「デザイン忍者」への挑戦状〜世界を変えるスタートアップの1人目デザイナーの可能性と覚悟〜
みなさん、初めまして。
Goodpatch のデザインストラテジスト、秋山と申します。
株式会社グッドパッチで恒例のアドベントカレンダーの3日目にチャレンジする運びとなりました!(文章を書くことは修行中でして、角砂糖のように甘い目で見てくださると嬉しいです。また個人的見解や主観がたっぷりな作品ですのでどうかご容赦ください🙏)
ちなみに、本日12/3(日)は「みかんの日」【いい(1×2)み(3)かん】だそう。久々にみかん買いに行こうかな。
今後はこちらから、グッドパッチの皆さんのバラエティに富んだ25本の記事が配信される予定です!お楽しみに!Goodpatch Design Advent Calendar 2023
この記事はなに?
かつて私は、スタートアップのFounderを経験し、その後Goodpatchに入ったことで、デザインに対しての考え方が大きくアップデートされました。
そんな元・非デザイナーとしての視点から、
ということを、デザイナーの皆様に伝えたくて書きました。(これから、起業や新規事業を立ち上げようとしている非デザイナーの皆様へも届けたかったり👀)
また、様々なデザイナーの皆様と関わる中で、「まるで忍者のようだな」と感じる場面が非常に多いので、この記事では尊敬と親しみを込めて、日本のデザイナーの皆様を「デザイン忍者」と呼ばせていただこうと思います。🥷🙏
いつかこの記事が、「デザイン忍者」の皆様にとって、日本やアジア、世界をも変えるチャレンジへの挑戦状となればと思います。
※デザイン忍者とは…筆者の勝手な造語。ユーザーのインサイトに忍び寄り、ユーザーがまだ気付いてない期待に対して、多彩で繊細なクリエイティブを用いることで競合他社を圧倒していく様々なスキルを持つデザイナーを比喩した言葉。時には、仲間を導き、部隊で連携しながら任務を遂行できる。
なぜ、ビジネスにデザインが必要か。
さて、デザインはビジネスにおいて、ユーザーの「行動」だけでなく「感情」をも扱い、ユーザーが使い続けたくなる仕組みづくりに必要不可欠な概念です。
モノやサービスがありふれて競争が激化する今のビジネス環境で、ユーザーから選ばれ続けるのは簡単ではないです。
特にスタートアップ企業では、大企業や競合がいる市場環境の中で、ユーザーから選ばれ続け、爆速に成長していくビジネス戦略を描くために、各フェーズでいろんな「デザイン」の力が必要です。
スタートアップに関わる際の、秘伝の技
まずはここで、デザイン忍者の皆様にお伝えしたい秘伝の技があります。
それは、これから関わろうとしている組織が
「どの程度デザインに理解があるのか」を把握することです。
(これはスタートアップにjoinせずとも、副業や非デザイナーと会話する時にも同じことが言えるかなと思います。)
例えば、下のUX成熟度評価を参考にしながら
「ぶっちゃけ、デザインについてどう思ってます?」と聞いてみたり。
特に創業メンバーのUXに対する認識が上記表の1〜3のフェーズの場合、リーダシップを持ってデザインやUXについて発信したり、チームを動かす能力がないと「デザインは、後回し」になります。
この状態だと「とりあえず、プロダクトの表面的な依頼をこなしていく」という、非常にもったいない関わり方になってしまいます。
ー私は、ここで大失敗しました。
それは起業して、チームにエンジニアやセールス人材が集まり、とりあえずモノを作って営業には行ける環境になった時のこと。
「とりあえずダサくなければ、デザインに投資するのは余裕ができてからで良いか。」
と、典型的な第2フェーズでUXの重要さや理解が足りていない状態でした。
その結果どうなったかというと、メンバーがすでに持っているアセットや原体験から来る仮説、アンケートのデータを鵜呑みにして、ユーザーの課題をいつの間にかでっち上げてしまっていました。
(人は見たいものしか見ない。確証バイアスです。恐ろしい、、)
そしてさらに恐ろしいのが、「このサービスで困ってる人をたくさん救える!」と盲目になって、がむしゃらにリソース(大事な資金と労力)を燃やしてしまったことです。
いわゆる起業の科学あたりの本はメンバーで確認していたもの、「とりあえず、モノを高速で作って売ってみよう!」という意識が先行し、
「生のユーザーの声」や「本当の課題を深掘りに行く」姿勢、ユーザー起点のプロセスなど、UXの優先順位が低かったのです…
挙げ句の果てに、モノが出来て売りに行っても「must have な商品ではない」と全く売れませんでした。(CPF,PSF,SPFと、一挙に大失敗、、)
ここでようやく「ユーザー起点に考える」ことの重要さを目の当たりにしました。
ただ、経営や資金調達、プロダクト作りなどを行いながら、同時にユーザーと本質的な課題に冷静に向き合い続けることは、非デザイナーにとって両立が難しいケースもあります。
だからこそ、言語化に長けており、圧倒的ユーザー起点で経営に物申してくださるデザイン忍者に頼っていれば、多くの失敗を減らすことができたのでは…と後悔しています。
デザインを軽視している人がいたら、私は…
そんな経験もあり、「これから起業したい!」と思っている方や、事業に関わっているけど「デザインの優先度が低そうだな…」と感じる経営者の方がいたら、下の記事と後に出てくる事例を紹介しています。
こちらの記事は、デザイン思考やUXデザインについて初めて勉強する人や、非デザイナーのビジネス職の人におすすめな記事なのですが、
デザイナ忍者の皆様にとっても「非デザイナー」とのコミュニケーションを通して、デザイナーの価値を高める大切なポイントが書かれています👏
もし他にも、経営層や起業家と話すときに「こんなふうに訴求したら、わかってくれたよ〜」などありましたら、教えてくださると嬉しいです🙏
(全力で「デザイナーの重要さ」をイノベーション界隈に広めていきたいのです!)
スタートアップデザイナーの成功事例と教訓
ー理想の創業チームには、デザイナーが必要
さて、一般的にはスタートアップを立ち上げる際の理想の創業チームは、以下の3者の構成だと言われています。(AKQA CTOの稲本玲の「3H」理論)
ちなみにこれは、B2Bスタートアップ企業の入社順の役職リストです。
実際にTop3の中に、デザイナーが入っています。
Topはエンジニア、次にデザイナー、それ以降はCSやセールスといったとこでしょうか。
イケてるスタートアップでは、デザイナーが初期の段階でjoinしていることがお分かりいただけましたでしょうか?
さて次は、デザイナーと成功事例についてです。
ー皆さんのよく知っている、あのスタートアップも🏠
「デザイナー(ヒップスター)・ハッカー・ハスラー」が揃っていて、成功した典型的な例がAirbnbの創業チームです。
Joe Gebbia氏が「デザイン」したプロダクトを、Nathan Blecharczyk氏が「開発」し、Brian Chesky氏がCEOとして「ハッスル」、つまり資金調達から採用、その他全ての必要な業務をやるチームで構成されていました。
その中でAirbnbのデザイナーJoe Gebbia氏は、Airbnbが初めてリリースされた頃から、ブランドの信頼性とユーザー体験の向上に寄与し、Airbnbを成長させていきました。
そんなAirbnbを成功に導いた「信頼のためのデザイン」という考え方について、とある実験も踏まえて語られているこのTEDが私はとても好きです。
数々の名言やドキッとする実験もあるので、
ぜひ見てみてください(笑)
ードキッとする実験のネタバレ。
動画が今すぐに見れないと言う方に向けて、実験(5:14~)のネタバレをします。
おそらく現代人が最もプライベートなモノであるスマホのロックを解除し、見ず知らずの隣の人に手渡ししてみる実験が行われました。
スマホを渡したほとんどの人は、なんだか不安でドキドキな表情。
そして、受け取った人も同様に責任と緊張を感じる。
これがまさに、Airbnbにおいて、最もプライベートな家を貸し借りする「ホストとゲストの関係」を示しているとJoe氏が言います。
それまで、ふわっとしていた「信頼のためのデザイン」と言う言葉をこの一瞬で観客に体感させ、同時にAirbnbの必要性と存在意義を実感させた実験でした。
なぜ、日本では経営に関わるデザイン忍者が少ないのか。
よく言われているのが、日本の国土が小さい事と日本企業の営業力が強い点です。
いわゆる、「足で稼ぐ」という概念です。
これはこれで、世界に誇れるすごいスキルだと思うのですが、少子高齢化で人材も少なくなる中で、さらにリソース(人・モノ・カネ・時間)が圧倒的に限られているスタートアップにおいては、足で稼いでる暇はないんです。
顧客と向き合いプロダクトの質をあげ、ブランディングやマーケティングを経てユーザーを集めるためにデザイン忍者のスキルが必要不可欠です。
スタートアップデザイナーの役割と3つの覚悟
ー経営者と肩を組み、時には物申す覚悟
ユーザーの心に忍び寄り、ユーザーの未来を見つめる。
そんなユーザーサイドなデザイン忍者だからこそ、時には大胆に、時には巧妙に、経営者と肩を組みながらも経営に物申せる存在であって欲しいです。そのためには経営者と肩を組めるビジネス感覚と、強いリーダーシップを持ち続ける覚悟が必要です。
ーなんでもやる覚悟
ぶっちゃけ、あらゆる仕事に「YES」と言える覚悟も必要です。
デザインだけでなく、マーケティング、開発、カスタマーサポートなど、越境して柔軟に対応する。この任務遂行のために手段をいとわない姿勢は、まさに忍者です。失敗を恐れず、未知の領域に挑むのも1人目デザイナーの使命なのです。
ー流行の最先端を行く
まるで、相手の動きを先読みする忍者かのように、トレンドを分析し、さらには未来を予見し、トレンドをもリードしていく覚悟が必要です。ビジネス競争で勝ち抜くための最新のアイデアや、使いやすいデザインを見つけ出し提案していくことができる大切な存在です。
まとめ
ということで、スタートアップ領域における「デザイン忍者の可能性と、必要な覚悟」を主観たっぷりでお届けいたしましたが、いかがでしたか?
この挑戦状を読んで、デザインとビジネスを使いこなす二刀流の忍者を目指す方が増えたり、デザインに理解のある起業家が増えることを願っています。
またGoodpatchではソフトウェアデザインだけでなく、事業やサービス全体のビジネスデザインに携われるプロジェクトが増えてきています!
新規事業に関わる方、スタートアップや学生さんまでカジュアルな雑談もwelcomeですので、ぜひお気軽にお声がけください👐
あ、私もそうですが、異業種からのキャリアチェンジをする方も非常に多いんです!よかったらこの動画を見てみてください👀ピンとくるかも!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
それでは、さらばじゃ!ドロン!🥷💨(終)