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ドラムスティック遍歴のコーナー!!(3)

ありそうでなかったドラムスティック遍歴。たぶん最終回。

吹部の仲間には、大学では音楽やらないから勧誘しないでね、なんて皮肉を残してジャズ村にとんぼ返り。しかし逃げのびた先には吸部出身のこわーい先輩がちらほら。しかしあの頃の張り詰めた空気とは打って変わって、実にゆるりとした雰囲気で話することができて。自分はよき理解者に恵まれたと改めて感じさせられたのでした。音楽の神は見放したが人の縁は途切れず。

大学時代のお供は、前回触れたダイヤモンドチップモデルとこちらの商品。名手Brian Bladeが操るスティックでもあります。太めですが程よい重量で、特にシンバル本来の鳴りを表現できる代物だなと感じました。打面を打つ、ではなく添えてあげるイメージで腕を差し出すことで透き通った音色が客席へと広がる印象。Brianの奏法は実に理にかなっていたという訳です。

大学を卒業した頃から右手薬指にしびれを感じる機会が増え、長らくドラムから距離を置いていました。精神的な要因あるいはジストニアの一症状ではという主治医の言葉もあり、これは日にち薬かなあなんて考えているうちに数年が経過してしまいました。いくらか症状も落ち着いてきたので、ドラムを再開することに。でもすっかり、叩き方を忘れてしまいました。

硬い。痛い。重い。忌まわしい記憶が蘇ります。ひとまず中学時代に買ったルーディメント本から始めることにしました。せっかくなので木の棒新調。Pearl 103HとDave Wecklモデルのイイトコ取り。軽く長い。苦しかった高校時代を一緒に戦ってくれたProMarkを、操り人形としてでなく、自分自身で選んで買う。あくまで我流ですが、この選択には理由がありました。

ここから先は未来のお話。別にドラえもんではありません。気になっている木の棒をいくつかご紹介して、本連載を閉じます。Marcus Gilmoreモデル、これがなかなかぶっ飛んだ仕様になっておりましてですね。やはり注目は、円錐型チップということになるでしょう。マーチングドラムスティックではよく見られる形状で、室内音楽の演奏には長らく不向きとされてきました。

しかしまあMarcusがあんな調子でしなやかに軽やかにとんでもないドラムを披露してしまったわけですから、もう不向きなんて言われた時代は終わり。ダイヤモンドチップ愛好家としては手を出す以外の選択肢がない、でも全く使いこなせているビジョンが見えない、でも手を出す以外の選択肢がない。頃合いを見て買ってしまうことになると思います。

原点に立ち戻ろう。もっぺん「木の棒」から始めてみよう。もしかすると、主宰と似た境遇の読者様もおられるかもわかりません。そんな方にオススメしたいのがこちら。第1回で紹介したSteve Gaddモデル。あれ、黒くない。そうです。主宰が10代の頃にはまだ発売していなかったクリアフィニッシュモデルがこの度、登場してきたのです。

当然ラッカーとクリアでは同じモデルとて全く音色が異なります。先に気が付くのはむしろ叩き心地の方でしょうか。より手に馴染むのはどちら。より好みの音を出せるのはどちら。左手にラッカー、右手にクリアモデルを手に取ればアシンメトリーでSNS映え不可避。そういうミーハー心も悪くない。ドラムスティック遍歴って意外とドラマーの「哲学」を引き出すものかも。

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