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2022.4.14 中学歴史教科書読み比べ~秀吉の朝鮮出兵~

日本の歴史教科書を読み比べてみると、ここまで日本を貶めるのかと思わせる教科書が幾つもあることに驚かされますが、今回は東京書籍と育鵬社の中学歴史教科書を比較して書き綴っていこうと思います。

朝鮮侵略?

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東京書籍版中学歴史教科書(東書版)は、『海外貿易と朝鮮侵略』と題して、
<1592(文禄元)年には、明の征服を目指して、諸大名に命じ、15万人の大軍を朝鮮に派遣しました(文禄の役)>
と書かれています。

しかし、『朝鮮侵略』と堂々と書かれると違和感があります。

第1に、同じ教科書で元寇に関しては『侵略』とは書かれていません。

『モンゴルの襲来と日本』と題し、本文でも
<元は・・・攻めてきました>
<この二度の襲来(元寇)の後も、元は日本への遠征を計画>
と書かれています。

『侵略』とは、日本が攻めた時だけ使われる用語のようです。

この点で、育鵬社版は両方とも『侵略』という用語は使っていません。

元寇では、
『元の襲来』
<元軍は対馬、壱岐に攻め寄せ・・・>

秀吉の方は、
『朝鮮出兵』
<朝鮮に15万あまりの大軍を送りました>
<ふたたび出兵しました>
です。

『襲来』や『出兵』は、兵が押し寄せる、兵を出すという事実そのものを表現する言葉ですが、『侵略』は違います。

Wikipediaでは、“相手の主権・政治的独立を奪う目的の有無に注目した用語”であり、
<現代の意味での「侵略(aggression)」が使用されたのは1919年のヴェルサイユ条約において・・・>
と説明しています。

しかも、その定義は現在でも困難な状態にあります。

したがって、400年以上前の戦いについて、この用語を使うことは歴史記述というより政治的主張になってしまいます。

第2に、東書版本文で
<明の征服を目指して・・・>
と書いているように、秀吉は朝鮮を自分の領土とするために『侵略』しようとしたわけではありません。

「明への道を貸せ」と言ったのに抵抗したので、戦いになったのです。

したがって、この意味でも『朝鮮侵略』は誤った表現なのです。

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