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スターバックスから学ぶ美味しいビジネスモデル~失効するスタバカードで年間160億円の利益を生む金融王
おはようございます。人に働いてもらってお金を稼ぐ経営者と金に働いてもらって金を稼ぐ投資家のどちらが良いか悩んでいるプロコンです。
経営者と投資家どちらも自分以外の何かを働かせてビジネスをしているというのは間違いありませんね。特に、カネがカネを生む段階まで到達した投資家は不労所得の究極形態とも言えるでしょう。
さて今回は、スターバックスコーヒーが実は金融でかなり稼いでいたという事実ってあまり知られてないよね?という件についてお話ししようと思います。
そこのあなた、「スターバックスみたいな大企業のビジネスモデルなんて学んでも…」と思っていませんか?
確かに、大企業のマーケティング施策などを学んでも私たちスモールビジネスオーナーには直接使えません。しかし、大企業のビジネスモデルから価値ある学びを抽出して自身の経営に活用することが重要なのです!特に、今回説明するスタバカードのビジネスモデルは応用可能性が高いので是非最後までご覧ください。
※今回の記事も頑張って書いたのでスキしてもらえると嬉しいです。
スターバックスカード(スタバカード)のビジネスモデル
今更説明するでもないことですが、スターバックスの利用者は先払いでスターバックスカードを購入して、コーヒー代金などをその残高から支払うことができるという単純なモデルです。
そこになんの学びがあるのでしょうか?
2019年8月11日にJohn Paul Koningさんが呟いた以下のツイートを見てください。
Wow Starbucks, what a great gig.
— John Paul Koning (@jp_koning) August 11, 2019
Starbucks has ~$1.6 billion in 'stored value card liabilities' i.e. the Starbucks Card. So ~6% of the firm's liabilities are comprised of coffee addicts paying 0% for the privilege of lending to their supplier.
Source: https://t.co/nGH2arujYz pic.twitter.com/cGcSW3L4MM
コーニング氏はスターバックスは約16億ドルをスターバックスカードの負債として計上していることを明らかにしています。そして、スターバックスは約1700億円の負債を無利子で借りているのです。
スタバカードは無利子で1700億円の借金ができる最強のシステム
「え?でも負債だからいつか返さないといけないんだよね?」と思ったあなた、その通りです。でもよく考えてください。銀行などの金融機関にお金を借りるときに必ずと言っていいほどついてくるものは何でしょうか?
こういう怖いお兄さんたちからお金を借りることを想像したら分かりやすいでしょうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1635495886678-f2z8lQijJB.png?width=1200)
そう、金利です。金利、気になりますよね?
闇金からじゃなく銀行や日本政策金融公庫から融資を受ける場合でも、「金利(貸付利率)が何%になるのだろうか?、何年で返済する(貸付期間)必要があるのだろうか?」と気になるのが普通だと思います。
ちなみに、日本政策金融公庫(政府系の金融機関)の場合だと以下のような貸付利率、貸付期間です。
覚えておいてほしいのは貸付期間5年以内、基準貸付利率1.06%という数字。
![](https://assets.st-note.com/img/1635496554170-g0CqP6PngE.png?width=1200)
つまり5年以内に返済するなら1.06%の金利でお金を貸してあげるよー!っていう話です。
もう少し具体的に考えてみましょう。
例えば
10億円を借りた場合、10億円と利子1,060万円
100億円を借りた場合、100億円と利子1億600万円
1000億円を借りた場合、1000億円と利子10億円6,000万円
をそれぞれ返済する必要があるということです。
当たり前のことですが、借用額が大きくなるほど利子の返済額も大きいものとなっていますね。
では、ここで思い出してみましょう。スターバックスがスターバックスカードによって無利子で借りている金額はいくらでしたか?
…
…
…
そう、約16億ドル。日本円にして1700億円以上(レートによる)!
しかし、スタバはスタバカードという仕組みを生み出したことで無利子で1,700億円の借金ができています。
・スタバは1700億円分のスタバカードをお客様に販売
・会計上はスタバカード販売分を負債として計上(つまり1700億円借金)
これ、すごくないですか?利率1%で考えても17億円以上の利子を支払う必要があるのに、それがタダなんです。無料!超ホワイト債権者すぎませんか。
そして、驚くべきはこれだけじゃありません。
スターバックスカードは年間160億円ほど失効している
あなたには経験ないですか?
「あ、あそこの店のポイントカード有効期限切れちゃった!(失効)」という経験。
「あれ?ポイントカードどこにやったっけ?(紛失)」という経験。
絶対ありますよね?
この”あるある”な現象、スタバカードでも、もちろん起きてます。
例えば、会社のビンゴ大会やプレゼントでスタバカードをもらったけど使わず放置したりしてませんか?貰ったカードをなくしたりしてないですか?
この、失効・紛失などで消滅していく金額がなんと160億円ほどあるのです(2018年分)。
スターバックスカードのビジネスモデルを導入しただけで年間160億円の利益増
この、失効・紛失した分は返済の義務がなくなったということなのです。つまり、丸々利益になっています。粗利100%です。
額は違いますが、それが毎年発生します。凄いですよね?
1700億円借りて、160億円儲かるって、もはや-10%金利で借金しているのと同じですよ。借りれば借りるだけ儲けることができる?どういうこと?という状態です。
もはやバグを疑うしかないビジネスモデル。数々の人が追い求めてついには届かなかった「聖杯」。ここに存在していたのかもしれません…
スターバックスカードは紛失や失効がなくなっても強力なのか?
答えはイエスです。
紛失はカードが物理媒体で存在する以上避けられない問題なので、安定的に利益となるでしょうが、失効による利益の方はなくなる可能性もあります。実際グローバルでは分かりませんが、日本のスターバックスカードでは有効期限がなくなっており、失効することは無いようです。
しかしそれでもスターバックスカード(プリペイドカード)というモデルが素晴らしいと言える理由があるのです。
スターバックスカードのモデルが素晴らしい理由、それは”返済が現金ではなく現物でいいこと”です。
分かりやすいように、メルカリの売上金などとスターバックスカードを比較してみましょう。
メルカリの売上金は”お客様の売上なので現金で返す必要がある”。
なので、そのお金を自由に使ったりはできないし、失効させるのも難しいです。仮に自由に使おうと思うと預金取扱等金融機関などのライセンスが必要になってくると思います。
つまり、メルカリは「このお客さん最近メルカリ使ってないから売上を没収してやろうぜ!」なんてことができないのです。そして、「お客さんの売上を使って金融取引してやろうぜ」なんてことももちろんできません。
![](https://assets.st-note.com/img/1635502452997-BPz5nlNnCu.png?width=1200)
しかし、スターバックスカードを販売してできた負債は"コーヒーやフラペチーノを販売すればいいだけ”。そして、そのお金を自由に使っていいし、失効も比較的簡単にできるのです。
スターバックスは「うーん、ポイントカードの期限は2年間で!」なんてこともできますし、「スターバックスカードを売ってできた資金でビットコイン買っちゃおうZe!」なんてことも(やろうと思えば)できます。「プリペイドカード持ってる人限定でちょっと高めのフラペチーノも販売しちゃおう!」と、返済が楽になる方法も取れるでしょう。
いやー、スターバックスカードみたいなビジネスモデルを採用したくなってきましたね?
![](https://assets.st-note.com/img/1635502575422-fqPztjWA2g.png?width=1200)
スターバックスカードをスモールビジネスに応用するための方法
ここまで説明してきて、スターバックスカードのビジネスモデルが優れていることは分かっていただけたと思います。
ここからは、スターバックスカードのビジネスモデルからスモールビジネスに応用できるエッセンスを抽出していきましょう。これまで、スターバックスカードの凄いところを3点紹介してきました。
疑似的な無利子での借金
一部は失効・紛失するので返済義務がなくなる
返済義務を現金ではなく現物で負う
じゃあ、これら3点をスモールビジネスに応用するためにはどうすればよいでしょうか?
1. 疑似的な無利子での借金を実現する
無利子での借金を可能にしているシステムには"お金を一方的に借りるのではなく、スタバカードという商品の代価として支払いを受けている”背景があります。
つまり、「1万円頂戴」だと「え?いつ返すの?どのくらいの利子?」となるところを「1万円分のスタバカード販売します。」とすることで購入者にはお金を貸している感覚がないのです。
そうですよね?プリペイドカードを購入した時に「よし、スターバックスにお金を貸し付けてやったぜ」なんて感じる人がいればそれは変態です。
つまり、スモールビジネスに応用する場合も簡単にできます。カード、利用券などを販売すればいいのです。これらの商品は売れば売るほど利益になっていきます。少額だとメリットは少ないかもしれませんが、チリも積もれば山となるです。
ただ、以下のような疑問が浮かんできませんか?
「都度払いでいいじゃん。どうしてカードを買う必要があるの?」
その通り!良い質問です。あなたがカードを販売する際には”現金払いではなくカードを購入したほうが良い理由”を作りましょう!
例えばスタバカードでは以下のようなメリットがあります。
現金のプレゼントは生々しいが、ギフト券なら喜ばれる(利便性)
Suicaなどが使えない店舗でも使える(利便性)
現金だとおつりが出てきてかさばる(利便性)
ドリンク無料チケットの入手機会が増える(利益)
限定アイテムやイベントに参加できる(利便性・利益)
ロイヤルカスタマーになれる(利益)
カード自体がかわいい、集めたい(カード自体に価値)
これらは大まかに次の三つに分類できます。
利便性
商品がもらえるなどの利益
カード自体の価値
普通のスモールビジネスに応用できるのは利便性と利益の2点でしょう。もしデザイナーやアーティストにコネがあってカード自体の価値を高められる場合はその限りではありませんが、ほとんどの場合はカード自体の価値を高めることはできないでしょう。
そのため、利便性・利益という観点で”現金よりもカードがいい理由”を作り上げていきましょう。
具体的な施策の例をいくつか挙げてみましょう
回数券で1回分無料
カードがある人だけ予約受付期間が長い
カードがある人だけ予約可能
カードがある人だけのコースがある
限定イベントなどがある
限定グッズプレゼント
あなたの経営しているスモールビジネスの業種にもよりますが、施策のアイデアはいくらでも浮かんでくるはずです。先払いしてもらうビジネスほどキャッシュフローが安定するものはないのでこの仕組みをうまく作り上げるのはかなり肝になってきます。
「でもWeb制作会社で受託がメイン事業だし…応用できなさそうだな…」と考えている人も、もう一度よく考えてください。本当に、先払いしてもらえる仕組みは作れませんか?
必死こいて営業を回って一件のお客様を獲得するのも良いですが、「事業が楽になる仕組み」を作るために頭を使うことはとても重要なことです。木こりのジレンマに陥ってしまわないように、しっかりと考えてみるべきです。
2. 返済義務の免除を実現する
返済義務の免除をスモールビジネスで実装することは中々難しいです。失効とは”クライアント様との関係が薄い”ということを意味するのでtoC系企業ならまだしも、toB系企業だと悪手なんですよね。
もしtoB企業であれば、”クライアント様との関係は維持しつつも失効していることに気付かせない”仕組みが必要です。
いくつか施策例を考えてみました。
月額顧問料的に請求をして実働以上の料金が入るようにする
”失効したけど現金よりはお得だった”状況を作る
例えば、月額顧問料的に月初めに徴収する方式にしておけば「前払い方式」が実現できますしクライアント様が増えるにつれて”あなたの実働は低いけどお金を払ってくれる人”が増えます。
これはクライアント様を騙しているわけでなく、”必要な時に価値を提供するための保険料”であり、価値提供はできているわけです。スモールビジネスの内容にもよりますが、実働が低いお客様のほうがむしろ価値提供ができている場合もあります(例えば弁護士、税理士、HP制作など)。
勘違いしている人も多いですが”実働が低い=提供価値が低い”ではないのです。むしろ、仕組化をしっかりと行うことで実働を低くする方が提供価値が大きい場合すらあります。そして、代金を一括払いしてもらうにはクライアント側のキャッシュフローに影響が大きいため分割払いができる名目を採用していると考えてください。
”失効したけど現金よりはお得だった。”状況を作るというのは、クライアント様に利益が出る水準を低くしておくことです。
例えば、毎月4,800円のサブスクリプションで2回分整体通えるというカードがあった場合に"定価1回5,800円コース"であれば1回でも行けばお得なわけです。
Web制作系の受託企業であっても、軽微なHP修正料5,000円/回、HP運用費用9,800円/月というプランを用意したうえでHP運用費月額9,800円~(軽微な修正2回まで無料)の定期サービスを立ち上げれば修正依頼をしなくてもクライアント様にはお得な状況が作り出せます。
3. 返済義務を現金ではなく現物で負うを実現する
現金ではなく現物での返済義務にするには、”カードや定期券を購入させる”モデルにしていれば自然と実現できます。要するに、先払いでもらえればもらえるほどいいビジネスですよ。ということです。
世界に名を轟かせているAmazonもAppleも入金は早く、支払いは遅いビジネスモデルです。キャッシュフローを安定させる基盤ができているからこそ、これほど大きな起業に成長できたのです。
本当か?と思った方は、大企業のキャッシュフローサイクル(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を調べてみてください。とてつもない成長をしている企業のほとんどはキャッシュフローサイクルが優れています。
今でこそキャッシュフローサイクルがとてつもなく安定しているAppleですが、1997年にスティーブジョブズが復帰する前はひどかったんです。
実際、当時のAppleは運転資金3か月分しか残っておらず破産寸前とまで言われていました。そこから、ジョブズが画期的な商品を打ち出して大ヒットを連発したおかげでAppleがあると思う方もいるでしょう(事実その側面は否めない)。
しかし、私はこう思っています。Appleの大復活劇の基盤となったのは販売から入金まで70日以上までかかっていたサイクルをマイナス74日へと改善したことであると。
「入金は早く、支払いは遅く」これがキャッシュフローを安定させる基盤となります。もちろん、関係者に無理を強いてしまうことは良くないことですが、自然とそうなるようなビジネスモデルを作ることは悪いことではありません。
ちなみに、暇すぎて始めた成功報酬型のコンサルは”入金が遅く、支払いが無いビジネスモデル”なのでビジネスとして悪いモデルです。ただ、困っているクライアント様に最も都合のいいビジネスモデルにしようと考えた結果ですので後悔はそんなにしてません。実際、持ち出しがゼロ円でコンサルティングを受けられるというのは強力なフックになり、紹介も多く集客面でのメリットがありました。
スターバックスカードのビジネスモデルの根幹は提供価値ありき
スターバックスカードも、ほかのビジネスモデルもすべて「お客様への価値提供」というものが根底にあって成り立ちます。お客様への提供価値が伴わないビジネスというのは遅かれ早かれ立ち行かなくなります。
とはいえ、多くの製品・サービスのコモディティ化が進んだ現代社会において簡単に差別化・独自化できるビジネスは少ないです。
受託系の企業や店舗経営においてはお客様がはっきりとわかるほどの差別化・独自化は難しいことは間違いないでしょう。ほとんどのスモールビジネスは価値提供はできるけど差別化・独自化が難しいビジネスです。必ずしも無理な差別化・独自化を行う必要はありません。
今回説明したスターバックスカードのビジネスモデルのように既に上手く機能しているシステムを自社に適用するだけでも結果が出るのです。スターバックスカードのビジネスモデルに限らず、成功事例から学び自社の経営に活かすことの方が、無理な差別化・独自化路線を開拓するよりもよっぽど有益なことが多いです。
お客様から見たときの差別化・独自化が難しい現代だからこそ、自社の仕組みづくりで優位性を持っていきましょう。根底にあるのは「お客様への価値提供」だということは忘れないようにね。
スモールビジネス起業に役立つマガジン書いてます
リスクを最小限に抑えながら、ビジネスを立ち上げ、収入を増やすためのスモールビジネスの情報が得られるマガジンを発行しています。
初月無料です。二か月目以降も月額980円、1日当たり約32円と激安。
海外有料コミュニティのスモールビジネス情報を具体的に解説していて、面白いです(自画自賛)。
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