純粋で無敵だった、あの頃

みんなはさ、10代って無敵だなとか言う。
その言葉にとても納得したのは大人になってから。
私たち、最強だったよな、あの頃。
学校帰りに友達とくだらない話して大笑いしながら帰路に着く。あの日の夕焼け。
初めての交換ノート。すぐ止まってたよね、なぜか分からないけど。
修学旅行の夜の空気。
始業式のピリついた体育館。
10代の期間は長い私の人生の中で極わずかなのに、涙が出そうなほどに眩しすぎる記憶で詰まりに詰まってる。
あの頃、怖いものなんて何も無かった。
私たち、今を精一杯生きてたんだ。
明日のテストの話とか週末どこ行こうとかクラスメイトのゴシップとか、そんな私たちに訪れる一瞬一瞬を、大人からしたらくだらないと一笑にふされるような話を、たくさんしてきたよね。
将来の不安とか、この先に訪れる別れの寂しさとか、何一つなかった。考えたこともなかった。
今を楽しむことにただただ夢中だったあの頃。
誰にも侵されることのない空間と時間。
今の、くすんだ大人になってしまった私からは想像ができないことをたくさん経験した。
あの頃を、いつか終わりの来る、儚く美しい思い出にしたくなかった。
終わらなくていいよ、一生私たちをあの日の教室に閉じ込めていてよ。

昔の私は今の私じゃないみたいだ。
いつから私こうなったんだっけ。
できるんなら、少女のままで時を止めたい。
安物のアクセサリーをつけて、漫画の主人公みたいな気分になれてたあの頃のままで。

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