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ーマーズワン計画の真実。未来はあなたも火星にいるのか?ー映画『もし火星で死んだら』

無限の可能性を秘めているであろう宇宙。私たちが住む地球は、宇宙から考えれば小さな惑星の一つにすぎません。

最近、人間が快適に住めるようになった地球で囁かれていることがあります。それは、いずれ地球には住めなくなるのではないかという噂。その大きな原因となっているのが地球温暖化です。

有名ジャーナル誌『Nature Sustainability』は、地球温暖化が原因で2100年までに20億人は地球に住めなくなると予想しています。その結果パリ協定では、世界の平均気温の上昇を『1.5度』抑えることを努力目標と決めました。

もうすでに世界的問題といっても過言ではないでしょう。

そして、地球人の移住先として囁かれているもう一つの話題。それが火星移住です。今では、NASAなどの様々な機関が火星移住に向けて動き出しているとのこと。

一際、火星移住が話題になったのは2012年。火星に永住地を作ることを目的とした『マーズワン計画』が人々の注目を集めました。

映画『もし火星で死んだら』は、そんなマーズワン計画の火星定住の応募者に迫った作品。

行ったら帰ってくることができない、この壮大な実験に応募した真意は何なのか・・・。鑑賞者の胸を熱くするドキュメンタリー映画です。


<作品時間> 10分10秒
<監督> Ed Perkins
<あらすじ>
2012年、全世界の人々を震撼させる計画が発表された。その計画とは『マーズワン計画』。

火星に永住地を作ることを目的とし、その実験台として地球人4人を永住させるというもの。そんな無謀ともいえる実験に応募した地球人は、なんと20万人にも及んだ。

火星に永住するとなれば、それはある意味死ぬことを意味する。
実際に選ばれた人は、一体どんな真意で引き受けたのか?
そして、火星でどのような生活を望んでいるのだろうか?

3人の勇敢な応募者に迫ると、そこには応募者たちにしかわからない特別な理由があった。その真実に迫る・・・。


◎マーズワン計画とは?


世界中の人々が耳を疑ったであろう『マーズワン計画』。その計画とは一体どのような内容なのでしょうか?

具体的な計画は下記のようなものでした。

2025年に初めの4人を火星に移動させます。その後、2年ごとに4人ずつ火星に増員していくことで、定住できる人数を増やしていく予定なのだとか。しかし最大の問題となったのが『片道切符制度』です。つまり一度火星に行けば、一生地球には帰ってくることができないということ。

なぜ片道切符になってしまうのでしょうか?
その根底にある問題が燃料です。地球からは、燃料で火星へ到達することができるものの、火星から地球に帰るための燃料調達ができないそう。また、往復分の膨大な燃料を地球から持ち運ぶことも難しいのが実情。

これがマーズワン計画に隠された真実。

この映画では、この計画の実験者を募った約20万人の中から選ばれた精鋭4人のうち、3人に迫るドキュメンタリーです。

3人が火星定住を希望した理由は様々。それぞれの理由は決して生半可なものではありません。

そして、この作品を通して鑑賞者に伝えられているのは、希望者の決意ではなく「何かを成し遂げること」や「人々の愛」でした。

火星に住む人々の姿を見て何を感じることができるのか?
そういった所に注目してこの映画を楽しんでいただければと思います。

◎火星移住を望んだ3人の精鋭たち

火星への移住を望んだ3人の精鋭たち。わざわざ地球に帰って来れなくなると分かりながらも、この被験者になることを選んだ真意はどのようなものだったのでしょうか?

1人目【トラウマを抱えた男性】

彼は最初に「人生で最も重要だと思うのは遺産を残すこと」と発言をしていました。多くの人々は、子どもや家族を持つことで遺産を残そうとします。ですが、彼にとっては火星に行って死ぬことが遺産だと言います。

まさに伝説を残したいという目的。
普段から研究をしている姿に納得させられます。

しかしなぜそのような考えに至ったのか?
その理由となるのが家族関係。2歳の頃父親に捨てられたというのです。
当時の人間関係にトラウマもあったのだそう。

そういった意味でも人間的価値を最大限に高めたい気持ちがわかりますね。

2人目【イラク人女性】

彼女は「生存や存在のために家族は必要ない」と力強く発言をしていました。彼女の言葉を解釈すれば「地球で生活をして良いことが何一つない」と思ってるのでしょう。

最初に発言した人種差別の内容はその象徴ですね。
「イラク人女性は物扱いをされる。髪の毛や体の多くの部分を隠さないといけない。」

さらに最も注目すべき言葉が以下です。
「幸せではない。愛を感じたことがなければ信じたこともない。私に感情的な影響を与える人は存在しない。」

地球にいて良いと感じたことが何もない・・・。その満足できなかったフラストレーションこそ、彼女の火星に行きたいと思う原動力になっていますね。

3人目【モザンビーク在住男性】


彼の大きな理由は「地球にはもう要がない」と思っていることが挙げられます。

「疫病が蔓延し、人々が武器を持ち、自然災害や差別も溢れている。この地球はもう住むに値しない。この世界には問題が溢れている。」

おそらく様々な理由の中で、彼の心を最も突き動かすのは『差別』と考えられます。それは彼を紹介するいくつかのシーンに表れています。「火星に住む」と友人に宣言してバカにされる描写や、彼の暮らしの様子は貧富の差を象徴させるものでした。

それぞれの深刻な思いで望んでいることがわかる応募者の決意。まとめるとこの3人には、ある共通点があるのがわかります。

◎精鋭者の共通点。そして、裏テーマ『愛』

今回の精鋭者に共通している2つの事情。
それが『各々で深い傷を負っている』ことです。

その大きな傷こそが、火星に行く勇気を突き動かす大きなエネルギーになっていると考えることができます。

大切な人と離れて孤独に死んでも構わない・・・。そう思えるほどの傷の深さ。これは地球で満足して生きている私たちには、とても理解しきれないほどでしょう。

さらに共通していることが、全員『』に欠けていることです。

人は生きている中で自然に愛を求める行動をします。これは制御できない人間的欲求です。このことから、火星で暮らす中で一番辛いことは『孤独』であると解釈をすることができますね。

これにより、インタビュアーが「セックスはどうですか?」と度々質問をしていた理由も明らかです。

これだけの覚悟を持った人間を間近にすれば、おのずとあなたも胸が熱くなることでしょう。

「火星で死ぬことは成功だ」
「火星で死ぬことに価値がある」

映画の最後に残された、決意表明の数々はなんとも印象深い。
覚悟を持ち、大きな障害を乗り越えようとしている姿が、どれだけ魅力的なのかを伝えてくれています。

平凡に生きることも一つの人生でしょう。
ただその中で立ちはだかる壁はきっと、精鋭者たちからすればちっぽけなことなのかもしれません。

◎現在の火星移住の現状

実は、マーズワン計画は残念ながら2019年に破産宣言されました。しかし、火星移住計画は現在も様々な実験を元に進められているそうです。

その大きな一歩として、NASAが2024年に火星環境に1年住める人の募集を始めたとのこと。そこでも重要視されているのが『孤独生活での忍耐力』です。

果たして本当に火星に住める未来は訪れるのか?
さらには、火星を映した映画作品が生まれる日が来るのか?

映画『もし火星で死んだら』はその大きな一歩に過ぎませんね。

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