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【緊急事態】推しが結婚したんだけど、なぜ私はこんなにもつらいのか分析してみた。

それはあまりに突然だった。

とある日の午後。
「ねぇ!大丈夫?!」
という意味不明な文面とともに、推しが結婚したというニュースのリンクが、友人からLINEで届いた。

「無理無理無理むりむりムラァムラムラムラムラムラァ」とわたしは返信した。
別にムラムラしたわけではないことをここに補足しておく。
まともにLINEが打てないくらいに動揺したというわけ。

よりによって、その日は週に一度の出社日。
在宅勤務の日ならきっと立ち上がり、スマホ片手にテレビをつけ、ワイドショーを見ながらネットニュースも見て、部屋をウロウロ歩き回り、友人に電話で助けを求めていただろう。
しかしこの日はオフィスだ。
その場で声を上げるわけにもいかないが、もう仕事なんか手に付かない。
隣には上司が座っている。
なので、とりあえず「推しが結婚しました。」と報告をした。
そしてその上司もかつて推しが結婚するという一大事を経験をしたのを知っていたので、
「どうやって乗り越えたんですか?」と相談してみた。

見事な報・連・相。

のちに冷静さを取り戻したわたしは、どうして推しが結婚するというのはこんなにもツライのか、真剣に分析してみることにした。
そうでもしないと乗り越えられそうになかった、というのが本音かもしれない。

推しとわたしが結婚できるとでも思っていたのか?
真っ先にわたしはこう考えた。
でも、そんなことは断じて一度も思ったことはない。
推しとわたしの人生が交わる世界線は、とりあえず今世にはない。
でももしかしたら、どこかでその世界線が交わっていることを妄想だけでもしていたかったのかもしれない。
「推しと結婚できるなら、例え年収がわたしより低くてもいい」
とか、
「料理ができる人がいいって言ってたけど、わたし料理大好きだから毎日ご飯作って待てるよ」
とか、
訳のわからぬ妄想をしたことがあったことを、ここに白状する。
でも結婚してしまったのなら、もうそんな妄想すらさせてくれないのだ。
つらい。

あともう一つ。
推しが遠くへ行ってしまった感じがする
推しがいる人ならこの感覚を分かってくれるかもしれない。
推しているうちに、なんだか身内のように思えてくるのだ。
今は発信するコンテンツが山ほどあるものだから、毎日推しからの発信を受け取れる。
今日何してたとか、何食べたとか。
そりゃ身内みたいな感情も湧いちゃうよ。勘弁して。
だから、実は大事な人がいたと知ると、身内みたいに感じていたのはわたしだけだったんだと、もともと遠い存在なのに、さらにすごく遠くへ行ってしまった感じがするのだ。
つらぁ。

ここまで分析して、
「わたし何やってたんだ」とふつうに思った。

自分を俯瞰して見てみたら、けっこう情けない図だった。
アラフォー独身彼氏なし女が推しの結婚を嘆いている。
阿呆。
たぶんわたしにはもっとやらなきゃいけないことがあるはず。

推しはファンのことなどさておき自分の人生を着実に進めているのだから、わたしだってちゃんと自分の人生を生きなきゃいけない。

もう少し冷静になろう。
1日のうち、推しに費やす時間がちょっと多すぎた。
娯楽のうちの一つ、程度にするのだ。

「推しのライブ映像見てたら推し側からの景色が映ってて、観客のペンライトがホタルのようで、自分なんて推しからしたら多数のファンたちというだけで、わたしが認識されることなんてないんだと思ったら、あまり熱を入れすぎないようにしようと思った」
と友人が言っていたのを思い出した。

結婚発表から半日くらい経ち、やっと分析が終わって気持ちの整理がついたのでホッとして、時々見ていた和尚さんのYouTubeを数ヶ月ぶりに見てみたら、
「人が作った動画や作品を見るのがそんなに楽しいですか?そんなものを見ていないで、自分の人生を生きなさい」
と。
なんとタイムリー。それな!

推しを見るために、スマホをどれだけ手放せなかったことか。
デジタルの中で暮らすのではなく、この現実で自分の人生を切り開いていかないと。
もう寝る前だったのに、推しの夢から完全に目を覚ましたわたしはギンギンしていた。

次の日ニュースでなんと、
「推し活はできる範囲で無理をしないように」という特集までやっていた。
様々なコンテンツが充実してしまったことによる、ちょっとした社会問題なのだろう。

推し活が悪い訳ではない。
推しは間違いなく尊い。

わたしの推しは某アイドル会社の人なんだけど、最近は世間を騒がせ状況も変わり、結婚もどんどん解禁になってきた感じがする。
そんな中でいち早く結婚した推しがさすがすぎて、なんなら今までより好きになった。
だからこれからも推す。
でも、何事もやっぱり過度は良くないのだ。

つまり最終的に、
推しが結婚してくれて本当に良かった。

あの日からスマホをあまりいじらなくなったわたしは、家でも英語を勉強し、部屋でヨガを始め、夜ご飯は仕事の合間に早めに作るようになった。
一生懸命やるなら自分にリターンがあるようなことがいいよね、ということ。









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