験が行われます。

身体反応と自動思考への気づき
~無意識の内に、意思とは関係なくそうなってしまう~

セラピストがこう質問します。

セ:私はあなたから異常な臭いなど感じません。そしていま、鼻をすすりたいとも思っていません。ここで私が嘘をつく理由がありません。嘘をついても何の得もありませんから。ここまでをsamayukaさんは納得してくれますか?
S:確かに嘘ついても得はないでしょう。

セ:では、今からわざと鼻を啜ります。繰り返しますが、私は鼻がむずむずするとか臭いがあるとか何も思ってません。あなたとは無関係です。試しに鼻をすすって大きな音を出すだけ。
(大きく一度鼻をすする)
いまどんな気持ちですか?
S:嫌な気持ち。体が強張ります。胸の奥が重たくなる。

セ:そうですか。先ほど説明した通り、私はいま、意識的に、鼻をすすりました。samayukaさんとは一切、何の関係もありません。何故、samayukaさんがしんどくなるんでしょう?
S:わかりません。なにかもう反射的になっちゃうんじゃないですか?自分でもわかりませんけど。。

ここでセラピストさんがシメシメとなったのを今でも覚えています。

そう、もう「反射的に」そうなるようになっちゃってるんです

私は真夏にギプス生活になり、入浴できず周りを気にするようになりました。そして、周りの人の咳や鼻すすりが自分と関係あるのでは?と不安になるように。

この流れ、ある程度は普通ですよね?
入浴不可→鼻すすったりされると嫌がられてるかな?→不安になる。

「嫌がられてるかな?」と思うから不安になるんです。
実際問題、臭いものがあっても人は鼻をすすったりはしませんが
嫌がられてるかな?と思えば不安になることは皆さんご理解いただけるかと思います。

ですがpatm状態の私は、ただ鼻をすすりを見聞きするだけで不愉快で不安な気持ちになっています。

周りの咳や鼻すすりを見聞きしただけで反射的に不愉快になっちゃう状態、ここでは「patm状態」と呼びたいと思います。

心理学(学習理論)的に見てみる
~身体反応と自動思考~

次に、このpatm状態を心理学的に見てみます。あ、お勉強だし必要ないわと思われる方もおられるかも。
ただし、実際に認知行動療法を試してみようと思っておられる方は、ここがかなり重要です。はっきり言って認知行動療法は納得してやらないとかなりの苦行です。その修行みたいな日々を乗り切るには、簡単にでも理論的な理解をしているかどうかで、しんどい時の「最後の踏ん張り」が変わると思います。退屈でもぜひとも読んでみてください。

身体反応

認知行動療法において、patm状態は次の二つが原因と見ます。
まず一つ目が身体反応・・・

パブロフの犬ワトソンの恐怖条件付けという古典的な学説があります。
ベルの音とご飯をセットにしてたらベルの音を聴いただけでよだれが出たり
ねずみと不愉快な音をセットでならしてたらねずみを見ただけで不安になっちゃうあれです。

注意して欲しいのはこれらの反応は、意志(=しようと意識すること)に関係なく出ちゃうってことです。よだれを出そうとか、ねずみを嫌いになろうとかしているわけではありません。自分と関係ないとわかっていても鼻すすりを聞いただけで不安になっちゃうのもこれと同じ仕組みです。

鼻すすりが嫌だという生活をしてるんだから、鼻すすりを見聞きしたら嫌になって当然だと思われるかもしれません。でもpatm状態になれば鼻すすりを見聞きするだけで自動的に嫌な気持ちになってしまいます。

周りから臭くないよと言われてちょっと安心しても自分で鼻すすりとか気にしたくないわ!と決意しても
鼻すすり確認→不愉快、不安が意志と関係なく自動的にでてしまう。

だから、自臭症は日常生活ではなかなか良くならない。
体臭対策や体質改善を試みても、(苦手な場面で)鼻すすりされる度に自動的に不安な気持ちになっちゃう。意志とか関係なしに、です。デオドラントや生活習慣の改善、ロハスで低アレルゲンなスローライフを送ってみても毎日、一喜一憂するだけで根本的に治らないのは、自分が反射的に不安になっちゃうからです。周りの咳き込みが偶然でも多ければ、それだけで自動的に自分は不安になりストレスがたまり、結果、自分が周りの咳き込みの原因だと思ってしまう負のルートが出来上がっちゃってるからです。

この自動的に起こっちゃう不安やイライラなどをpatm状態における
「身体反応」といいます。

自臭症patmを治すためな大きな目標の一つはこの身体反応を消すことになります。

自動思考

さて、意志(=やろうと思うこと)と関係ない領域で身体反応があると言いました。もう一つpatm状態がなかなか改善されない原因として自動思考というものがあります。

さきほど言ったようにpatm状態では
鼻すすり等を確認→自動的に不安になります。

では、このとき何を考えているでしょうか。
嫌がられてるかな?自分のせいかな?くそ、むかつくわ!
とか、考えてることがほとんどだと思います。
これらの考えの共通点は「自分が原因である」ということ。
ですけど、周りが咳き込むとか鼻すすりするとかってその理由は沢山ありますよね?
・花粉症
・風邪
・ただのクセ
・運動等してむせてる
・水などが喉に絡まってる

いくつも理由があります。

ですけどpatm状態であれば
イライラするな!嫌がられてるかも!?
と、「自分が関係している」と思わずにはいられません。

これを「自動思考」といいます。

この自動思考が出来上がっちゃうと、冷静に考えれば別の可能性が沢山あると思っても鼻すすり等を確認すれば、自動的に自分と関係があると思っちゃいます。

反射的に不安になってしまう「身体反応」と
自動的に自分に関係していると判断してしまう「自動思考」

これら2つが原因で
どんなに周りが臭くないよとか言っても→本人が生活習慣の改善やデオドラントなどできる対策をとったとしても落ち着いているときは「いや気のせいだろ」と考えられる人でも、また鼻すすり等を聞くと「あれ、自分のせいかな?」と不安になり混乱状態になる。
認知行動療法ではpatmや自臭症をこのような状態であると見ます。


このような説明がカウンセリングの初期にされます。私はこれを聞いたときにすごく納得して安心しました。

当時のsamayukaは自分の臭いが気になり周りの目がストレスになって引きこもってたわけです。しかし、気にしすぎか?流石におかしくない?という冷静な部分も残ってました。でも外に出て咳等を確認すればズタボロになって帰宅する。意味がわからない、なんだこの状態は?とパニック状態でした。

だからこの説明を聞いて、すごく安心しました。なるほど、もう自分の考えとは関係なく咳等を確認すると自動的に不安になって自分のせいだと考えちゃう状態なんだ、と頭のなかがすごく整理された記憶があります。

あと、正直に告白します。samayukaはこの説明を聞いた後、泣いちゃったんですね。その理由は、「自分のせいじゃなかった」と思えたからです。臭いがどうだとか、周りの咳き込みが自分と関係あるかどうかとかでなく、「そういう病気であって、自分の中のどこかが欠陥品であったわけじゃなかったんだ」と思ったからです。
今思えば、すごく差別的かもしれません。でも正直に当時の私はそう思い、安堵し、涙しました。それくらいこの解釈は、samayukaにとって衝撃でした。もう回心と表現していいほどです(セラピストさんを崇拝したわけではありませんよ笑)。

反射的に不安になっちゃう身体反応
自動的に自分のせいかな?と判断する自動思考

これら二つが絡まって互いを補強しあいながら
咳や鼻すすりに怯えるという生活のしづらさを形作っていきます。

この二つを消去すること、これが認知行動療法における自臭症patm治療のゴールであり、それを達成すれば自臭症patmは完治します。もはや周りの咳き込み等を見ても不必要に自分のせいだとストレスを貯めることはないからです。つまり、普通に生活ができるようになるってことです。

もし異常な物質が自分から出ていればそれを治療しても良いと思いますが
生活する上でやっかいなのは周りが気になってストレスがたまることです。
これは以前の記事を見てください。

ではこの身体反応と自動思考をどうやって消去するか、ストレスを感じすぎないごくごく普通の生活をどのように手にいれたかを、次に書いていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。

次記事(part3)
https://note.com/samayuka/n/n3153275cb33d?magazine_key=m335f949a3ea2


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