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ー世界が注目する、個性溢れた日本の短編映画が話題!ー映画『ザ・ボイスアクトレス』

アメリカの大規模イベントSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)。新しいテクノロジー、映画や音楽などが展示され、トレンドを示す祭典として存在感を高めています。

そんな大きなフェスティバルで日本の短編映画が注目を集めました。その映画こそ『The Voice Actress(ザ・ボイスアクトレス)』です。SXSWでは、見事に特別審査員を受賞。

脚本家兼監督のアンナ・J・タカヤマは「本物を求めた」と母親からのインスピレーションを基盤に作った物語だと明言しました。結果、たくさんの人々の心を惹きつけ大きな注目を集めましたね。

SAMANSAでは世界が注目をした『The Voice Actress』を配信中!
今回の記事を通して、この作品の魅力をより感じていただければと思います。


<作品> The Voice Actress
<作品時間>15分06秒
<監督> アンナ・J・タカヤマ
<あらすじ>
東京でベテラン声優として働く『金魚』という名前の女性。
彼女が生きている声優界では大きな変化を迎えていた。その大きな変化の一つが若者の増加。圧倒的な若者の増加により、ベテランの声優・金魚はこの業界の居心地の悪さを感じ始めている。

それでも彼女は自分の居場所を探す。端っこでも必死に生き延びていく。立ち止まっても、また進んで。金魚は、自分の生き方と現代の声優業界を調和させる方法を見つけ出していくのだった。
数々の短編映画祭に注目された、日本人監督が送る作品。

●時代とともに変わる「声優の世界」を描いた作品

昨今の芸能界は形を変えつつあります。たくさんの芸能人の独立やインフルエンサーが人気を集めたりと変化の渦中ともいえるでしょう。

それは声優業界も同じのようです。その大きな変化の一つが『声優が声優自身のステータスに基づいてキャスティングされること』なのだとか。ソーシャルメディアやフォロワーの数によって判断され、影響力のあるインフルエンサーの起用など若者の声優が増えているそうです。

そんな時代の変わり目に負けずに生きるベテラン俳優の金魚。実際の声優を務めるシーンでは、そんな時代の変化を感じさせる描写が隠されています。

若者に混じる金魚の姿、もちろん座る場所は若者に埋もれて端っこの席。さらには、時代のギャップを感じさせるスタッフの発言の数々。

これらのシーンの数々は、監督を務めたアンナ・J・タカヤマのこだわりです。ストーリーはフィクションになりますが、より本物を求めるため「声優を30年続けた母親にアドバイスを求めました。」と本人は語っています。

●母親から受けたインスピレーション

アンナ・J・タカヤマ氏によれば、この作品の金魚は声優歴30年の母親をイメージしていると言います。この映画を制作することとなったきっかけも「母親の仕事を記録したい」と思ったのが大きな要因だったそうです。

ちなみに主人公の名前が『金魚』になったのも、母親のあだ名が『金魚』だったから。金魚が飛んでいる夢を母親が見たことがきっかけとなり、この名前で呼ばれるようになりました。

実際のシーンでも、海岸で凧があげられる場面がありますね。なんともユニークなシーンではありますが、あのシーンこそアンナ・J・タカヤマ氏が求めた映画の始まり。母親から受けたインスピレーションを元に制作された結果です。

母親の30年に及ぶ声優人生が、アンナ・J・タカヤマ氏の個性とともに15分という短い時間に詰められているのがわかりますね。

金魚は声優業界がどんなに変化しようとも、逆境の状況に立たされようとも、心の強さと優しさを持って生きているのです。そんな姿には、鑑賞者の私たちに生きる力を与えてくれるようでした。

●作品に散りばめられた美しい『色』の世界

この映画でもう一つ注目したいのが『色』です。鑑賞すれば、自然と際立ってくる作中の色味。実は、これにもアンナ・J・タカヤマ氏の思いが隠されていました。

「脚本の段階の前から色で遊びたかった」と語るアンナ・J・タカヤマ氏。主人公・金魚の髪型は目立ちますが、加えて衣装の色も前半と後半で変わっていますね。

映画では青が合理性や冷たさ、分析的であることを連想させ、赤は危険やリスクの兆候として表現しているそう。実際に金魚の衣装は、前半が青、後半が赤の衣装になっています。

ベテラン声優が、現代の声優界で自分の軸を持って生きていく『決意』の表れともいえるのではないでしょうか。

ちなみに声優のシーンで使われたスタジオにも遊び心があるとのこと。スタジオの色やキャストの服装を青にすることで、水族館の水槽をイメージ。

魚が私たちとは全く違う環境で生きているように『声優も私たちとは全く違う環境を生きている』ことを表現したそうです。

まさに『色の美』× 『アンナ・J・タカヤマ氏が持つ独特の個性』が上手く混ざり合って出来た世界観。

物語の深さだけではない、映画の中に隠された様々な仕掛けが人々の魅了したのでしょう。

●最後に

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル

作中では金魚が何度も宮沢賢治の言葉を口にしています。
これは、まさに金魚の思いそのもの。
これもまた、日本映画の個性であり、私たちも改めて気付くべき深いメッセージなのかもしれませんね。

映画『The Voice Actress』はSAMANSAで絶賛配信中!
世界が注目する日本の短編名作をぜひ、ご覧ください!

<映画ライター/ shuya>

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【参考記事】
https://scriptmag.com/interviews-features/indie-spotlight-an-interview-with-sxsw-special-jury-award-winning-short-film-the-voice-actress-writer-director-anna-j-takayama


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