蓑庵(京都大徳寺 玉林院)


「蓑庵(さあん)」

京都大徳寺の玉林院に現存する茶室。

寛保2(1742)年、大坂の豪商・鴻池了英(こうのいけりょうえい)による建造とされております。

表千家七代・如心斎天然(じょしんさいてんねん)の好みといわれ、当時、二人は茶の湯を通じて交流もあったとされています。

内部は、客座二畳と点前座一畳を横に並べ(※平三畳)、客座と点前座のあいだに中板を入れた三畳中板入りの席です。

また炉は中板に切られており、台目畳(約3/4畳)に合わせた台目切りに対し、この席は通常の丸畳に合わせて炉を切った「上げ台目切り」という形式となります。

躙口正面、全体では下座の位置に床を構え、床柱は赤松皮付、相手柱と床框は北山丸太。

中柱は天井の交わる位置から外れて立ち、こちらも床柱と同じく赤松皮付。大きな曲がりを見せつつも、ほっそりと立っております。

窓は、連子窓と躙口上の下地窓、風炉先窓、天井の突上窓の4つで、空間の大きさの割には少なめで、閉鎖的な空間に。その光の抑制された中で、藁スサ(わらすさ)をあらわしで見せる土壁が映える仕上げとなっております。

利休流の求道的な空間に、曲がった中柱など一部には華やかさを取り入れ、両立を試みた構成で、利休の孫・宗旦以降の千家の方向性と時代背景などを考察する上でも、貴重な遺構となっております。

茶事の形式で法要を営むことができる施設として、仏堂(南明庵)に付属して建てられており、小間の茶室として蓑庵、書院として霞床席が設けられております。そして、重要文化財(重文)にも指定されています。

(大徳寺の茶室をまとめています↓)

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