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今週の【ほんそれ】書。 『先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち』
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今、私はある本を読みながら首がもげるほど頷きたおしている。
本当にそれなのよ。
筆者がおっしゃるとおり!
ここにもし『わかるボタン』があるならば何回だって押したい。
その本のタイトルは『先生、どうか皆の前でほめないでください』。
大学の先生である金間大介さんが気になる若者の心理を見事に解読している。
たとえばずっと思い出せないでいる名前を思い出した瞬間とか
どうやったって開かなかった瓶のふたが開いた瞬間とか
そんなパズルがぴったりはまるような膝を打つ『ほんそれ』読書体験がそこにありました。
現在思春期真っ只中の娘の親として
学校にお邪魔するお仕事に関わっている身として10歳〜22歳あたりのみなさんのことが少し疑問だったんです。
たとえば…
「なんでそんなに競争心がないんだろう」
「なんでそんなに目立ちたくないんだろう」
「こうかな?とさあやってみる起動スイッチはどこにあるんだろう」
「みんな優しくて、誰かを出し抜いて1番になるような前向きなズルさがないのよね」
「質問はありますか?」の後の風が吹く静けさ。
この疑問へのアンサーが詰まった一冊に、私の心は同意となるほどで一杯になりました。筆者である金間さんは先生(教授)ですから経験や分析もさすがです。リアルを知るからこその各章の視点に「本当にそう!」の同意が止まりません。これは10歳から大学生に関わるすべての皆さんにおすすめです。
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金間さんは誕生日にプレゼントをゼミの学生さんから貰ったときに「誰のアイデアか?」と尋ねると「みんなで決めました」と返ってきたとのことでした。こんな場面での“数名で同意を得てから一緒にスタートしたくなる気持ち”は大人の私にもわかります。
私も今年いわゆる「言い出しっぺ」になったことがあります。大好きな職場の先輩が異動することになり、何か寄せ書き的にメッセージを贈りたいと同期メンバーに伝えたのです。「また〇〇さんかよ」って思われはしないだろうかと不安がよぎります。しかし“目立つこと”と“メッセージを送ってお礼がしたいこと”を比較して、後者が勝ったから提案することにしました。
現代はデジタル社会です。SNSも気を使って発信していることでしょう。もしクラスの中で人より目立ってしまったら、それをどこかに共有されでもしたら悪意はなくとも拡散され瞬く間に広がってしまいます。
そう考えれば、1人やる気があるって思われたらどうしようという不安は現代のほうが大きいのかもしれません、私のような大人より学生さんのほうが1つ1つが死活問題でしょう。娘も「間違えてもいいから手をあげて」って先生から言われることが、そうじゃないんだとよく言っています。「間違えたらどうしようで手を挙げないんじゃない。たとえわかっていてもね、目立つでしょ」の気持ちがそこにあるんですね。
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さらに心の解読だけではなく筆者は、巻末に若い層へ環境や自分を変える『ヒント』を届けています。学生さんたちが読めば『そうなんだよね』と『ヒント』を一緒に受け取ることができます。
『わかる』ボタンを押し続けた私は、その『ヒント』の存在を知って深く頷いたのでした。
お読みいただきありがとうございました。
桜
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