どうしようもなく惹かれているの。

いつの頃からだったか、もう忘れてしまった。
私は何十、何百年かの過去の物たちに心惹かれている。特に、明治~昭和初期あたりのもの。
懐かしい記憶が、呼び覚まされそうになる。そんなものはないと知っていながら。
建物が、家具が、時計が、雑貨が、私を引き付けて離さなくなる。というより、私の目がそれらから離せなくなる。その当時の過去へ、引っ張られそうになるの。
時には、あたかも私がそこに存在してたであろう感覚に陥ることもある。
その感覚には、臨場感さえも漂っている。
どうしてだろう。この感覚は一体何なのだろう。
もしかしたら、むかーし、名家の令嬢だったのかも...いや、庶民の娘だったのかもしれない___なんて。
懐かしいなと思う気持ちとは違うんだこれは。
ただひたすら、目や耳や心が、そういうものに持ってかれる。それだけの話なんだ。
まるで、こっちへ来いと囁くかのように。

毎年、秋にはこの傾向が強まる。哀愁を孕んだ秋風に、ノスタルジーが乗ってくる。
そして私は通年どおり、過去のものを求めている。
私をその時間に返して欲しいと願いながら。

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