Letter21 社会人二年目〜三日目〜
三日目の朝が来た。
私はまだ先輩の家にいた。
その日の午前中、
やっと電気がつくようになった。
先輩が、テレビをつけた。
・・・言葉を失うとは、
こういうことなのか。
いかに大変なことが起きていたのか、
そこで初めて知った。
なにこれ・・・
先輩が言った。
いつも検診に行っていた沿岸の町。
話しかけてくれた町の人たちの顔が浮かぶ。
仕事で宿泊していたホテル。
テレビの映像。
頭が追いつかない。
検診に行った先輩たちは、地元の方に早く逃げろと言われ、検診車を置いて高台へ逃げたとのことだった。
あとから、検診車の写真が送られてきた。
24号車。
車によって、性質が違う。
昔課長が言っていた言葉を思い出した。
「車も生き物みたいなものだからね。」
綺麗で、使いやすくて、居心地がいい車だった。
ありがとう。
心の中でつぶやいた。
私は意を決して帰ることにした。
電気もついた。道の途中で、稼働しているガソリンスタンドもあるかもしれない。
帰りたい。
私は先輩に礼を伝え、車に乗り、70km先の実家へと向かった。
ガソリンスタンドを見つけては入ってみるものの、
どこも断られた。
このままだと本当に車が止まる。
自宅まであと20kmというところで、
私はコンビニに車を止め、母に迎えを頼んだ。
母の車のガソリンも限られている。
母の車が見えた。
帰れた・・・。
こうして私は3日ぶりに実家に帰ることができた。
コンビニに置いてきた代車は、車屋さんが取りにきてくれることになった。
三日振りに風呂に入った。
身体から力が抜けていった。
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