
尻尾が曲がった三毛とのお別れ
6月12日の朝5時過ぎでした。
眠るように、といいたいけれど、ついに力が尽きて、かもしれない。最後の5日くらいは洗面所の冷たい床を好んでいたので、柔らかなソファに移して、ゆったり寝かせてあげた。穏やかな、穏やかな顔。
7時前に、24時間受付のペット葬儀社に電話すると、昼過ぎに来てくれるという。お棺と火葬、骨壺、骨や爪を収めたキーホルダー2つなどで、3万円。高いんだか、安いんだかわからない。
初めてのペット葬儀。
葬儀社の人は白いポロシャツにグレーの長ズボン、黒いスニーカー姿。1人でやってきて、ミケに手を合わせた。基本的に野良のネコは、5年生きれば長いほうだと話してくれた。生まれたときから病気を持っている子も多く、1年、3年で天寿を全うすることも少なくない。5年を乗り越えれば、次は10年。だいたい、それくらい。だから、5年はよく頑張ったほうです。
野良ちゃんは警戒心が強く、外で暮らして、ご飯だけ食べに来る子も多く、亡くなってはじめて抱いた、と泣く飼い主もいるという。
それでも、最後の場所としたのは、自分にとって本当に安心できる場所だったからでしょうね。
野良ちゃんならではの話一つひとつが心にしみる。愛情を注ぎ足りなかった分、いや十分な愛情を注がせてもらえなかった分、せめてもと葬儀を依頼するのかもしれない。
葬儀社の人は一度車に戻り、浅いバスケットにシルクっぽい布を敷いたものをもってきた。そこに体を移してあげて、薄い布をかけてあげる。葬儀社が用意してくれた道具で、末期の水をとり、清めたタオルで体を拭く。小さな数珠を渡してくれたので、それを左前足にはめてあげる。
よかったね、ミケやん。
シルクっぽい布で体をくるみ、顔に布をかけて、一度お別れ。葬儀社のワゴン車に火葬の装置があり、1時間ほどで骨になって戻ってくる。
小さな骨壺とミケの顔写真入りカード、そして、二つのキーホルダー。なかに入れるものは、爪とチャーミングに曲がった尻尾の骨にしてもらった。
妻が選んだほうには爪が入っていた。私のは、尻尾の骨だった。
お帰り、ミケやん。
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