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不登校あるある 学用品,どうしていますかー小学校編ー

桜川さんの職場の机の引き出しには,ポケモンの小型のポケットティッシュが2,3個入っています。

息子が小学校のとき,ポケットか机のお道具箱には必ずティッシュを入れて置くこと,というルールがあり,ポケモンティッシュ10個パックとかを買っていたのです。ところがそれを使い切る前に学校に行かなくなり,とうとう小学校を卒業してしまいました。さすがに中学生でポケモンティッシュは使わないだろうということで,ハハがありがたく使わせてもらっています。アラフィフ女がランチの後にポケモンティッシュで優雅に口元を拭っているわけです。

”毎日ハンカチとティッシュを身につけておくこと”といったルールは全国的にあるのでしょう。ポケモンティッシュは子ども服のポケットにも入る小型サイズ。ティッシュのビニールケースだけでなくティッシュそのものにもキャラクターが印刷されています。当然女の子用も売られています。

さらにポケットがない服の場合でもハンカチとティッシュが身に着けられるように,クリップが付いた外付けのポケット(ポケットポーチというらしい)というものもありました。

私の子どもの頃にもありましたね。月曜朝の検査。ハンカチ,ティッシュを持っているか,爪は切っているか,保健係さんがチェックするもの。

学校のルールはそんなに厳格でなくてもいいのになあと思う一方で,それに乗ってちゃっかり商売にする人もいるというところが面白いです。

学校に行かなくなって,給食費はたぶん3年生から払うのをやめたけれど,教材費は小学校卒業まで払い続けていました。

小学生のときは、年度初め1冊目のノートは教材費から支給されたので,毎年科目の数だけノートをもらいました。「息子の不登校⑫ 鉛筆も持たない息子の変化」で書いたとおり,勉強はしなかったので当然ノートはたまる一方で,結構な冊数が溜まりました。

ある時期までは学校に行くことがあるかもしれないと思い,年度初めに教科書,ノートに学年・組・番号・名前を書いていましたが,いつの間にか書かなくなりました。それでも教科書,ノートはいつか使うかもしれないと保管してきました。

「いつか」といっても,字を書くことが苦手だから,ノートは使わないかな,古紙回収に出そうかと何度も迷い,結局は棚にしまってきたのです。

小学校6年生から息子は算数を習い始めましたが,途中の計算を書くことを面倒くさがったり,筆算でケタを揃えてきれいに書けなかったりしました。

そこで駄目で元々のつもりで小学校の時に配布されたマス目が印刷されたノートを使わせたところ,「書きやすい」と進んで途中式を書くようになりました。

鉛筆を持つのもイヤという姿を見ていたので,ノートも受け入れられないと思い込んでいましたから,これは意外に思いました。

学習障害傾向の子どもには,道具を工夫することでやりづらさが改善することがあるとは聞いていましたが,何がいいのかは,やってみないとわからないものです。

今,息子は3年生で使うはずだったノートを使っています。表紙には「3年2組」,そして息子の名前が書かれています。

小学校では習った漢字は漢字表記,習っていないところはひらがな表記というルールなので,例えば「桜川健人」という名前なら,小学校2年生までに習った字だけを漢字にして「さくら川 けん人」となります。

それを見るたび,小学校3年生の春,今年は学校に行くのだろうかと思いながら,律儀に学校のルールどおりに教科書やノートに名前を書いた夜を思い出します。

親まで学校のルールどおりでなくてもいいんだよ,もっと気楽にやりなさいよ。

今ならそう思うのかな。

でもあのとき,心配で学校に行ってほしいと思った気持ちも否定したくはないのです。

息子のランドセルは濃い青色で,脇に反射板の星のマークがついていました。入学前に祖父母にデパートで息子が選んで買ってもらったものです。

小学校は実質的に1年間しか行かなかったので,ランドセルは傷もなくきれいなままでした。

卒業後,息子と相談して寄付をすることにし、いつも部屋の隅で埃をかぶっていたランドセルをきれいに拭いて持ち込みました。

ソフトバンクの「愛のランドセル寄付プロジェクト」。(現在中止しています。)

ネパールの子どもたちにランドセルを贈るという企画です。

ネパールの山岳地域の子どもたちは,勉強をするための環境が整っていません。でこぼこの山道を何時間も歩いて学校に通うのだそうです。企画の紹介ページには,ランドセルを手にして喜ぶ子どもたちや,土埃が舞い上がりそうな険しい山道を歩く姿がありました。

今ごろ息子のランドセルは,ネパールの子どもに背負われて,高地の澄んだ青空の下で揺れているのでしょうか。

脇の星のマークが太陽の光を反射して遠く日本にいる私にも届き,ランドセルの苦い記憶を晴らしてくれるようです。


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