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【短編小説】恵みの雨



雨が降ってきた。



天を仰いで思いっきり大口を開けた。



おいしい。空っぽな自分が満たされていく感覚がある。



生まれた時はあれほど求められてきたのに用済みとなればあっさり捨てられる。



僕の存在意義ってそんなもんなのか。



傷つけられた体からは液体が漏れ出した。



痛い。



しかし雨は激しく、漏れ出すよりも先に自分の中が満たされた。



これも悪くないか。



漏れ出る雨水は体の隙間を押し開けた。



それでも雨は降り注ぐ。




このまま、このまま、






体がなぎ倒された。




え。





あと少し、あと少しだったのに。



ゆっくり蓋を閉じて終わりを待っていると、体が突然軽くなった、



次の瞬間、体に衝撃が走った。



いてっ




「よお、新入りか」

「へ?」


そこには自分と似ているようで似ていないペットボトルたちがざっくばらんに重なっていた。



あの雨は僕をここに導いてくれたのか。

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