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第72話≪カイの章⑰≫ー低次元量子臨界現象の「思いがけず」ー
―磁場、4Ⅎ電子系について語りましょう
ー≪do≫二アック相図ならば牽引している
ーおやおや。キミは日本語を「解読」できるのか?
ーf軌道、局ならば
ー戦争というものは締結してとしても、だーれかさんのせいで締結なんぞ表面化。『海底』のコードと戦艦で牽制しあってるようで、軍医というものは「違法研究」を続けたがるサドの像だ
ーずーっと続いていき亡【な】くらない現象だ。平和ボケの連中を扱うのが最もeasyだ
「「思いがけず」その現象に出逢った。」
大海を眺めながら、【暗号化】国の大尉は悔やむ。
「“彼”はあまりの壮絶なmemoryを海馬に組み込まれて扁桃体が暴走、一時解離状態になり失踪した」
寄せてはひく波間の中心に渦(うず)が巻く。鳴門の如く。
「ああ・・やんなちまう。新奇電子物性だ。5d電子系の謎に引きずり込まれる」
「cell【セル】を分解し時間分解へと尽き進め」
“Understand”
清掃ウサギの姿を見送るとカイはおそるおそる列車から降り立つ。
夢物語タウン駅。ステーションなのに改札口がない。
粘土で造られた穴といえばいいのか、ぼこぼこ歪(いびつ)な「出口(backdoor)」が12個ある。
12個のトンネルのような扉に囲まれて真ん中に盛り上がった場所に、これまた見たこともない生き物がいた。とんがり鼻、アポトーシス化したのか河童のような手と足にサンタクロースのような帽子を被っている。
「主(あるじ)様、主様!!ダクト乱用禁忌の為、ワタクシが異次元との交通は指揮【管轄】させてもらいマス!!」
すると、カイの左手首にシュルシュルと固い物性のものが巻かれて鍵のようなものが出来上がる。
「これはなんだ…」
右手で取り外したいが、動くその物性の個体は絡みつく。
「その“鍵”は“生きる【テンペスト】鍵”でございます!ただの金属の鍵ではありませぬ!!シッッ」
奇妙な生き物は彼岸花がにょきにょき生えていくてっぺんに座り脚を組むと大声で指令を放つ。
「魂(たましい)が欲しいのではアリマセン!ハイ!次はの『乗車』の方はドウゾ!わし座は右へ!次はカシオペア座ダ!主様!お嬢様が心配されてオリマス!北極星は彼方(あちら)へ!わたくしのステーションで切符は定められたフローで形が整うのでございます!」
「キミは何者…?」カイは問いかける。
「生きる鍵でゴザイマス!主様のことは既に把握しておりまス!」
「…8番出口はどれ?」
「シッッ!!まず3番ゲートの前で二回周り、次に7番ゲートに挨拶をしたのち8番GATEをくぐっていきなさいマセ!」
カイはコンパスをかちかちいわせながら、エクスカリバーの如くきびきびした指令通りにすると8番GATEの扉が「第0認証がおりました」と無機質な声を出し、カイの左腕の金属鍵が煌き(きらめき)を放つ。
「“門”は開かれました。シッッ!!お行きなさい!!」
カイは薄暗いトンネルをみて溜息をついた後、「ありがと」と言うとトンネルを進むこととなった…
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