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詩っぽい何か

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なんとなく生み出されたものたち。
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あの日見た光

全てがどうでもよくなる時って、とても静かだった。なんの音もしない。今思うと、そんな感覚だった。遠い昔の私の話。目の前にある全てを壊したかった、私の。
そんなことできるわけがなかったけど。もちろん。
殺したいと思うくらい憎い人も、消えてしまえと思うくらい嫌いな人も、今でははっきり思い出せないくらい顔が霞んでいる。霞んでぼやけた人影...そんな幻覚に縛られている、滑稽な自分。そんな形のないものに壊され

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愛の解釈

どこかで、1人でも生きていける者同士が結びつくのが結婚?恋愛だーみたいな言葉を目にしたことがあるけど、それじゃ嫌だな。なんて思って。お互い無しじゃ生きてけない同士が結びつかないとなんだか軽いし、確証のない繋がりのように思えるから。束縛されたい訳では無いけど、互いの持つ気持ちは重ければ重いほどいい。ただ、一方的でなければの話だけど。一方通行の重たい思いはただのしがらみでしかない。客観も達観も静観もせ

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ピンクとわたし

物心着く前から、ピンクという色が好きだった。
途中、水色に浮気したこともあったけど結局ピンクに戻ってきた。今の黒ずくめな私とは大違いだ。
ランドセルだってピンクがよかった。でも私が買ってもらったのは赤色。同級生のピンク色のランドセルは6年間、私の憧れとなった。
ピンクより黒が似合うとわかった大人の私は、黒い服ばっか着る。それも好きなんだけど。
でも今ふと部屋を見ると、所々にピンクが居る。
私は無意

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どうしようもなく惹かれているの。

いつの頃からだったか、もう忘れてしまった。
私は何十、何百年かの過去の物たちに心惹かれている。特に、明治~昭和初期あたりのもの。
懐かしい記憶が、呼び覚まされそうになる。そんなものはないと知っていながら。
建物が、家具が、時計が、雑貨が、私を引き付けて離さなくなる。というより、私の目がそれらから離せなくなる。その当時の過去へ、引っ張られそうになるの。
時には、あたかも私がそこに存在してたであろう感

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純粋で無敵だった、あの頃

みんなはさ、10代って無敵だなとか言う。
その言葉にとても納得したのは大人になってから。
私たち、最強だったよな、あの頃。
学校帰りに友達とくだらない話して大笑いしながら帰路に着く。あの日の夕焼け。
初めての交換ノート。すぐ止まってたよね、なぜか分からないけど。
修学旅行の夜の空気。
始業式のピリついた体育館。
10代の期間は長い私の人生の中で極わずかなのに、涙が出そうなほどに眩しすぎる記憶で詰ま

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