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ジュニア・シニアになりまして……カウンター下は、忘れ物危険地帯

私は、昭和29年の3月生まれ。西暦でいえば1954年生まれとなり、66歳の誕生日を迎えたばかりだ。

WHO(世界保健機構)の定義によると、65歳以上がシニア(高齢者)に分類されるので、私もシニアの仲間入り、といってもシニア界ではまだ“新参者”なのでジュニア・シニアというところか。

ジュニア・シニアになったからといって、特典のようなものは感じていなかったが、先日、65歳以上が利用できる飛行機の割引があることを知った。JALでは「当日シルバー割引」ANAでは「スマートシニア割」というもので、ネーミングはANAのほうに好きだ。マイレージカードを持っている65歳以上が事前登録することで利用可能。当日空席があれば利用でき、私が利用した便は正規料金の半額ほどになった。


シニアになると、よいこともあるのだが、その手続をインターネットで行おうとしたら、途中で挫折した。羽田空港のカウンターで、その旨を伝え、残り作業を委託したら、「これは分かりにくいですよねえ」と若い女性職員の方のやさしいお言葉。登録に苦労してカウンターに来る人が多い、とも。いかにも、システムがわるい、といわんばかりだが、これは年寄りの自尊心を傷つけまい、とする心遣いかもしれない。

若い娘さんに同情されるようになったら、男もお終いである。


実際、お終いだなあ、と感じることがある。
それは、よく忘れ物をするようになったことだ。先日も、駅前のラーメン・チェーン店に行き、小さなバッグをカウンター下の棚に忘れてしまった。こういうところに置くと忘れるんだよな、と思いながら、案の定、忘れてしまうから嫌になる。
昼食時に忘れ物をしたことに、日が落ちてから気づいたのも情けないのだが、電話をすると、それらしき物があると教えられた。早速、店に行くと、
「これが、今日のお忘れ物です」
と大きめのカゴをドンと出された。中に、大小のバッグが7,8個……毎日毎日、年配の客がせっせと忘れて行くらしい。

「人間は忘れる生き物」とは、よく聞く言葉。それには「忘れるから、生きて行けるんだ」という哲学的な示唆が含まれている。忘れることで救われる年代もあろうが、その時期は過ぎた。
65歳を過ぎたら、人間は「忘れ物」をする生き物と心得なければならない。
だから、日々持ち歩く物を減らすようにした。どうしても持ち物が多くなるときは、たすき掛けするポシェットに大事なものをすべてしまうのが、最近のスタイルだ。たすき掛けなら、身から離すことがない。
昔の男性シニアには、同様に身から離さない「腹巻き」という便利な収納場所があったが、それを真似すると、バカボンのパパか寅さんになる。そこで、ナイロンの巾着袋型ポシェットを愛用するようになった。都合がよいことに、今、その用途にぴったりのショルダーバッグが若者に人気で、品物を探すのに苦労はしない。千円、2千円で購入できるものが多く、お財布にもやさしい。

ただし、気に入ったデザインはなかなかない。小さいものはじいさんに違和感大だ。白系の色で大きめだとお遍路さんのイメージ。透明素材だと点滴か尿のパックを連想する。

で、いま愛用しているのは、日常用とお出かけ用のふたつ。日常用は、明るい色合いのナイロン製。

ポシェット1

そして、“よそいき”が黒で、こちらも軽くて丈夫なナイロン製だ。

ポシェット2

羽のように軽く、ちょっとした品があり、ストラップは太すぎず、かといって細すぎず……という、面倒な爺さんのこだわりに応えてくれる品物でサイズはB5程度。キオスクで買ったコミック誌も、それを読むときのための老眼鏡も隠すことができる。

流行のブランドあることに多少の照れくささを感じるが、今のところ、忘れ物防止の効果は抜群なのである。

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