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小説×詩『藝術創造旋律の洪水』[chapter:≪ロキの章①≫ー9つの世界の統括者全知全能の神オーディン【ゼウス】ー第24話]
「あ~あ、僕の美形の台無し姿、オーディン様にみせられないよ~」 海上も空も自由自在にアイススケーターのように滑らかに、そして光速よりも早い音波を突き抜けるスピードで、ロキは9つの世界を結ぶダクトのうちの一つである第二層人間界から第三層ヘルヘイムめがけて奔る。 炎の国と氷の国に挟まれた地獄の国ヘルヘイムは東はメラメラとどのようなものも一瞬で溶解してしまう烈火の山脈、西は一歩踏み込めば氷柱に飲み込まれ氷漬けにされる氷柱の森で国境を隔たれている。 ロキは彼岸花で鬱蒼とした三途の川の
小説×詩『藝術創造旋律の洪水』[chapter:≪ソラの章③≫【lost-one】― #と♭のコンチェルティ―ノ ―第23話]
「明日、というよりもう日付が変わってるから今日か。私、少しの間家から出ていく」 ソラは目をこすりながら建築家のお母さんが作った12星座のマークとルーン文字が刻まれ、そして12干支のイラストが描かれた木製の置き時計を見ると短針と長針はⅡとⅢの間を指している。 こんな夜更けでしかも丑三つ時なのに、SSSを通じて#が不穏なメッセージを送ってくるのは初めてだ。 パソコンの画面には液晶の向こうでブラインドタッチで素早くキーボードを打ちこむ#の存在。 #は言葉を続ける。 「キミは
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小説×詩『藝術創造旋律の洪水』[chapter:≪ハル/TEU【蝶】の章④≫―己に嘘をつくな。己に素直であれ。己を放棄せず己を見据えよ―第22話]
ローマは一日にして成らず。 忠告というものは滅多に歓迎されないものだ。しかも、最も必要とするヒトがいつもその「自分にとって見たくないモノ、聞きたくないモノ」を敬遠する。これは仕事、藝術、スポーツ、そして人としての成長なんにでもいえる。プライドなんてそこらの畦道にかなぐり捨て、自分は真っ白だ、スポンジだと一度ゼロになり、一歩ひいて自分を客観視し、分析してみよ。 なんでも貪欲に吸収してやろうという誠意も意気込みも見られず、「自分には才能がない」だの自分の成長の邁進さに磨きをかくこ
小説×詩『藝術創造旋律の洪水』[chapter:≪カナデの章④≫【piero/mascot/crown】―万葉集からの‘トライアングル'―第20話]
『香具山は畝傍ををしと耳成しと相争ひき神代よりかくにあるらし いにしへもしかにあれこそ うつせみも妻を争ふらしき』(『万葉集』より引用) ―香具山は畝傍山を耳成山と争った。神の時代からこのようであったらしい。昔もそうだったからこそ、この世でも愛しい人を争うのだろう― これは中大兄皇子(後の天智天皇)が、大和三山を自分の心境に置き換えて詠んだ歌である。 奈良にある大和三山である香具山、畝傍山、耳成山は絶世の美女であり歌人である額田王(ぬかたのおおきみ)を巡って中大兄皇子と大海人
小説×詩『藝術創造旋律の洪水』[chapter:≪カイ χの章⑤≫【scapegoate】ー破壊神ロキ現る地獄画ー第19話]
渋谷からレコーディングのために自宅の作業場スタジオに帰宅したカイにしっぽをふりふりふりして、おかえりなさい!!ワンワン!!とつぶらなお目めをくりんくりんさせて、人工知能ロボットのポメラニアンのまるが一生懸命嬉しいを身体全身で表現する。 「ふふっ。ただいま。まる」 まるをよしよしすると遊び相手にカイはなる。 「お留守番偉かったね。よしよし。ボール転がすよ~」 サッカーボールくらいの大きさの柔らかい生地でできた球をころんころんとまるの方向に転がすと、まるは一生懸命ボールに両
小説×詩『藝術創造旋律の洪水』[chapter:≪カナデの章【piero/mascot/crown】③≫ーキミはいじめについてどう考える?【後編】―第17話]
違う話題…? よくわからない感情で渦巻く胸。はやくここから脱兎のごとく走ってエスケープしたい一心なのに、両手はしっかり頑丈で大きな温かい手のひらにがっしり掴まれている。それからユウヤ先輩はすっとカナデの二の腕に大きな手のひらを滑らして頭に載せている顎をカナデの耳元にずらして呟く。 「このお話はね、カナデちゃんにしか理解してもらえないと思うんだ。だから、もう少し一緒にいてもらえると嬉しいな…もう少しだけ一緒にいてもらってもいい…?」 私にしか理解できないってどういうことだろう
小説×詩『藝術創造旋律の洪水』[chapter:≪カナデの章【piero/mascot/crown】②≫ーキミはいじめについてどう考える?【前編】―第16話]
「はい!はじめ!」 デザイン科の講師がストップウォッチで15分で制限時間を測る。学生たちは一斉に右手の鉛筆を白紙に滑らせ、自分の左手を模写する。カナデは専門学校でゲームクリエイター科と一緒にとある学園の服飾デザイン科も並行して受講している。 静かな教室に鉛筆と紙の摩擦音だけが響く。 「はい!終わり!後ろから回収してください」 生徒たちは隣や後ろの子たちとアイコンタクトしたり雑談したり、その中でぽつんとカナデは独り黙々と講師から出された宿題の課題を進めている。 となりの学園に
小説×詩『藝術創造旋律の洪水』[chapter:≪カイ χの章④≫【scapegoate】~幻夢Ⅱ~ —不幸の大聖堂メルツバウ-第13話
立坑のような通路、階上にまで通じる人為的につくられた亀裂、天井の穴倉につながる螺旋状のトンネル、辺り一面に谷、窪み、洞穴が白熱電球で照らされ、そこではそれぞれに生命が与えられていた。 僕は残酷な洞窟と名付けられた遺跡で四肢のない少女の人形が飾られ、周りに灯篭が並べられた火成岩でできた背筋も凍るようなおどろおどろしい場所にいる。 か~ごめ か~ごめ か~ごのな~かのとぉ~りぃは~ 天井からカゴメの囃子が聴こえる。 籠の中の鳥。 この四肢のない人形は自由を奪われている何かの象
小説×詩『藝術創造旋律の洪水』[chapter:≪ソラの章②≫【lost-one】ー教養と闘争の反乱/オリンポス神ー第12話]
瞼を閉じればそこにはプラハの迷宮が広がる。 百塔の都の散歩道をぼくは彷徨う。 地下鉄C線ヴィシュフウラド駅で下車すると、真っ直ぐ丘の上を目指して足を踏みしめる。 伝説によると、ボヘミア王家の祖プシェミスル家を誕生させたリブシェ女王は最初の城をヴィシュフウラドに建て、プラハの未来を預言したといわれている。 ヴィシュフウラド地区はプラハ6市の中では一番小さな地区であるヴルタヴァ川に沿った一帯である。 ヴィシュフウラドとはスラヴ語で「高い城」を意味する。城が建てられたのは西暦10世
小説×詩『藝術創造旋律の洪水』[chapter:≪ハル/蝶の章①≫【artwork/creation】ー藝術の死と再生ー第11話]
どんな【artwork】も【artwork】を創造【create】したプロセスとは関係なく、眺めるときは初対面で眺める心持ちで【must look at XXXXion】。 【artwork】、創造の世界【XXX】には上下関係も優劣も比較級も最大級も存在しない。 玄人/素人、上司/部下、先輩/後輩、師匠/弟子、プロ/アマ… Non Non…Year 色彩と笑劇【衝撃】の道筋 Wanna dye our life a lot of universe religion 世界的拡大