櫻井幸雄

毎日新聞で連載コラムを持ち、yahoo!ニュース「個人」のオーサーでもある住宅評論家。…

櫻井幸雄

毎日新聞で連載コラムを持ち、yahoo!ニュース「個人」のオーサーでもある住宅評論家。ブログでは、他では出せない話を書きます。https://news.yahoo.co.jp/byline/sakuraiyukio/

最近の記事

ジュニア・シニアになりまして……②透明ポシェットを買ってみた

「65歳からがシニア」の境界線を越えたばかりなのでジュニア・シニアの看板を掲げた私は、相変わらず忘れ物防止策として、ポシェットに執着している。先日、ZARAで見つけたのが、透明のプラスチック製ポシェット。夏は涼しげでよさげ、と若い人の真似をして購入。以前、柔らかなビニール製透明ポシェットは尿パックを連想したのでヤメにしたが、プラスチックのハードシェルならば、ギアの感じがするので、いいかな、と。 で、早速、持ち物を入れてみたら、これが映えない。パス、車のキー、マスクなど普段持

    • 尻尾が曲がった三毛とのお別れ

      6月12日の朝5時過ぎでした。 眠るように、といいたいけれど、ついに力が尽きて、かもしれない。最後の5日くらいは洗面所の冷たい床を好んでいたので、柔らかなソファに移して、ゆったり寝かせてあげた。穏やかな、穏やかな顔。 7時前に、24時間受付のペット葬儀社に電話すると、昼過ぎに来てくれるという。お棺と火葬、骨壺、骨や爪を収めたキーホルダー2つなどで、3万円。高いんだか、安いんだかわからない。 初めてのペット葬儀。 葬儀社の人は白いポロシャツにグレーの長ズボン、黒いスニー

      • 尻尾が曲がった三毛

        家に居る4匹の猫のうち、三毛猫のミケは尻尾が曲がっている。「尻尾の曲がった三毛は、幸運をもたらす」と聞いたからでもないが、私はこのミケが気に入っている。ん〜、正直に告白すると、「幸運をもたらす」と聞いたので、ムゲにしなかった部分はあるかな。 もともと、気の強い女の子だ。小柄で、体重が7㎏ある兄弟ネコのサバ(男の子)の半分以下という体格なのだが、ケンカが強く、サバよりも上位にいる。人間にこびることがなく、孤高の猫でもある。 家の縁の下で生まれた兄弟猫の1匹で、他の兄弟よりも

        • 猫を拾うことの、幸せ

          子猫を拾う幸運に恵まれることは、滅多にない。今まで66年生きて2度しかなかった。生後2ヶ月未満で親とはぐれる子猫がまず少ない。親猫の代わりとして、人間になついていくれる猫はさらに少ない。 どうしたの?と声を掛けて、走り寄ってきてくれる子猫にいたっては、奇跡に近い。奇跡の猫は、人を怖がらないから、よくなつく。 遊んでよ、と最初はパフパフと頬や手を叩いてくる。相手をしないと、最後は足の甲に後ろ足を置く。そのとき、すでに爪が出てるので、いらついていることが分かる。で、後ろ足で足

        ジュニア・シニアになりまして……②透明ポシェットを買ってみた

          ジュニア・シニアになりまして……カウンター下は、忘れ物危険地帯

          私は、昭和29年の3月生まれ。西暦でいえば1954年生まれとなり、66歳の誕生日を迎えたばかりだ。 WHO(世界保健機構)の定義によると、65歳以上がシニア(高齢者)に分類されるので、私もシニアの仲間入り、といってもシニア界ではまだ“新参者”なのでジュニア・シニアというところか。 ジュニア・シニアになったからといって、特典のようなものは感じていなかったが、先日、65歳以上が利用できる飛行機の割引があることを知った。JALでは「当日シルバー割引」ANAでは「スマートシニア割

          ジュニア・シニアになりまして……カウンター下は、忘れ物危険地帯

          愛猫ランは、目下のところ「庭だけ外出OK」

          ランには、面倒なクセがある。 キャットフードを食べるとき、「一緒に来て」と催促する。そして、背中をなでることを求める。そうしないと、エサを食べないという甘えグセがあるのだ。 それは、拾ってきたばかりのころ、高カロリーの栄養食を食べていたときに身についたもの。体重が増えないと安楽死させられるかもしれなかった(嵐の日に出遭った、子猫の「ラン」参照)ので、頑張って食べさせた。 その際、栄養食を食べるランを「いい子だねえ、もっと食べなさい」と家族が代わる代わるなでた。 それが染みつ

          愛猫ランは、目下のところ「庭だけ外出OK」

          嵐の日に出遭った、子猫の「ラン」

          愛猫のランと出遭ったのは、2017年の10月21日。超大型の台風21号が日本に近づいていた土曜日で、すっかり暗くなった18時過ぎ、仕事場から自宅に帰るときだった。四つ角を曲がるところで、ミャウミャウというなき声が聞こえた。 目を凝らすと、道端で白黒の小さな猫がないていた。ノラの子猫……、近寄れば逃げて行くだろうと思いながら、それでも一応は、としゃがんで「どうしたの」と声をかけてみた。すると、駆け寄ってきて、足に体をすり寄せてきた。 それは、私にとって二度目の経験。一度目は、3

          嵐の日に出遭った、子猫の「ラン」

          「自宅マンションでゾーッとした、ハイヒールの足音」の続き

          じつは、「住宅評論家が自宅マンションでゾッとした、ハイヒールの足音」の話には、続きがあった。 その後も家の中で、奇妙な出来事が続いたのである。 妻が寝室で寝ていると、リビングのほうから寝室に向かう足音がするので目が覚めた。それは、ハイヒールではなく、柔らかい足音で、夫(私)が仕事を終えて寝るのかな。そう思ったが、足音が止まったまま、寝室に入ってこない。私の足音ではなかった。 あるときは、朝寝をしている私を起こす声がした。 「幸雄さん、起きて」 何度も起こすので、ムッとした。

          「自宅マンションでゾーッとした、ハイヒールの足音」の続き

          住宅評論家が自宅マンションでゾーッとした、ハイヒールの足音

          8月には「怪談の日」(8月13日)もあり、怖い話を聞く機会が増える。私も怪談というほどではないが、住宅取材で出遭った「ゾッとする家」の話をYahoo!ニュース「個人」で8月1日に書いた。 [最悪だった「2階の左の部屋」 住宅評論家が忘れられない「ゾッとする家」] この記事は思いのほか反響が大きく、知り合いがわざわざ電話をしてきて「別の話はないのか」と聞いてきた。 ないことはない。取材した住宅での出来事ではなく、以前暮らしていたマンションで経験した、忘れられない話がある。 と

          住宅評論家が自宅マンションでゾーッとした、ハイヒールの足音

          お寿司屋さんで得して、ゴメンねと思った話

           もう40年以上前で、まだ20代だった頃、母方のおばあちゃんを世田谷のお寿司屋さんに連れて行った。美登利寿司と並ぶ有名店で、安くて美味しいと評判のお店。そのときも、苦労して予約を取った。 「おばあちゃん、何でも好きなもの、食べて」 「何を頼んでもいいよ」 「(この店だったら)僕の稼ぎでも払えるから」 と、中トロや真鯛、ウニ、スズキなんかを食べな、食べなと勧めていた。ふと、気づくと板さんがときどき右手を自分の目のところに持っていく。目が痒いのかな、と思ったけれど、どうも

          お寿司屋さんで得して、ゴメンねと思った話