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#8【営業ノウハウ】DESC法

#営業ノウハウ

営業に限らず、誰でも仕事や日常生活の中で”交渉”する機会は多いと思います。

皆さんの”交渉術”はどのような戦術でしょうか。

顔色を伺いながら心理戦を展開する?
主観を排して徹底的に事実を並べ論理的に着地させる?
はたまた感情に訴えかけてお願いしまくって折れさせる?

経験やセンス、性格などによって様々かと思います。

ところで交渉術のひとつに、”DESC法”なるものがあります。
私も実は昨年末まで知らなかったのですが、内容を見てみると正に私が経験と感覚でこれまで実践していた交渉術そのまんまでした。

今回はこれを皆さんにもご紹介します。

DESCとは、交渉のロジックの4つのフェーズの頭文字を並べたものです。

自社開発を選択肢に残しているお客様にSaaSの導入交渉をする、というケースを例にしながら解説していきます。

Describe(事実を描写する)

自社開発とSaaS導入のメリット、デメリットを客観的な事実として淡々と伝えます。

「SaaSの導入は全社的な業務の標準化が図りやすい点、技術の進歩や法改正等に対応するためのUpdateをベンダーが標準機能として提供する点、資産計上しないためスイッチングコストが比較的小さいという点などのメリットがある一方、現場の細かい要望には応えきればい場合もあり運用改革の方針合意に工数がかかる可能性があります。その点、自社開発は痒いところに手が届きやすいですが、OSやハードの更改、法改正等の要件対応に時間とコストとリソースを取られ対応スピードが遅まるリスクがあります」

「また、貴社の将来像として業界全体を巻き込んだプラットフォーム化を目指して大きなコスト削減を図るという大目的があると思いますので、自社開発のガラパゴスシステムはその実現の大きな障壁になる可能性が高いです」

客観的な事実に加え、お客様の経営戦略を前提として、交渉のスタート地点を定義して認識一致を図ることが重要です。

Explain(シナリオに基づいて方向性を説明する)

前提を揃えたら、次に事例や例え話などを用いつつ、主観的な意見や想いを伝えて事前に練ったシナリオに基づく着地点へと誘導します。

「その点を考えると、より多くのプレイヤーが利用している汎用的なシステムであることが優先度の高い要件となってきますよね。弊社のSaaSは既に貴社業界関連企業でも多く利用されています。周りのみんながFacebookを利用してネットワークを構築しているのに、一人だけ自分で独自に開発したSNSを使い続けても誰とも繋がれないですよね。それと同じです」

「貴社の将来像を本当に実現したいのであれば、自社開発という選択肢は選び得ないと思います。運用でカバーし得る些末な機能要件の優先順位は当然下がってくるでしょうし、投資対効果の面でもSaaSの優位性は明らかです」

着地点への誘導のロジックは十分な納得感を与え得るものでなくてはならず、そのために事例や統計による裏付けを盛り込むと効果はより大きくなります。

Specify(選択肢を特定し提案する)

次にいくつかの選択肢を提案します。

事前にシナリオを練っておく際に、Best CaseとWorst Case、及びいくつかの妥結案を定義しておきましょう。
それらが選択肢となります。

”Propose”ではなく”Specify”(特定)という言葉であるのがミソで、ただ提案すれば良いというわけではありません。

客観的な前提と主観的な想いをクライテリアとして、合理的な選択肢を明確化して提示するのです。

「ということで、ベストな選択肢は弊社のSaaSを今回ご検討の全Scopeで導入することなのですが、現場における運用も早期に定着を図る必要があると思います。そこで、オペレーターが実際に操作する画面のみ開発し、裏で弊社のSaaSと連携することで現場の抵抗を回避する案もご提案できます」

「開発費用やメンテナンスコストは当然かかりますが、仮にこの案で定着と効果刈り取りが半年早まるとすれば、十分回収可能な投資かと思います」

最大限譲歩したという姿勢を見せつつ、代替案として次点の妥結案を提示するのがポイントです。

Choose(選択させる)

最後に、提示した選択肢の中から、お客様に選択させます

「如何でしょうか。全てSaaSで導入する場合は投資額は抑えられますが、定着のコストと効果刈り取り時期に懸念があります。こちらの代替案の場合は懸念を解消しながら十分なROIを見込めます。どちらがよろしいでしょう」

選択肢を絞って提示することで、心理学的にも相手はその選択肢の中から選ぶ前提で考え始めます。

そもそも客観的事実と主観的意見を交えた論証に基づく選択肢ですので、他の選択肢が出てくる可能性は最小化されています。

結果、事前に落とし所にしたいと考えた妥結点に着地させられる可能性は高まるはずです。

現在、何かしらの交渉事に直面している方がいらっしゃいましたら、このフレームワークを念頭にシナリオを練って臨んでみてください。

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